空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～｜リアクション

空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～

・その頃、海岸では（１０：００）
　

　満は敵兵を正確に打ち抜く。
　一つ、二つ……しかし、帰ってくる敵の弾幕の方がまだ明らかに多い。
　開戦して一時間ほどしかまだたってない事実に、恐怖する。
　やがて、その恐怖は、スキを生じさせ、そのスキに悪魔は舞い降りた。
　まるでそれが始まりだと言わんばかりに……。
「う、嘘なんよ……お、俺はまだ………やりたいこと、何も……やれて……」
　敵の銃撃に満が倒れる。
　それを振り返っている余裕は無くなっていた。
「……手が痛い」
「ぼやく暇あったら、撃った方がいいべ」
　天野のぼやきに、海斗がライフルを撃ちながら応える。
　即興の防衛ラインが聞いたのか、終わる事なき戦いが続いている。
「あ、無線が」
　真帆が気づく。どうやら、誰かが無線を弄っているようだ。
　その瞬間、３つの手榴弾がぎりぎりまで接近してきた敵から放り込まれた。
「しまっ……！」
「……地獄に、来るなよ」
　無線と同時の敵の突如の行動に驚いた真帆らは対応を誤る。
　かっと爆風が真帆と天野を包み込んだ。
「うあぁぁぁぁ……！」
　よろよろと火傷を負いながら立ち上がった海斗は、近づいてきた敵に白兵戦を仕掛ける。
　ぐしゃりとつぶし、刺す感覚を堪能しながら、敵兵に刺し殺される。
「ああ……そりゃ殺したんだから殺されもする……べな。忘れ、とったでや……」
　海斗はそう言いつつ、ゆっくりと倒れる。
「あは♪　いいわぁ、だんだん戦争らしくなってきたわ」
「そして、味方を泣く泣く盾にして、この戦局を乗り切る……。素晴らしいハートフルストーリーですね！　一方的な吊り橋効果って大好きですよあなたはもういないのってね♪」
　虚は手斧を振るい、エレノアはあらかじめ尾鎌蛇那伊が捨てていった手榴弾などを最大限に利用し、敵と戦い続ける。
「悲しいね、悲しいね。早々に死んだばかりに、仲間を撃つ銃の反動をその手に感じることになろうとは」
　さらにエレノアは人形のような敵だが、その敵を手を入れ後ろから抱き上げ、死体が銃を構えているような体勢にして、肉の盾にする。
「こちら……八神、浜辺の状況は……」
「たった今、二人になったわ♪」
　修の声に、虚が応える。
「えぇ、とっても楽しいです。今」
　エレノアがさらに重ねるように言う。
「……いいわねぇ。もっと！　もっとよ！」
「……分かった、死ぬなよ」
　虚がさらに一人、ざくっと斧で切りつける。
　修はそんな状況を確認し、通信を閉ざした。
　もはや、寝子ヶ浜海岸の戦力は瓦解していた。
　その瞬間であった、塹壕から出ていた虚の胸部をライフルの弾が貫いた。
「……あはっ♪」
　そのまま嬉しそうな声を上げて倒れる虚。
　そこに一発……二発……と銃弾がたたき込まれる。
　内蔵がやられたのか、わき上がってきた血反吐を吐きながら倒れ込む。
「あはは、殺して、殺されて……最っ高♪」
　さらに、銃弾がたたき込まれ、びくんっと一回痙攣した後、虚は絶命した。
「これで、私一人ですね」
　じりじりと迫る敵兵。
　その動きは、どこまでもコンピューターAIのような人形さを連想させる。
「ここまで人形ですか。失望させないでください。人を殺す時はもっと楽しそうにやるものですよ。私が手本を見せたでしょう？　あっははは！」
　そう言って、敵兵から強奪していた手榴弾のピンを引き抜く……。
　エレノアは、敵兵を多く従えて……消えた。

　こうして、寝子ヶ浜の戦いは終結に向かった。
　敵兵に多大な損害を与えて……。

○死亡報告（１０：００～１０：１５）
　絢霧満　敵兵の銃弾に当たり死亡
　逆巻天野　敵兵の投げた手榴弾に当たり死亡　
　七海真帆　敵兵の投げた手榴弾に当たり死亡
　鈴野海斗　白兵戦の末、敵兵の刺突による死亡
　常闇虚　銃弾による内臓破裂および、身体的ショックにより死亡
　エレノア・エインズワース　敵を巻き添えにして爆死