みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）｜リアクション

みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）

起：原っぱで遊ぼう！

　見渡す限り、周りはかわいい男の子だらけ。こんな場所に佇み、ロベルト・エメリヤノフは嬉しそうに目を輝かせた。

（やっぱり、かわいいよねっ！）
　そういう彼も子どもに戻っている。こうなる事を望んだ彼は、とても楽しそうにとけこめそうだ、と頷いた。おもわず「ダーイブ！」と飛び込もうとしたがそこはとりあえず辞めておいた。
「早速誰かと遊べたらな～」
　そんな事を呟きながら歩いていると、和服を着た猫目の少年と出くわした。好奇心で目をきらきらさせた少年の顔に、ロベルトは「あっ」と息を飲んだ。
（えーっと、舞踊担当の上野先生？）
　彼が知っている上野睦子という舞踊担当の先生は、初老に差し掛かった女性だった。だが、今目の前に居るのはくせっ毛を弾ませた少年だ。
「僕は睦だよ。お兄ちゃんは、誰ね？」
「ロベルトって言うんだ」
　ロベルトが笑顔で答えると、睦子……いや、睦はにぱっ、と猫目を細めた。その愛らしい笑顔にロベルトの表情が蕩けそうになるが、ここはぐっ、と堪えた。
「ロベルト兄ちゃん、一緒にあそぼ？」
「うんっ」
　睦に誘われたロベルトは、さっそく手をつなぎ原っぱを冒険してみる事にした。

（？　なんだかいつもより空が高く感じますね。それに、地面が近くなっとる気がします）
　外で本を読んでいた筈の倉前七瀬は、３冊目の本に手を伸ばしたところだった。ふと覚えた違和感に首をかしげ、手にした本もいつもより少し重く感じるな、と思いながら顔を上げると……、見覚えの無い原っぱである。
「僕さっきまでこんな原っぱにいましたっけ？　……まあ、いいか。きっと気のせいですねぇ」
　また首をかしげる七瀬であったが、すぐに気を取り直し、読書を再開する。実は異空間に飛ばされているのだが、彼は「いつのまにか読みながら移動しとったんでしょう。……たぶん」と頷いただけ。景色がちょっと変わったとしか思っていないようだ。
　周りに小さな男の子だけ、という光景をちらり、と見て気付いたのは妙に会った事のある人に似ている、という事。「弟さんとかおったんでしょうかね？」と首を三度かしげたとき、弾んだ足音が聞こえてきた。睦とロベルトである。
「こんにちは～！　何を読んでいるの？」
「こんにちは。僕は、こういうの読んどります」
　七瀬は挨拶しながら読んでいた本を見せ、ロベルトは「面白そうな本だねぇ」と興味を示した。睦の方は何かを思い出そうとしていたが、思い出せないような表情である。
「ねぇ、よかったら鬼ごっこしない？」
「２人だとちょーっとつまらなんくて」
　ロベルトは気を取り直し、睦と一緒に七瀬を遊びに誘う。本を手にしたまま七瀬は少し考えたが、
「僕でよければ……」
　と小さく頷いて立ち上がった。
（まぁ、たまにはこういうのもよかでしょう）
　因みに、彼自身はまだこのように（↓）縮んでいる事に気付いていない。

　こうしてしばらくの間鬼ごっこに興じる３人。そうしながらも七瀬は妙に世界が広い事に気付くも、自分のおかれている状況に関しては気付かない。
　たまに原っぱをころげたりして、おもいっきり遊んでいると、最初から３人で遊んでいたような感覚を憶えていく。ロベルトは本当に夢見心地で睦と七瀬と遊んでいた。
（この目線の原っぱって、すっごく広いんだねぇ！）
　走りながらロベルトは思わず息を飲んだ。普段の身長で見渡してもちょっと広く感じた場所だ。背の縮んだ今、なおさら広く感じる。それは己が幼い頃の姿に戻っている自覚がない七瀬も同じで……。
（今日は、なんか世界が広く感じるとです。なんかいつもよりのんびりしたとうなりますねぇ）
　ちらりと振り返れば睦が走ってくる。とっても楽しそうに走るその姿は、何処となく仔猫を髣髴とさせる。

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