お見合い狂想曲っ！｜リアクション

お見合い狂想曲っ！

　グレーを基調とした大人びた服装に身を包んだシオ・レイゼルオークは、『spraoi』の雰囲気を楽しんでいた。この店は以前から気になっていたのだ。おすすめ料理を食べながら、暖かみのある内装を楽しむ。ジャガイモを多く使うアイルランド料理は、豪勢ではないが家庭的なのが特徴だ。料理にも雰囲気にも満足したシオは、気分良くリラックスしていた。
「テイクアウトはできるのかな？」
　店員を呼ぼうとしたシオは、ふと店内の一部の学生たちが騒がしいことに気づいた。マナーが悪いのではなく、何か問題が起きているようだ。しかも引率の女性はワインで出来上がりつつある―――？シオは席を立って話しかけに行った。
「あなたたち、何かお困りなの？」
　簡単に事情を聞いたシオは腕組みをして考えた。
「お見合いの子が遅刻かー。相手の人も１時間くらいは待ってくれると思うわ」
「それは……なぜ？」
　生徒たちの一人、龍目豪が質問する。大橋先生は担任なので、放っておけなくてここに来たのだ。
「お見合いなんだから、事前に個人情報、三国志好きとか遅刻癖とか知った上で受けてるだろうし。だから相性面では良くて、会えばそれなりに良縁のはず。……って最近見たテレビ情報だけど」
　シオは茶目っ気たっぷりに笑った。
「なるほど……でも、三国志好きはともかく、こんなに遅刻するなんて俺たちも予想外なんです。だから相手の人も待ってくれるか……」
「あら大変。二人には会って欲しいわね。すれ違いで会わずに、なんてやだわ」
　豪の言葉を聞いて、シオはちょっと真面目な顔になる。
「私に手伝えることあるかな？あと、敬語じゃなくていいわよ。君たち、苗字にさん付けで呼んでいいかな？」

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