１０１匹テオさん｜リアクション

１０１匹テオさん

【１０】

　その日、伊賀解理もテオ似の猫を何匹も目撃していた。

「なんか今日はやたらテオを見かけるねぇ……っていくらなんでもちょっと多過ぎやしないかねぇ！？」

　一回や二回ならいざしらず、気がつけば道すがら１０１回くらいテオとすれ違ったので、さすがの無気力少女も思わず全力で突っ込んでいた。

「まさか分裂……って、小さいのもいるだとぉ！？」

　それから、解理はさらにテオ似の小さい猫まで発見してしまった。
　しかもその数、十や二十ではない。

「テオ……、まさか君まで最近流行りのハーレム主人公みたいになっちまったのか！　いや、実際に子供までいるんだからそれ以上だ！　ガチのハーレム主人公だよ！」

　解理は愕然としつつ、テオそっくりとわかっていてもなお可愛い子猫のキュートさにノックダウンされそうになる。

「……もしかして、これも神魂の仕業ってやつか。うん、これは調査をする必要があるな。決してこのテオ似の子猫達が可愛いからそんな理由じゃないからなっ！」

　解理は誰にというわけでもなうそう言い訳しつつ、さっそく丁度良く目の前にあったペットショップで猫じゃらしを購入。
　そして、たくさんいる子猫の中でも比較的トロそうなのを狙ってじゃらしでおびき寄せて捕獲した。
　テオ似の子猫は顔に似合わず~~チョロかった~~素直だった。

「ふっふっふ。よーし。良い子だ良い子だ」

　部屋の寮に子猫を連れ帰った解理はひとまず普通の子猫にそうするように頭を撫ででやったり、手を甘噛みさせてやったりする。

「くっ……。テオ似だとわかっていてもやっぱり可愛いじゃないか……」

　お腹を出してひっくり返ったり、顔をぺろぺろしてくる子猫はもはや想像を絶する愛くるしさだった。
　解理は思わずスマホのカメラでそんなテオ達を激写する。激写しまくる。

「これはあくまで調査のため、調査のためだ……」

　どこか自分に言い聞かせるよう呟きながら、次から次へと子猫の写真を撮りまくる解理の姿は完全に子猫にメロメロになった女子のそれであった。

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