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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！
「――ハックション」
風邪で具合の悪い逆巻天野です。
くしゃみをしますがその音は、無人の音楽室にこだまするだけでした。
「ふむ。みんなはもう戻ったみたいだね」
時刻は、そろそろ朝の五時半となる頃でしょうか。
洋二たちはずらずらとテントに戻って、さっさと寝てしまったりおしゃべりに興じたりしています。
一度書きましたが本日、天野は発熱気味の風邪なので、うつさないよう他の人たちとは行動を別にしていました。
よって、ただでさえ寂しい暗い校舎で、天野はもっと寂しい独りぼっちだったりするのです。（正確に言えば校舎内で眠っているまりももいますが）
まあそれも一興――と、天野はそれでも音楽室だけは確認したくて、あらかじめ空けておいた窓からここに侵入したのでした。
誰にもひっかからなかったコンニャクトラップの残りを発見しましたが、華麗に解除して進みます。
「どうやら話はデマだったみたいだしもう時間も過ぎちゃってるけど、噂の主たるバッハを拝んで帰るとしよう」
熱でぼんやりする頭で、天野はバッハの肖像画を探しました。
「えーっと、たくさんあるな肖像画……バッハバッハ……これか」
そのとき、ちらっと彼の視界に時計が映り込みました。
音楽室の壁掛け時計。
ああ、彼がもし健康な状態だったら、その時計がずいぶん遅れていることに気づいたかもしれません。
電池切れが近いのでしょうか。
それともほかになにか理由でもあるのでしょうか。
音楽室の時計の針は、現在、四時四十四分を指していたのです。
といってもアナログ時計です。デジタル表示のように『４』が揃うインパクトはないので、大抵の人なら健康でも見逃したかもしれません。
かくて四時四十四分は見逃した天野ですが、次の現象は目の当たりにしました。
「え……いま、目が動いた！？」
ぐるっと一回転、バッハ像の目玉が動きました。
しかしその一瞬だけでした。あとは、もうウンともスンとも言いません。
確かに見た……とは言いがたいものがあります。
なぜって、気がついたらもう目は止まっていたのですから。
それに、やはり天野の頭はフラフラしているのですから。
「本当の怪異……？ いや、見間違いかな……？」
わからないや、と天野は溜息をつきました。
どちらにせよ、肖像画にこれだけは言っておきましょう。
「こんばんは。お邪魔したね」
うん、と頷いて呟くように続けます。
「悪戯で壊されてないかい？ 寂しくないかい？ もし何かあれば言っておくれよ、直すから」
……。
バッハの肖像画はなにも答えません。いいんです。それで天野は満足です。
「寂しくなったら、また君に、会いに来ていいかい？」
なんてね、と自嘲気味に言って、天野は絵に軽く一礼しました。
肖像画の下には、『ヨハン・クリスティアン・バッハ（1735-1782）』と名があります。
ミドルネームに注意。クリスティアンです。
彼は大バッハとして知られるヨハン・ゼバスティアンの息子でやはり音楽家、すばらしい楽曲を生み出していますが、父の名声にその名は隠れがちです。
この学校のように、大量の肖像画を貼っていない音楽室ではまず、その肖像画におめにかかることはないでしょう。
天野が肖像画に背を向けたとき、ヨハン・クリスティアン・バッハの目がもう一度、ほんの一瞬ですがくるっと回った……ように見えましたが、肝心の天野は見ていませんし、これは明け方の光がもたらした錯覚かもしれませんね。
錯覚じゃないかも、しれませんけど。
『寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！』 完
風邪で具合の悪い逆巻天野です。
くしゃみをしますがその音は、無人の音楽室にこだまするだけでした。
「ふむ。みんなはもう戻ったみたいだね」
時刻は、そろそろ朝の五時半となる頃でしょうか。
洋二たちはずらずらとテントに戻って、さっさと寝てしまったりおしゃべりに興じたりしています。
一度書きましたが本日、天野は発熱気味の風邪なので、うつさないよう他の人たちとは行動を別にしていました。
よって、ただでさえ寂しい暗い校舎で、天野はもっと寂しい独りぼっちだったりするのです。（正確に言えば校舎内で眠っているまりももいますが）
まあそれも一興――と、天野はそれでも音楽室だけは確認したくて、あらかじめ空けておいた窓からここに侵入したのでした。
誰にもひっかからなかったコンニャクトラップの残りを発見しましたが、華麗に解除して進みます。
「どうやら話はデマだったみたいだしもう時間も過ぎちゃってるけど、噂の主たるバッハを拝んで帰るとしよう」
熱でぼんやりする頭で、天野はバッハの肖像画を探しました。
「えーっと、たくさんあるな肖像画……バッハバッハ……これか」
そのとき、ちらっと彼の視界に時計が映り込みました。
音楽室の壁掛け時計。
ああ、彼がもし健康な状態だったら、その時計がずいぶん遅れていることに気づいたかもしれません。
