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思い出のスノードームをつくろう
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浮舟 久雨
は
畑生 言嗣
とともにスノードームづくり教室に参加していた。
一緒に申し込んだので、同じテーブルで、席もとなり同士だ。
(……なんだ? なぜ私は、何もしないうちからこんなに胸をドキドキさせているんだ?)
まるで100メートル疾走でもしたようじゃないか、と俯いて自問自答していた久雨の耳に、そのときふっと息がかかった。
「ちゃんと講師の話を聞きたまえ。でないと、何をすればいいか困ることになるかもしれないよ」
「!」
ガタガタン。反射的、反対側に全力で体をひいてしまい、手をついたテーブルとイスが大きな音をたてて揺れる。
「む。どうしたんだね?」
「ちっ、近っ。きさまっ……、み、耳に息がかかったぞっ」
顔を真っ赤にして耳を押さえている久雨と対照的に、言嗣はまったくの無表情で何も動じているふうでない。
「当然だろう。講座中の内緒話だ、こっそりしなくてどうする?」
「そ、それは……、そうだが……」
「どうかしたんですか?」
音を聞きつけた檀上の密架が声をかけてきた。つま先立っているところからして、前の人たちの頭に隠れてよく見えていないようだ。
「大丈夫だ! 何でもない! 先を進めてくれっ」
久雨はまだ赤みの引かない面を俯いて隠しつつ、それだけを言うのが精一杯だった。胸は早鐘になっていた。
(まったく。いきなりとんでもない醜態をさらしてしまった……)
少し時間が経って、ようやく落ち着きを取り戻した久雨は、先の自分の行為を猛省しつつ、スノードームづくりにとりかかる。
デザインし、材料を手元に持ち帰っていると、同じように材料を取ってきた言嗣が、もの問いたげにじっとこちらを見ていた。
「何だ?」
「いや、何をつくるのかと思ってね。教えてもらえるだろうか?」
「だっ、駄目だ!」さっとデザイン画を後ろ手に隠す。「何を作るかはまだ秘密だ。きさまはきさまの作業に集中しろ」
「む、つれないね。まあ秘密であるならばしかたがない。私も秘密にしておこう」
言嗣は肩をすくめてあっさり離れて行って、言葉ほどに残念がっているようには見えない。もしかすると、まだあきらめてはいないかもしれない。用心しつつ久雨は席につくと、自分の体で隠れて見えないようにしながら組み立て始めた。
(スノードームなどつくるのは初めてだ。少々緊張するな……)
久雨がつくろうとしているのは、海辺の砂浜だった。そこにシャチの人形と、それより少し小さなクジラの人形をとなり同士にして置く。
これは、自分と言嗣だ。シャチが言嗣で、クジラが私。イメージは、あの夏の花火大会の夜だから……。
(あのとき、すごくきれいな花火が上がって……言嗣が、あれは土星だと教えてくれたっけ)
そのときにした言嗣とのあれやこれやを思い出し、そこから連なる一連の思い出が一気によみがえって、また心臓が早鐘となって顔が赤くなりかける久雨だったが、次の瞬間あることに思い当たって、それ以外のことはきれいさっぱり吹き飛んでしまった。
「どうしたんだい? また固まってしまったようだが」
敏感にそれを察知した言嗣が、ぽんと久雨の肩をたたく。久雨は真剣な表情で肩越しに振り返った。
「打ち上げ花火を表現したいが、どうすれば良いのだ?」
スノードームは、なかに入れる物は台座に接着し、それを精製水と水のりを混合した液体を詰めたガラスの球体カバーに取りつけることで完成する。
つまりひっくり返して正常な状態に戻したとき、頂点となる部分は丸く、ツルツルとしているのが通常。浮いた物を表現するためにはどうすればいいのか、久雨にはまったく想像もつかない。
かといって、問われた側の言嗣が分かるのかといえば、言嗣も久雨と同じく今日が初めてのスノードームづくりだ。
(それでも久雨くんのためだ、何とか思いつきたいものだが……)
無表情の下でふむりと考え込む。しかし久雨は間をあけず次の瞬間
「分からんところは講師に訊くのが早くて確実だ。よし、行ってこよう!」
ポンと手を打つと、さっさと密架を探して離れて行ってしまった。
その後ろ姿に、言嗣は、んー、と小首を傾げる。
「分からないところがあれば私が教えてやりたいし、教えられずとも一緒に悩んだりもしたいのだが……久雨くんが相手では、なかなかそううまくはいかないようだね」
しかしあの行動力も、愛すべき彼女の特質なのだからと、言嗣は苦笑するにとどめた。
久雨から相談を受けた密架は、「簡単よ」とほほ笑んだ。
「スノードームは、必ずこの台座が下でなくてはいけないということはないの。上にきてもいいのよ」
密架が提案したものは、台座を上にしてそこからワイヤーあるいはテグスで花火のフィギュアを吊るすというやり方だった。ちょうど外観的には電球がさかさまになったような形になる。台座は別に用意してもいいし、そのまま壁から吊るすように紐をつけてもいい。
「おお、なるほど! その手が!」
「あなたの場合、下は砂浜だからむしろ本来のやり方よりこちらの方がやりやすいでしょうね。接着剤で砂をガラス部分に定着させて、その上にシャチとクジラを置くの。夜空は……そうね、台座やその周辺のガラスを少し、黒と紺でそれっぽく着色して、ラメを貼りつけてもいいかもしれないわ」
「分かった。そうする。ありがとう」
