あつまれ☆サンマ幼稚園｜リアクション

あつまれ☆サンマ幼稚園

　教室の床に大きなビニールシートを敷き終えて、露草はふうと満足げに額の汗を拭った。
「『おうち』、かんせーい！」
「それじゃあ、早速始めようか……つゆは何役がしたいの？」
「わたしは、お母さん役をやりたいなあ。でも、お母さん役やりたい子がいるならおばあちゃんでもいい！」
　そう言って笑う露草に、夏夜はおままごとに必要そうな物をおもちゃ箱から淡々として取り出しながら、
「じゃあ僕はお父さん役でいいよ。つゆがお母さんをやったらいいと思う」
　なんて、表情は変えないままで応える。
　露草の表情が、ぱああと輝いた。
「夏夜ちゃん、いいの！？」
　頷いて応じれば、ありがとうの言葉と笑顔が夏夜に向けられる。
（元々、なり手がいない役に回るつもりだったしね）
　そんなことを思う夏夜だが、それでもやっぱり、誰かに喜んでもらえるのは嬉しい、かもしれない。
「ごめんね、おまたせ！」
　その時、ぱたぱたと教室に戻ってきたのはお手洗いに行っていた恵である。
　背の低い恵にとっては、お手洗いに行くのも結構な大仕事なのだ。
「じゅんびありがとう。だれがなにやくかはもうきめた？」
「うん、わたしがお母さんで夏夜ちゃんがお父さんだよ」
「じゃあボクは、こどものやくをするね！」
　配役が決まったら、楽しいおままごとの時間の始まりだ。
「あさごはんできたわよー！　ほら、おきておきてー！」
　すっかりお母さんになりきった露草が、おもちゃのお玉を手に２人を起こす。
「ふわぁ……おはよう、おかあさん。きょうのあさごはんはなぁに？」
「今日の朝ごはんはねぇ……白米とお味噌汁と、焼き魚と……納豆！」
　好き嫌いはだめよ、とお母さんらしいことを言う露草だが、実はそんなことを言う露草本人がピーマンが苦手なのは彼だけの秘密である。
「お母さんの料理はいつも美味しいなぁ」
「もう、お父さんったら」
　はっはっはとちょっぴり低い声で笑う夏夜は、真面目にお父さん役に徹している。
　皆が楽しめるようにと全力なのだ。
「ボクも、おかあさんのごはんすきだよ。もぐもぐもぐ」
　恵、食べ終わったご飯（勿論おもちゃだ）を、せっせとおもちゃ箱に仕舞っていく。
　使っていない物を出しっぱなしになんてしておけない性分の恵である。
　ほっこりとした朝ごはんの時間が終わった、ちょうどその時。
　ガラガラガラと、教室の扉が開いた。
　現れたのは泉先生、そして、先生の手を片方ずつ握った碧南と寧々子だ。
「楽しんでるかい？　だが、そろそろお片付けの時間だ」
　泉先生の言葉に「はぁい」とおりこうさんの返事をして、３人はおもちゃを片付け始める。
（……遊べる時間はもう終わりか）
　片付けの手は止めないままに、夏夜は露草と恵の方をちらと見遣った。
　恵はテキパキと片付けに夢中になっている様子で、露草は「お片づけ、お片づけー♪」とにこにことして手を動かしている。
「あの……ありがとう」
　小さく声を漏らせば、露草と恵、２人分の視線が夏夜へと向けられた。
「……楽しかったよ」
「ボクもたのしかった！」
「ふふ、また皆で遊ぼうね！」
　返る言葉と笑顔のあたたかさに、
（また一緒に遊ぶのも……悪くはない、かな）
　そんなことを胸に静かに思って、夏夜は小さく頷くことで露草の言葉に応えるのだった。

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あとがき

担当マスター：巴めろ
ファンレターはマスターページから！

お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました！

アクションをお預かりする時はいつも有り難く身が引き締まる思いがすると同時にわくわくもするのですが、
今回は５歳児なＰＣ様を描かせていただくということでまた違った感慨もあり、でした。しみじみ。
夢の世界の幼稚園な時間、ＰＣ様方にも皆様にも楽しんでいただけましたら幸いです。

また、今回のリアクションに関しましては、
ご参加くださった全てのＰＣ様が複数のページに渡って登場しております。
「次はどんなふうに登場するかな？」とページを捲っていただけますととっても嬉しいです。

重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
ありがとうございました！

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