電池切れが近いのでしょうか。
それともほかになにか理由でもあるのでしょうか。
音楽室の時計の針は、現在、四時四十四分を指していたのです。
といってもアナログ時計です。デジタル表示のように『４』が揃うインパクトはないので、大抵の人なら健康でも見逃したかもしれません。
かくて四時四十四分は見逃した天野ですが、次の現象は目の当たりにしました。
「え……いま、目が動いた！？」
ぐるっと一回転、バッハ像の目玉が動きました。
しかしその一瞬だけでした。あとは、もうウンともスンとも言いません。
確かに見た……とは言いがたいものがあります。
なぜって、気がついたらもう目は止まっていたのですから。
それに、やはり天野の頭はフラフラしているのですから。
「本当の怪異……？ いや、見間違いかな……？」
わからないや、と天野は溜息をつきました。
どちらにせよ、肖像画にこれだけは言っておきましょう。
「こんばんは。お邪魔したね」
うん、と頷いて呟くように続けます。
「悪戯で壊されてないかい？ 寂しくないかい？ もし何かあれば言っておくれよ、直すから」
……。
バッハの肖像画はなにも答えません。いいんです。それで天野は満足です。
「寂しくなったら、また君に、会いに来ていいかい？」
なんてね、と自嘲気味に言って、天野は絵に軽く一礼しました。
肖像画の下には、『ヨハン・クリスティアン・バッハ（1735-1782）』と名があります。
ミドルネームに注意。クリスティアンです。
彼は大バッハとして知られるヨハン・ゼバスティアンの息子でやはり音楽家、すばらしい楽曲を生み出していますが、父の名声にその名は隠れがちです。
この学校のように、大量の肖像画を貼っていない音楽室ではまず、その肖像画におめにかかることはないでしょう。
天野が肖像画に背を向けたとき、ヨハン・クリスティアン・バッハの目がもう一度、ほんの一瞬ですがくるっと回った……ように見えましたが、肝心の天野は見ていませんし、これは明け方の光がもたらした錯覚かもしれませんね。
錯覚じゃないかも、しれませんけど。
『寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！』 完
あとがき
担当マスター：
桂木京介
ファンレターはマスターページから！
マスターの桂木京介です。
このたびはシナリオにご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回のリアクションは……難産でした！
個人的な事情で執筆時間が取れないことも多々ということもありました。
それに、どういう方向性でまとめたらいいか悩んだせいもあります。
そのせいか、妙に話が長大になってしまったかもしれません（汗）。
今後はもっとコンパクトにすべく頑張ります。
それでも、楽しんでいただけたとしたら、これ以上嬉しいことはありません。
肖像画がベートーベンではなくバッハだったのには、こういう理由があったのです。……なんか反則な気もしますが（汗）
七不思議シリーズと銘打っていますように、今後も続けていきたいと思います。
ただし、その不思議もこれから八つも九つも出てくるかもしれませんし、もっと少ないかもしれません。
それに、マスターも私だけとは限りません。
今の時点ではこれ以上は言えない……というか決まっていないだけだったりします。
ただ一言、今後の展開をお楽しみに、とだけ言わせていただきます。
それでは今回はこれにて。
次のシナリオでお会いできる日を楽しみにしています！
このたびはシナリオにご参加いただき、誠にありがとうございました。
今回のリアクションは……難産でした！
個人的な事情で執筆時間が取れないことも多々ということもありました。
それに、どういう方向性でまとめたらいいか悩んだせいもあります。
そのせいか、妙に話が長大になってしまったかもしれません（汗）。
今後はもっとコンパクトにすべく頑張ります。
それでも、楽しんでいただけたとしたら、これ以上嬉しいことはありません。
肖像画がベートーベンではなくバッハだったのには、こういう理由があったのです。……なんか反則な気もしますが（汗）
七不思議シリーズと銘打っていますように、今後も続けていきたいと思います。
ただし、その不思議もこれから八つも九つも出てくるかもしれませんし、もっと少ないかもしれません。
それに、マスターも私だけとは限りません。
今の時点ではこれ以上は言えない……というか決まっていないだけだったりします。
ただ一言、今後の展開をお楽しみに、とだけ言わせていただきます。
それでは今回はこれにて。
次のシナリオでお会いできる日を楽しみにしています！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年04月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年04月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年04月22日 11時00分