久雨は礼を言い、頭を下げると、来たときと同様風のような素早さでさっと自分のテーブルへ戻って行った。
「言嗣――」
意気揚々、解決方法が分かったと知らせようとして、彼の真剣な横顔に言葉を止める。そのいつにない表情に、集中の邪魔をしてはいけないと思って、久雨はそっと自分の席に、音を極力たてずにすべり込んだ。
(言嗣がこんなにも真剣になってつくっているんだ。私も見習ってつくろうとしよう)
そう思い、言われたとおりさかさまにしてスノードームづくりを再開したが、どうにもとなりが気になってしかたがない。ちらと横目でうかがうと、先ほど見たときのまま、言嗣は黙々と作業に没頭しているようだった。
何をそんなに熱心につくっているのだろうか? その手元に着目し、見つめる。残念ながら、言嗣の手が邪魔をして、手元では何がどうなっているのか、よく見えなかった。
(大きな手だ。……男の手、なんだな……)
そして器用でもある。あの手が、指先が、どんなふうに動くか。久雨は感覚で知っていた。もう数えきれないくらい何度も、あの指にいろいろなところを触れられてきたから……。
「どうしたのかね? 久雨くん。そんなに見つめられては照れてしまうではないか」
突然言嗣の声が耳朶を打ち、久雨ははっと現実に立ち返った。
これだけ集中しているならバレないとたかをくくって途中から堂々見ていたのだが、意外とそうでもなかったようで、いまや言嗣は作業の手を止めてはっきりと久雨の方を向いていた。
しかも至極真面目な顔をして、こちらを見ている。
カーッと一瞬で頭が沸騰した。
「み、見つめ……違う! 私はただっ、見とれて、いた、だけで……」
……ああ、私は何を言っている!
「そうじゃなく……、見とれて、いたのはきさまの手でっ、私はこの指に触れてもらっているの、か、と……」
駄目だ! 脳が沸騰して、口がばかになった!
「ほほう」言嗣の瞳が一段階深まったような気がした。「そんなに接触を求められていたとは露知らず、申し訳ないことをした。やはり久雨くんにも私成分が不足していると見える。これはさっそく補給してあげねば」
さあおいで、と伸ばされた手を久雨の手が逆に掴み、そうはさせまいと突っ張らせる。
「ちが……っ! だから、そうじゃ……ないと……っ」
頭のなかも胸のなかもぎゅうぎゅうに詰まっているのに、さっきからちっとも言葉になって出てくれなくて。もどかしい。
「久雨くん?」
「……もういいっ」
久雨は手を放し、強引に体の向きを変えて作業に戻った。
(む、視線を外されてしまったね。
もう少しあの表情を見ていたかったのだが……実に残念だ)
だがいい言葉を聞かせてもらった。ここではひと目につきすぎるからこれ以上は控えるが、あとで十二分に、互いの成分を補い合うこととしよう、と言嗣は心にとめた。
その後はふたりとも黙々と作業に励み、やがて教室は終わって、それぞれ完成したスノードームを手に帰路へつくことになった。
「久雨くん、帰らないのかい?」
テーブルの横に立ったまま動こうとしない久雨を振り返り、言嗣が問う。久雨は人がいなくなるのを待ってから、ラッピングしたスノードーム入りの箱を差し出した。
「言嗣。これを受け取ってほしい」
「おや、久雨くんもかね?」
やはり我々は以心伝心、心も体もバッチシのようだね……! と、言嗣もまた、自分のスノードームを出した。プレゼント用にラッピングされたそれは、もとから久雨に渡すつもりだったことを裏付けている。
「開けてもいいか?」
「うん。久雨くんに見てほしい」
それは厳粛な響きをしているように久雨には聞こえた。
そのスノードームは、小さな家があり、幸せそうな男女がそこに入っていく様子を描いたスノードームだった。男女は手をつなぎ、互いを見つめている。
我が家だ。久雨は直感した。
これはふたりの我が家。帰る場所。何があろうとも、ふたりにはともに手を携えて帰る場所があることを意味している。
「……いつかは、ね」
言葉を失っている久雨に、言嗣がささやく。
「何も言えないなら無理をして言わなくていい。久雨くんが感じていることは、十分伝わってるからね。
いつか。それを声に出して言えるようになったら……聞かせてほしい」
外に通じるドアを開け、さあ帰ろう、と手を差し出される。その手に、自然と久雨は自分の手を重ねることができた。
ぴゅっと冷たい風がうなじを走り抜け、首をすくめさせる。
「ふふ、外は寒いだろう。私も寒い。ならば、互いに暖め合うのが必然だね?」
意味ありげなセリフを投げると同時に、言嗣はつないだ手をそのまま自分のコートのポケットに突っ込んだ。
「わひゃあ!? きさっ……、放せーっ!」
……と。いつもの久雨ならそう叫んで、なんとかして手を引き抜こうとしただろう。けれどもこのときばかりは久雨も抵抗したりせず、赤くなった顔を俯いて隠し、おとなしくされるがままになっていた。
そんな久雨を見下ろして、言嗣は冷たい息を吐き出しながら思った。
この寒さから来るあたたかさは、こんなに小さなぬくもりでありながら、存外と心地が良いものだ、と……。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月09日
参加申し込みの期限
2015年12月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月16日 11時00分
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