嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！｜リアクション

嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！

●爆発前の買い物

　星ヶ丘にある超高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』で上穗木千鶴のオーダーメイド下着を作る際に同行して以来、八十八旗信彦は、なんだかんだで毎回誘われている。
（ちーちゃんの誕生日に下着をプレゼントして以来、毎回付き合わされているな……）
　理由はどうあれ、千鶴とデートできるのは嬉しい。
　信彦は着衣の上からでも女性のスリーサイズを言い当てるほどの目利きの持ち主で、その中でも特に、千鶴の体のサイズを熟知しているほどだ。
（身体測定の時にレディ達のデータは頭に叩き込んだし、ちーちゃんの胸なら俺の手が覚えている！）
　千鶴のろっこんを発動させるために何度か胸に触れているので、彼女の胸のサイズは特に良く覚えている。
　ステッラ・デッラ・コリーナ２階にある『アティテュード～プティ～』で、あらかじめオーダーしてあった下着を受け取るのを口実に、他の店も回るのが今日のデートプランだ。
（デート中にあの連中に嫌がらせされないといいんだけど）
　REDC犯行声明、リア充爆発生放送動画を見て、俺らもああなったら……と思うと寒気が。

　待ち合わせ場所のステッラ・デッラ・コリーナ前まであと少し、というところで信彦を見かけた千鶴が駆け寄ってきた。
「同じタイミングで着いたね」
「ちーちゃんと一緒に着くなんて。俺達、相性がいいね」
　信彦との買い物デートが待ち遠しい千鶴は、冬なのに頑張ってオフショルダーのセクシー系ニットワンピを着ている。
　外は寒いのでコートを羽織っているが、室内は温かいから大丈夫。せっかくのデートだからお洒落しないと、と張り切ってコーディネイトした。
「その服、良く似合うよ」
　イケメンスマイルで褒める信彦だが、全速力で走ってきたので肩で息をしている。
　呼吸が整い、落ちついたところで、ふたりはアティテュード～プティ～へ。

　ステッラ・デッラ・コリーナの二階にあるアティテュード～プティ～に来たのは、千鶴があらかじめ信彦とオーダーした下着を受け取りに来たため。
　オーダーしたものだけれど、千鶴は試着してそのまま身に着けて帰ることにした。
　以前注文したものはセクシーなデザインの下着だったが、今回は純白で肌触りのいいレースの下着。
（信彦くんが喜んでくれたのもいいけど、たまには、こういうのもいいね）
　試着室で身に着けたブラを見て、清楚に見えるねと微笑む千鶴。
「ちーちゃん、着け心地どう？」
　千鶴の下着姿が見たくて仕方ないのか、信彦が試着室前で声をかける。
　ドアを少し開けて見たいのはやまやまだが、周囲に店員や他の客がいるのでできず。
「うん、いいよ」
　試着後、脱いだ下着のタグを取ってと店員に頼んだ千鶴は、改めて下着をつける。
（あ……）
　おニューの下着をつけたのはいいが、オフショルダーのニットワンピなのでブラの肩紐が見えてしまう。
　ちょっと恥ずかしいな……と落ち込む千鶴の気持ちを察したのか「ついでに新しい洋服も買おう」と信彦が言ってくれた。
「いいのかい？」
「いいよ。ちーちゃんのためだからね。行こう」

　ふたりがアティテュード～プティ～を出ると、北風貴子が南波太陽と一緒にいるのを見かけた。
「貴子お姉ぇ、女の子って、どんな下着が好きなんスかねえ？」
　アティテュード～プティ～に下着を買いに来たようだ。
　男ひとりで入るには恥ずかしいので、貴子に付いてきてもらったようだ。
「片思いの子に、いきなり下着をプレゼントするのはやめたら？　パンツはともかく、ブラのサイズが合わなかったらどうするの？」
　思いを寄せる子のブラのサイズなんて、わかるわけがない。
　ここの下着は評判が良いと聞いたのでプレゼントしよう！　と思い立ったのはいいが、貴子に指摘されるまで気づかなかった。
「じゃあ、パンツにするッス。可愛いの選んでくださいッス」
「自分で選びなさい」
　太陽の付き合いは疲れるし、サイズが合わなかったら損するだけだ。
　そう言いたかったが、真剣にプレゼントを選んでいる太陽に言える雰囲気ではなかった。