嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！｜リアクション

嫉妬暴走！　リア充爆発しろ！

●予告無し災難

　八十八旗信彦が買ってくれた服に着替えた上穗木千鶴は、はしゃいで次のデート場所に行こう、と信彦の手を取った。
　そんなふたりと、疲れた……とげんなりする北風貴子、プレゼントを買えて一安心の南波太陽がステッラ・デッラ・コリーナを出たのは同時だった。
「貴子ちゃんもここで買い物したのかい？」
　溜息をつき、信彦に「まあね」と答える貴子の表情は冴えない。
「バカ太陽の付き合いでね」
　太陽があれこれパンツを手にし「これ、どうッス？」と聞きまくったので。
　選んだのは太陽だが、レジで会計を済ませたのは貴子だ。恥ずかしいと言いつつ最後まで付き合ったのは、風紀委員長ゆえの律義さだ。

「リア充発見！」
　REDCを引き連れたリア充＝スレイヤーとデビルサンタさんが現れた。
「チャラ彦ちゃん、また違う女の子に手を出しているのだ！？」
　何で俺の名前を！？　と驚く信彦を無視し、太陽にも宣戦布告するデビルサンタさん。
「太陽ちゃんセンパイ、またナンパなのだ！？　アフロをプレゼントなのだっ！」
　名前を知られていることより、見ず知らずの子に何故そんなこと言われなきゃならないんだと怒る太陽。
　頭が痛くなった貴子と、騒動に巻き込まれ自身のろっこんが発動してしまうと不安になる千鶴。
　逃げよう！　と千鶴の手を取り逃げようとする信彦だったが、ぶつかった拍子に彼女の胸に触れた。
「ごめん！　偶然というか、故意なんだ！」
　うっかりとはいえ、千鶴のろっこんを発動させてしまった。
（ぼくのろっこん発動しちゃった……何されるかわからないよ……）
　それを見たREDCは、信彦をエロいリア充と認識し爆発する気に。

　レディを守るのは紳士の使命、と信彦がREDCの前に。
「やるのか！？」
　身構えるREDCに対し、彼はこう発言した。　
「恋人がいないなら、今から作ればいいじゃない」
　フランス革命ならぬ非リア革命がヒートアップしそうな煽り文句を。
「ふざけるな！　恋人がいれば、こんなことしない！」
「ふざけてなんかいないよ。それだけ同志がいるのは、幸せなことだよ。その時点で、君たちはリア充なのさ」
「貴様にボッチの苦しみ、悲しみがわかるか！　イケメンが台無しになるほど爆破してやる！！」
　信彦の説得は、REDCの怒りに油を注いだ。
「しょうがないね」
　財布からブラックカードを取り出し、カッコイイポーズを取りろっこんを発動した信彦は別の方法で説得を。
「君たちはボッチなんかじゃない、わかちあえる仲間がいる幸せなリア充なんだ。俺の言っていること、わかるかい？」
　その言葉に納得したのか、REDCの何人かは爆発をやめることに。
「リア充の言葉を鵜呑みにするな！　爆発しろ、爆発！！」
　怒鳴るリア充＝スレイヤーを無視し、何名か戦線離脱。

「家に引きこもるわけでもなく、志を同じくする仲間とリア充妨害しているREDCは、ある意味リアルが充実してると言えるんじゃないかな……」
　千鶴の言うことはご尤も。
「リア充＝スレイヤーとデビルサンタさんは恋人同士に見えると思うんだけど」
「真の非リア充は引きこもりなんだよ。爆破してる時点でリア充じゃない？」
　千鶴のその一言が、無意識にREDCに精神的ダメージを与え、自爆に追い込んだ。
「そ、そんなことが……！」
「デビルサンタさんはリア充じゃないのだ！」
　REDCと信彦、千鶴の会話に苛立ちをおぼえた貴子は「いい加減にしなさい！」と怒鳴った。
　これ以上続けるなら力づくで止めるわよ！　と言わんばかりの気迫の貴子に怖気づくREDC。
「お、おぼえてろ！」
　お約束の捨て台詞を吐き、リア充＝スレイヤーは仲間と立ち去った。