どこの学校にもあるでしょう。
校内限定都市伝説……いわゆる『七不思議』というものが。
そうです。トイレの花子さんとか、上りと下りで増減する階段とか、そういった学園ホラーチックな噂のことです。
七不思議と申しますけれど、それはしばしば『七つ』ぴったりではなく、『六つ』だったり『八つ』だったり、はたまた『百と九十八』だったりするのも定番のご愛嬌でしょう。
さてさて今回の物語、発端がまさに
それでした。
ですので本日の物語は寝子島高校七不思議、まずはその血塗られた伝説のひとつを語るところからはじめたいというわけなのです。
では参ります。準備はいいですか?
心臓の弱い人は今のうちに、左胸を叩いておいてくださいね。
さあ、どうぞ。
「
音楽室に飾られている楽聖バッハの肖像画、その目玉が午前4時44分に動くという話なのさ。ぎょろぎょろとね……なあ、怖いだろう?」
お昼休みの学食です。大真面目な顔に加え、半端に芝居がかった口調で
鷹取 洋二先輩は語りきりました。一年生を中心とした顔ぶれに、「実はこの学校には七不思議というものがあってね……そのひとつは」と話し出したのです。
臨場感満点、場を恐怖のどん底に陥れた――つもりの鷹取先輩でした。
なのにあにはからんや、誰一人として怖がらないのみならず、めいめい不安げに目配せしあって「えーと……まさかそれで終わりじゃないですよね?」という顔をするばかりなのでした。
この反応は予想外だったようで、鷹取先輩は文字通り肩を落としています。
「諸君、怖くないのかい?」
その様子たるや、まるで遠足の日におやつを忘れてきた子どもでした。
顔はハンサムの範疇には入るのでしょうが、モシャモシャっとした髪(自他共に認める『ワカメ頭』だそうです)と独特のふわふわした口調、そして、こういった妙に邪気のないところで、なんとも浮き世離れした印象を与える鷹取先輩です。
いや、怖いも何も……と、その『諸君』は口々にこたえました。
ちょっと雲をつかむような話です。
ありきたりといっては身も蓋もありませんが、実際、よくある話ともいえましょう。
それにそもそも、どちらかといえば小学校向きの『七不思議』な気もするではありませんか。ねえ?
「そうか……あまりみんな乗って来ないなあ」
両肩はがっかり、眉は八の字のまま鷹取洋二は言いました。
「実はね、この噂の真実を確かめるべく、ゴールデンウィーク中に学校で寝泊まりしないかと誘うつもりだったのだが……。いや、寝る場所なんかないから校庭にテントを張ってキャンプでもするつもりだよ。いいんだ、別に僕は一人でもやるからさ」
ところがどっこい、それを聞いた途端、周囲一同色めき立って、
「行きます!」
と声を上げたので鷹取先輩は驚いて、
「え? なんで? どうして?」
自分の発言がもたらした興奮とはにわかに信じられず、驚いた鳩さながらに左右をきょろきょろ見回したのでした。
お久しぶりです。マスターの桂木京介です。
いよいよ楽しいゴールデンウィークの始まり……といったところで行く場所も予定もないみなさん、一泊二日のキャンプなんていかがでしょう?
ただし学校で、ですが。
しかも深夜の肝試し(?)音楽室潜入のおまけつきですが。
だからこそ参加したい! というチャレンジャブルなあなたも、友達づくりがしたいあなたも、単純に鷹取洋二に興味があるというだけのあなた(そんな人はいないと思いますが)も、ふるってご参加ください。
テントをどうするか(学校の備品もありますがカビ臭いです)、食事をどうするか(誰ですか、「帰ればいいじゃん」なんて言っているのはー?)、実は音楽室忍び込みは学校の許可を得ていないのでこれまたどうするか(オイ!)……考えることは色々あると思います。
でも一番大切なのは、あなたがこの一泊二日をどう楽しむかということ!
細かいことは考えずともOK、迷ったら自分らしいアクションを書けばそれでいいと思います。
それでは、次はリアクションでお目にかかりましょう。
あなたのご参加を楽しみにお待ち申し上げております。桂木京介でした。