変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～｜リアクション

変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～

【遅れてきた被害者】

　ワリタリーヌ＝サンが到着する少し前のこと。
　のこのこと現場に今回の不幸な被害者担当が現れた。
　被害者１号こと羽生碧南は、気まぐれで海岸線をジョギングしていた。
　なにか胸騒ぎがして仕方がない彼女は、寮からこっそり抜け出しているのだ。
「さすがに12月なので吹き付ける風が凄まじく冷たいね……」
　吐く息が白く染まる気温。
　もうすっかり真冬だ。
「寒っ！　もう１枚くらい羽織ってくればよかったなぁ」
　そんなことをちょっと後悔している矢先、海岸線に火の手が上がっていた。
「あれ？　燃えてる？　って、誰かが集まって焚き火をしている？？」
　怪しさ満載の目の前の光景に、羽生は興味が湧いてきた。
　恐る恐る近づいてみると……。
「えっ？　なんで……？　なんで、こんな寒い中、裸の男女が騒いでるの！？」
　どう見ても変態でしかない集団にドン引きする羽生。
　通報するべきか悩む彼女の前で、光り輝く一筋の流れ星が変態の股間に突き刺さった！
「ぎゃあああ！？　熱っつつつつつ！？」
　HITしたのはRYU★ZINだ。
　彼のロリータ愛が天に通じたのだ。
「モテモテスター、ゲットォッ！！　でもメッチャ熱い！　股間が熱い！」
　RYU★ZINは砂浜をぴょんぴょん飛び跳ねていた。
　そんな奇行にビビった羽生は、その場を立ち去ろうとした。
　しかし、不意に誰かに袖を掴まれたではないか。
「アレを見ないで帰るなんて、もったいないですよ……？」
　暗闇の中で月明かりに照らされて浮かび上がる銀髪の少女。
　RYU★ZINこと冴木竜司を理想の男性として愛してやまない鬼崎つくしが羽生を物陰に引っ張り込んだ。
「え、ちょ、いきなりなに？」
「しーっ！　隠れて観察するのです！」
　鬼崎がうっとりとした表情で変態たちを眺めていた。
「あ、勘違いしないでくださいね。私のお目当ては、あのぴょんぴょん飛び跳ねている逞しいお兄ちゃんだけですから」
「……知り合いなの？」
　羽生が尋ねると、鬼崎は顔を赤らめて答えた。
「はい、竜司お兄ちゃんは私の彼氏……に限りなく近い人です！」
　羽生は恐怖した。
　世の中には『蓼食う虫も好き好き』と言って、人の好みは千差万別なのであるが、あの変態を愛する鬼崎の感性に羽生は戦慄した。
「私、このチラシの内容を見て来ました。眉唾物だと思っていましたが、本当にあるんですね、モテモテスター！　ああ……お兄ちゃんがマッシブなパーフェクトボディに……！　素敵♪」
「あー、この子、理想を追い求めすぎて現実との境目が危うくなってるんだ、きっと。理想がライジングしてるんだね、可哀想に……」
　羽生は今度こそ、その場を立ち去ろうとした。
　しかし、RYU★ZINの肉体を見て驚愕した。
「え、なんで？　股間に輝く葉っぱをつけた変態の体が３秒暗い目を離した隙に超マッチョになってるよ！？」
　羽生は状況についていけない。
　モテモテスターの効果によって、装着者は一番モテモテになれる状態へ肉体を変身するのだ。
　更にそのモテモテオーラは異性に無差別で発揮される！
「え、待って、私、なんで胸がドキドキするの？　なんで魅入ってるの？　冗談じゃないよ、私は変態じゃない……！」
　視線を逸らしたくても羽生は逸らせずにいた。
「お姉さん、お兄ちゃんの上腕筋や６つに割れた腹筋が作る体のラインとか最高だと思いませんか？」
「うん、とってもセクシー……って、私、そんな趣味ないから！」
　鬼崎の同意を求める声に、危うく乗りかかる羽生。
「こんなところにいてられるか！　私は帰るよ！！」
　羽生が本当に帰ろうとした矢先、RYU★ZINは奇声をあげながら葉っぱ１枚で旧市街方面へ猛ダッシュを開始。
「あ、お兄ちゃんが行っちゃう！　待って！」
　鬼崎もRYU★ZINを追い掛けて言ってしまった。
　ひとり取り残された羽生に、全裸のルーシーがやってきた。
「ところで、この我の裸を見てみよ。今が煌めき、輝く時！」
　片手を高々とかざし、ろっこん名を叫ぶルーシー。
　この瞬間、羽生はルーシーの裸体に惹きつけられてしまった。
「すごく……おおきいです……」
　あえて、どこがとは言わない羽生である。
「そうかそうか。大きいか。これが大きいのか？　ん？」
「ハッ……！　私はマトモだよっ！　同性の変態に構ってる場合じゃ……」
　我に返る羽生だが、その度にルーシーのろっこんの餌食になってしまう。
　しばらく羽生はその場で足止めを食らうことになる。

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変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～

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