寝子島っ子集まれ！　餅つき大会｜リアクション

寝子島っ子集まれ！　餅つき大会

○鍛冶屋の技？

「トワはサクラーと、カシワーとかズンダーが食べたいデス！」
　お餅つきに目を輝かせるトワに、寧々子はちょっと困っておばさんのほうを見た。
「え、それはちょっと無理じゃない？」　
「ごめんね、今回はそれは用意してないんだよ」
　おばちゃんの答えに、トワは気を落とすでもなくにっこりする。
「それじゃ今度にするデス。キナコーはYellow。もちーん。アンコーはPurple。もち―――ん」
　謎の擬音をつぶやきながら、トワは餅をいただく。
「このosirukoおいしいデス！」
「あ、お汁粉の餅がなくなっちゃった」
　つぶやいた寧々子にトワが声をかける。
「rice cake 足りないデス？　ならもっと持ってくるデス！」
「お願いできるかい？　向こうで丸めてるからこれにもらってきて」
　おばちゃんがトワにボウルを渡す。
「つくた物が向こうにあって焼く　と、食べれるデスネ。持ってくマス！」

　すっ飛んでいったトワは、途中で餅つきの様子に見とれた。
　つき手は蓮から、長年餅つきを続けているベテランのおじさんに代わっていた。
「Ｏｈ、これはまるで、そう、カジヤのタクミのわざデスー」
「言われてみれば、餅をつく様子は鉄を打つ鍛冶屋の作業に似ているかもしれないな」
　月詠がつぶやく。
　それがおじさんの耳に入ったのだろうか。
　餅がいつの間にか細長く形を変えていた。
「コレが legend of sword、コレがねんがんの Rice sword、コレが正餅 rice calibur ＆ rice saver！」
　伸びる餅と共に、トワの中では餅剣の伝説が生まれたようだ。
「ひきぬいたモノにriceのカゴがデス？　shine！　光るデス！？　oh 光る違うデス」
　光ったのは汗に濡れたおじさんの禿頭だ。
「つめたいrice cakeはカタイ言うマスがなるほどWeaponになるデスネ！」
　トワはすっかり感心している。
「なかなか面白いな」
　月詠も興味を持ったようだ。つきあがった餅で武器や防具の形を作り始めた。
「かっこええなー、ちゃんばらごっこしたいで」
　ちかも喜んで覗き込む。
「向こうはrice lanceと rice blade、rice armorもありマス。Japanese culture、昔はこれで戦うしたデスネー」
　だが、感心した後はトワはあっさり剣型の餅をボールに取った。
「お腹すいてるデスシ、やくヨー。コレカタナ狩りいうマスか」
「そやな。いろんな形作るのもおもしろいけど、やっぱりおもちはおいしなー♪」
　ちかも頷く。
「刀の餅とは面白いな。これはオロシ餅にするか」
　修が大根オロシに餅を入れる。
「醤油とゴマ油はお好みで。ゴマ油は風味付けと辛み緩和になる」　
「それじゃ、ゴマ油と醤油でいただきまーす」
　翠響の食欲も未だ衰えない。
　餅刀はバラバラになり、皆のお腹へ消えていった。

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