お見合い狂想曲っ！｜リアクション

お見合い狂想曲っ！

　お洒落なレストランの中から見ると、雨模様の夜もいいものだな―――高良聡介は手持ち無沙汰な感じで見合い相手を待っていた。今日会う予定の相手は、高校の先生だそうだ。その相手、大橋尚さんの写真は、とても優しそうだった。紹介してくれた仲人から人柄を聞くたび、素敵な人だという気持ちが強まったものだ。
　学校の先生だ、きちんとして行かないと……高良はそう思って待ち合わせ時刻の15分前に来たのだが。
「……遅いなぁ」
　待ち合わせの時刻が、過ぎようとしている。

「何やら、トラブル発生のようだな」
　七條蛟は、何か問題が発生したことを理解した。お見合いの野次馬、もとい見守りにきたという人たちを店内に入れたはいいが、どうも様子がおかしい。よく聞いてみると、見合い相手の女性が大遅刻をやらかしそうだというのだ。
　店のことを置いて迎えに行くわけにはいかないので、一人で待たされている男性の方をさりげなくフォローしてあげようか。とはいえ、一人のお客さんにつきっきりで相手するわけにはいかない。
「飲み物のおかわりをお持ちしましょう」
　蛟は高良に話しかけた。
「それじゃ、お願いします」
「……アイルランドのお酒といえばギネスが有名ですが、アイリッシュ・ウィスキーもありますよ」
「ありがとう、でも私はあまり飲めなくてね」
　何気ない話題を振り、軽く話をして場を持たせようとする蛟。だが、店を切り盛りする立場の彼には限度がある。

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