俺様の前にひれ伏せ！第一回世界支配者大会、開催！｜リアクション

俺様の前にひれ伏せ！第一回世界支配者大会、開催！

【ヒーロー達の世界】

　さて、そんな平和な世界のある一方で。

「俺は正義のヒーロー、仮免ライダー！（ｷﾘｯ」
「オレは真の正義のヒーロー、ウマトラマン！（ｷﾘﾘｯ」
「ボクは本当の正義のヒーロー、魔法少女（♂）アルテマ☆かぐや（ｷﾗｯ」

　風雲児轟はそんな感じの世界にいた。
「……なんだこりゃ？」
　轟は呆然として言った。
　何故か、その世界にはヒーローが三人もいたのだった。
　おまけに、
「よお、ウマトラマン。お前、新入りのくせにちょっと生意気だぞ」
「ああん？　てめぇの方こそ仮免の分際でエラそうにしやがって」
「ケッ。宇宙（そら）のヒーローとか言ってるわりに等身大とかいうスケールの小せぇ奴に言われたくないな」
「なンだとコラァ！」
「やンのかゴルァ！」
　二人のヒーローはとても仲が悪い。
　と、そこにアルテマ☆かぐやが仲裁に入り、
「やめて、ボクのために争わないで！」
「「うっさいわ、ボケ！」」
　二人のキックで派手にぶっ飛ばされ――爆発した。この世界、もうダメかもしれない。
　風雲児轟は、
「なんてこった……。こんな事を続けてたら、ヒーローの存在意義が完全になくなっちまう……！」
　と、そんな悲しい世界の有り様について嘆いていた。
「こうなったら――俺がやつらの目を覚ましてやる！　おい、お前等！　お前等が本当にヒーローならこいつを倒してみろっ！」
　姿を見せないまま、轟は二人のヒーローのそばに白タイツの怪人を投げ込んだ。その世界の支配者たる彼にはそれが可能だった。
「「ああん！？」」
　二人の自称ヒーローは、「上等だ！」と白タイツの怪人に襲い掛かった。
　しかし、彼らは瞬く間に怪人に返り討ちにされる。

「くっ……。ば、馬鹿な、動きが早すぎて見えなかった……」
「あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ。オレは奴に前から（以下略」

　それでも彼らはなんとか怪人を倒すが、そこで物語は終わらない。
　そこで、轟は颯爽と姿を現して名乗りを上げる。

「どうした？　お前等の力はそんなものか。悔しかったら、この俺――悪の首領ザ・ストレイト・ダークネスを倒してみろ！」

「「な、なんだってぇ！？」」

　黒いヒーロースーツ姿の轟に、二人のヒーローは目を剥いた。
「くっ……。このままでは世界の平和が危険で危ない！　やむをえん。一時休戦するぞ、ウマトラマン！」
「いいだろう。オレはお前が気に食わないが、今だけ手を貸してやる、仮免ライダー！」
　共通の敵に、二人のヒーローが手を組んだ。

（よし！）

　轟は内心でガッツポーズをとりつつも、そんな様子はおくびにも出さない。

「ふ、威勢だけはいいようだな。だが――これならどうだッ、ダークネス・スマッシャァァァァ！！！」
　轟は思いきりのいい震脚からの本気の右ストレートを放った。
（お前達が本物のヒーローなら、俺を倒してみせろッ！）
　二人のヒーローは反応できている。
　一瞬だけ視線を交錯させると左右に分かれてジャンプし、轟の攻撃を回避する。
「……！？」
　轟は目を瞠った。
　その次の瞬間、
「「こいつで決める！　必殺！　ダブル・スーパー・イカズチ・キィィィック！！」」
　二人のヒーローの交錯するキックが轟を打ち抜いた。

「う、うおおおおおおおおおおおおおおっ！？」

　そして、轟は爆発した。
「「――俺が、俺達がヒーローだ！！」」
　二人のヒーローは爆発のエフェクトを背に拳と拳をぶつけあって、互いの健闘を称えあった。
　こうしてその世界の平和は守られた。
　ちなみに、爆発する寸前のザ・ストレイトの下の表情は、とても満足そうであったという。

このページにイラストを設定する