寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！｜リアクション

寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！

　桜は散ってしまったけれど、日を浴びる葉はいずれも青々として目に優しい。
　春らんまんというのでしょうか、なんとも気持ちのいい陽気です。
　朝からずっと晴天で、日中はちと汗ばむほどでした。
　本日、寝子島高校はお休みです。当然、ほとんどの場所は無人、それでも出ている部活動の練習も大半が終わって夕方となりましたが、まだまだグランドの一角には活気があります。
　もちろん、その理由はおわかりですね？　　
　そこでは、鷹取洋二の呼びかけに集まった面々により、キャンプの準備が和気あいあいと行われているのでした。

　カツンカツンカツンと小気味の良い音は、御剣刀が小型ハンマーでペグ（テントの吊り紐を地面に固定する金具）を打ち込んでいる音でした。
「ま、こんなもんだろ」
　ペグの固定ぶりを確認して刀は立ち上がりました。
　刀の目の前には、青いドーム型のテントができあがっています。それも一つや二つではありません。大小取り合わせてざっと六つ、色も形もまちまちながら、きれいにならんで立っているのでした。
「すごいねー、刀君の家ってテント屋さん？」
　わーぱちぱちと口で言って、桜庭円がはやしたてます。どのテントも刀が持ってきたのです。
「違う違う。まあ実家のもあるが、桜庭が用意してくれというからほうぼう手を回して集めたんだ」
「さっすが刀君！　すごいなあ、格好いいなあ……ほら、にゃーくんも格好いいって言ってるよ」
　円は目を輝かせ、胸に抱っこした茶虎の子猫の片手を持って左右に振るのでした。
「……言ってないと思うが」
「言ってるよう。ほら、『カッコイー！』」
　円は作り声しながら、にゃーくんの手をさらに振ります。なすがままです、にゃーくん。
「わかったわかった」
　苦笑気味に告げると刀は、テントづくりが終わったメンバーに声をかけるのでした。
「食事の準備にしないか？」

　といったわけで本日はキャンプです。ご一緒に楽しみましょう。

このページにイラストを設定する