その日、旧市街をうろうろと散歩していた
テオドロス・バルツァは、にわかには信じがたいものを目撃した。
『……なん……だと……?』
彼が見たのは一匹の猫だった。
その猫は灰色ががった毛並みをしたちょっと目つきの悪い猫だった。
というか、どう見ても自分(テオ)だった。
もしも、もれいびどもがあの猫を見かけたら十中八九あの猫をテオだと思うだろう。
そんな自分と瓜二つの猫が、
この
テオドロス・バルツァ様の写し身のような猫が、
はなちょうちんを膨らませながら、地面に仰向けになって気持ちよさそうに眠っていた。
『くっ……』
テオは顔をしかめた。
彼は猫の姿をしているが、こう見えても神だった。
ときどきねこじゃらしに勝手に身体が反応してしまうことがあったが、それでも、誰が何と言おうと、彼は神なのだった。
そんなテオ様そっくりの猫が、
ぷぅぷぅと可愛らしい寝息を立てて眠っている。
『~~~~~~~~ッ!?』
それはわりとプライドの高いテオには許し難い出来事だった。
もしもこんな姿を、ののこや自分をよく知るもれいびどもに見られたら……。
そんな恐ろしい想像にテオの身の毛がよだったときだった。
『……!?』
テオはさらに信じられないものを見た。
そこには一匹の母猫が数匹の子猫を連れて道を歩いている姿があったのだが――やはりみんなテオと同じ姿をしていた。
『………………』
テオは、しばらくの間、わなわなとそこで震えていることしかできなかった。
ごきげんよう。水月 鏡花です。
そんなわけで今回は非日常系コメディシナリオです。
●状況
どうやら神魂のせいで島中にテオさんそっくりな猫が現れてしまったようです。
大きさや性別、性格は猫によってまちまちですが、ぱっと見た感じではみんなテオにそっくりです。
能力などは、ごく普通の猫のままです。
事情を知らないもれいびがテオそっくりの子猫を見たら「テオさん、パパになってしもたん?」と
一瞬びっくりするかもしれません。
ちなみに島中にテオそっくりの猫が現れてしまっただけで特に害はなく、日付が変われば姿は消えるようです。
何も知らずにテオそっくりの猫を見て「俺の知ってるテオさんと違う……!」と戦慄してみたり、
もしかしてクローネのせいで記憶を失ったり、頭の中に話しかけられなくなったりしたのではと慌ててみたり。
まあそんな日もあるよね、と普通に買い物を済ませて家に帰ったり。
とにかく自由な一日を過ごして頂ければいいと思います。
あ、101匹というのはもののたとえで具体的な数はわかりません。
ちなみに原因はクローネではありません(放っておいてもフツウは守られます)
事件解決を目指すより、肩の力を抜いて、テオさん
でと遊ぶシナリオとお考えください。●舞台・時間
日曜日。朝(午前七時ぐらい?)から日付が変わるまでが神魂の影響下にある時間です。
舞台は寝子島内全土です。
気温はこの時期にしては温かめで、ジョギング日和のようです。
●登場NPC
◇テオドロス・バルツァ
今回の神魂の主な被害者。
さすがにこの程度のことでわざわざ空間を切り分けるのもアレなので、
どこかへほとぼりがさめるまで
逃げた旅に出たようです。◇テオちゃんず
旧市街に現れた、テオそっくり子猫達です。
甘えん坊だったり、クールだったり、色々なタイプがいます。
母親もテオそっくりになっているはずですが、何かトラブルに巻き込まれているのか、夕刻まで姿を見せません。
通り雨が降ったり、お腹を空いたりするので、なんとか母親が帰ってくるまで助けてあげたいところです。
◇その他のテオさん各種
テオそっくりの猫がいろいろなところに出没しています。
子猫も、旧市街の「テオちゃんず」以外にも大量出現しています。
猫の大きさ、性別、性格などは、アクションで自由に指定してもらって大丈夫です。
特に指定がなければ、必要に応じてこちらで設定します。
*なお、上記以外のNPCは本シナリオには登場しません。
●アクションについて
基本的に自由です。
一人で、あるいはお友達と子猫の世話をしてもいいですし、
テオさんそっくりの大人猫と普通に戯れてもいいと思います。
神魂現象であることはすぐに気づいても、気づかないままでも、母猫が迎えにきた段階で気づいてもいいです。
夕刻になると、猫達はみなどこかへ去っていき、誰も見ていないところで日付が変わるとともに姿を消します。
拾ったり、飼ったりはできませんので、あらかじめご了承ください。
できるなら笑顔で、夕焼けの向こうに消える彼らを見送ってあげて欲しいと思います。
以上です。
それではある冬の日のどんちゃん騒ぎをお楽しみください。