みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）｜リアクション

みんなショタったらいいじゃない（例外もあるけど）

「捕まえるばい、兄ちゃんたち～っ！」
　睦がさらに足を速める。油断すれば捕まりそうだ。目をキラキラさせる睦と飄々と走る七瀬。そんな２人の笑顔に内心メロメロなロベルト。
（あぁ、もっと眺めてたいなぁ！　でも鬼ごっこなんだよね）
　そんな事を考えているうちに睦がぴょん、とジャンプ。振り返ったロベルトは思わず受け止めてしまった。
「へへ～っ♪　ロベルト兄ちゃん捕まえたっ」
「捕まったかぁ。ちょっと疲れちゃったな」
　ロベルトが苦笑していると、七瀬も頷く。ふと、ロベルトが顔を上げると……そこには洋館があった。
「ちょっと行ってみようかなー。２人はどうする？」
　ロベルトの問いかけに、睦は少し考える。一方の七瀬は額の汗を拭いながら、
「うちは、読書の続きばしとります」
「僕も疲れたからちょっと休むよ」
　睦もそういって近くにあった木の切り株に腰掛ける。ロベルトはそれを残念に思いながら１つ頷いた。
「それじゃ、僕は行ってくるね～。一緒に遊んでくれて、ありがとう」
「僕も楽しかったよ。ありがとう」
「またね～」
　七瀬と睦に手を振り、ロベルトは洋館へと向かっていった。

　＊　＊　＊

　ロベルトと別れた七瀬は、近くにちょうどいい木を見つけた。その下に座り片手を、本を読むときのように前に出した。
（せっかくだから、ちょっとろっこんで本をだしてみましょうかね）
　彼のろっこん『空気を「読む」』は、その名のとおり『空気を「読む」』と強く念じる事で発動する。その効果は『場の雰囲気を漠然と記した本が出現する』というものだった。
　七瀬がろっこんを使うと、ちょっと厚めの絵本が現れる。タイトルは『不思議な原っぱ』という物で、柔らかい緑と洋館、お菓子の家、牧場が色鉛筆で描かれている。
「ん？　七瀬兄ちゃん、何を読んでるの？」
「不思議な絵本だよ」
　ちょっとうとうとしていた筈の睦が興味を持ち、覗き込む。

　絵本は４つの話からなっていた。１つは原っぱで遊ぶ子どもの話。１つは洋館で苦難（？）に立ち向かうお話。１つはお菓子の家でのお話。もう１つは、牧場で頑張る小さなカウボーイのお話だった。
「どれもおもしろそう」
　睦が興味深そうに頷いていると、七瀬は「そうですね」と言いながら捲ってみる。と、３人の子どもが追いかけっこしている姿が目に飛び込んできた。原っぱで本を読んでいた男の子が、２人のお友達に誘われて広い原っぱを駆け回る話で、睦は「僕たちみたい」とはしゃいでいる。だが、七瀬はというと……。
（こういう事もあるものですねぇ）
　とのんびりした感想を持っていた。

　その様子を伺う影が１つ。彼は２、３考えているようだったがややあって原っぱを突き抜けている。風のように走り去る影に、七瀬も睦も気付いていないだろう。
（少し、眩しいかな……）
　様子を伺っていた筈の少年は、内心でぽつり、と呟いて近くを見渡す。青々とした草原の先には、丁度林がある。気が向いたらそっちに行って見ようかな、と呟いた。

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