寝子島クリスマスマーケットを楽しもう！｜リアクション

寝子島クリスマスマーケットを楽しもう！

　本当は3人でクリスマス用のショッピングする予定だったのだが、急に別の用事ができた一人が謝罪とともに去っていき、橘千歳と御剣刀は二人っきりになった。

「Weihnachtsmarktってドイツ語なのね。クリスマスマーケットの発祥地に敬意を表して、ってことかしら」
「そうなのか。普通に英語かと思ってた」
「観覧車のそばに会場を作って、クリスマスタワーにメリーゴーランドまで。本当にドイツに来たみたいね」
「それにしちゃ見慣れた屋台まであるけどな」
「ふふ、そこは寝子島らしいわ」

　穏やかに会話しながらマーケットを歩く。
　確かにお祭り風の屋台もあるが、全体的にクリスマスカラーで彩られ異国情緒に溢れている。普段の寝子島とは違うイメージで、海外旅行でもしているような気分だ。
　ツリーに飾り、リースにキャンドル。見ているだけで自然に気分が高揚する。

「あのクリスマスツリーなんて豪華だな」
「ええ、本当に。あ、Joulupukkiもお店出しているみたい。きっとここでほとんど揃うわよ」

　入り口にいるドーベルマンが、まるでお辞儀をするように頭を下げた。
　ひときわ美しく飾られた店舗には銀の妖精が二人と、そのままサンタクロースにしかみえない老人が笑顔で接客している。
　
「いらっしゃいませー！」
「どうぞ、クリスマス雑貨ならたくさんございますですよ」

　可愛らしいミルカとやわらかな雰囲気のフィリップの声掛けに、二人は軽く頭を下げた。
　店内は会場を上回る彩りに溢れていて、ここにいるだけでクリスマス当日のように思えてくる。

「千歳は何が欲しい？」
「ツリー飾りとか。でもこんなにあると迷っちゃうわね。星飾りは絶対欲しいけど。大きめのこっちと、小さいけどキラキラしている方、刀君ならどっちがいい？」
「そうだな。こっちのキラキラしている方かな」
「ふふ、わかったわ。そっちにしましょう」
「いいのか？　俺が選んだ方で」
「ええ。こんなに綺麗なものばかりでは私じゃなかなか決められないもの」
「確かに色々あって目移りするな。おっ、クリスマスカードか」

　こうしてみると本当に種類が多い。クリスマスカードだけでもツリーやスターをモチーフにしたもの、広げると立体になるもの、開くと光と音楽が流れるもの。様々なアイディアに溢れている。

　せっかくだし千歳や世話になってる人に贈ろう。
　
　御剣は橘が迷っている隙にこっそりとカードを選んで、会計のミルカに渡す。

「すいません。これは別にしてください」
「はい。ありがとうございます。包装紙に分かるようにお印つけておきましょうか？」
「あ、じゃあ、こっちのカードにつけてください」
「かしこまりました」

　実は御剣が会計を済ませている間に橘もカードを選んでいた。贈る相手はきまっている。