寝子島っ子集まれ！　餅つき大会｜リアクション

寝子島っ子集まれ！　餅つき大会

○甘酒もあるよ！

「むぅ……」
　甘酒の紙コップをお盆に乗せて、寧々子はふて腐れていた。
「どうかしたのかい？」
　やはり甘酒を配りながら、おばちゃんが尋ねる。
「おばちゃん、別に手伝わなくてもお餅、たべれるじゃん」
「あっはっは、手伝わないと食べられないなんて、あたしは言ってないよ」
　確かに、おばちゃんは”手伝ってくれないかい？お餅が食べられるよ”と言った。
　”手伝ってくれたらお餅が食べられるよ”とは言っていないのだ。
「まぁ、ほら、頑張ってくれたら甘酒くらいはおごってあげようか」
「それだって、まさに今、私達がタダで配ってるやつでしょ！」
「元気なお嬢さんだ」
　とスタッフの中で笑いが起きる。
　寧々子もつられて笑った。そう、何も本気で怒ってるわけではない。
「おばちゃん、これたくさん配った方がいいんだよね？」
「余って捨てるのももったいないでしょう」
　おばちゃんが声をあげる。
「甘酒どうぞー」　
　その横で、寧々子も声を張り上げた。
「あ～、こほん。あーまざけー、あーまざけー。甘くてあったかくておいしーよー。飲んでいきなよ、人生の糖分と思ってさー」
　人々の注目がこちらに集まる。
「おいしいよー、嘘だと思うなら飲んでいきなよー。まぁ、私はまだ飲んでないけどね？」
「面白いねえちゃんやなー」
　ちかとトワがやってきた。
「sweet liquorデスか？　トワ子供だからのめマセン」
「だいじょぶや、甘酒は子供ものめるんやで」
「それじゃいただきマース、oh、おいしいデス！」
　面白いお姉さんがいる、と皆が甘酒を飲みに集まってきた。
「んー、甘酒美味しい。さて、お餅も思いっきり食べたし、スポーツセンター行こうっと」
　翠響はちゃっかりその支度もしてきている。

　餅も甘酒もなくなり、イベントは無事終了となった。
「楽しかったです。ありがとうございました。お餅は、頂いて帰りますね」
　時子はスタッフに感謝を伝える。
「どうぞ、まだたくさんあるからね」
　大切に袋に入れてバッグにしまったのは、尚輝先生の顔のお餅だ。
（後日先生にお届けするつもりです。喜んでいただけるでしょうか？）
　時子は可憐に頬を染めた。

「これからまいにちもちを焼くデス！」
　すっかり餅が気に入ったらしいトワ。
「ふつうはおもち焼くのは正月になってからやで。でもちかも、そのきもちわかるで」
　ちかも餅をお腹いっぱい食べたようだ。
　
　一方、空っぽの鍋を見ながら、寧々子はむくれていた。
「もう甘酒ないじゃん！」
「まあまあ、お嬢さん、この後飲みに行くんだが、一緒にどうかね」
　渋めのおじさまが声をかけてくれた。おばちゃんも言う。
「頑張ってくれたから、会長さんがおごってくれるってよ」
「えっ、私も？　もぉー、皆さん最高ッ♪」
　すっかり気を良くして、寧々子は飲み会に向かうべく片づけの仕上げに入るのだった。　
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あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
……らっかみではクリスマス前ですが。

今年は餅つきを見る機会が二回ありました。
お餅は買ってくれば手軽に食べられるけど、やっぱり臼と杵でつく昔ながらの餅つきはいいですね。
リアクションを書きながら、美味しそうなお餅を楽しむことができました。

それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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