【お三夜】挑め！　金色の大鯰魔王へ！！｜リアクション

【お三夜】挑め！　金色の大鯰魔王へ！！

起：出動、寝子島ヒーローズ！

　――ばっしぃーーーんっ！

　開幕早々、ルーシー・R・マクミランが大鯰魔王クヤヤマーン（以下、大鯰と表記）のテイルアタックでふっとんでいた。いや、何故彼女がそうなったのかは油断したから以外に他ならない。セクシーなレオタードが透けたか否かは全くわからないが白猫の耳としっぽのヒロインが今、星の彼方へと消えたのは事実である。
「あぁ、今、誰かちょっと透けたまんま飛んでった！？」
「なっ？！」
　彼女がふっとんだのを目撃したのは山田勘三郎と御剣刀だった。妙に透けていた気がしてドギマギするのだが、真相は闇の中である。
　がそれ以上に勘三郎は己の現状を振り返り愕然とした。というのも彼は色々あって猫が苦手である。大の苦手である。それにも関わらず猫耳と尻尾が生えていた。
「……猫！？　俺、今猫みたいになってる！？　やめてくれぇ、俺は猫が苦手だっつってるだろう！　ただでさえこの時期はすんげぇ憂鬱だってぇのに！」
　なんの祟りだよ、と頭を抱えている彼の姿は学ランにさらしにはちまき。手にした武器は木刀である。その姿を見た三夜智蔵はちょっと懐かしい気分になった。
「なんだろ？　そう、前に見ていたんだよなぁ。懐かしいなぁ…えーっとな」
「「それ以上言ってはいけない！！」」
　思わず刀共々突っ込んでしまう勘三郎。彼は頭を抱え益々苛々を募らせる。
「んー……そういえば、三夜湖で大きなナマズって言うと伝説にあったなー……。たしか猫神様と戦ったんだっけ……？」
　智蔵がそう呟いて、はた、と我に帰る。彼は周りを見渡し、刀と勘三郎を見、自分の衣服を見た。因みに刀は侍といった井出達で、黒猫のお面を被っている。でも猫耳と尻尾もちゃんとあるのだ。
　しかし、智蔵はというと全身タイツ（黄色）である。何故か、全身タイツなのに猫耳と尻尾が生えているのだ。あと、腰に仕事用具が入ったベルトが巻かれている。
（俺、なんか変な格好してる……？　待って？　周り皆格好いいヒーロー姿だよな！　どうして俺だけ全身タイツ！？　腰に仕事道具はあるけどさ！！）
　ヒーロー名を強いて言うなら『大工マン』だろうか？　とか考えながらもびしっ、と指を突きつける。
「三夜家の由来が何かは知らないが、三夜を名乗る限り、頭に猫耳が付いてる限り！　三夜湖で暴れるナマズを放っておくわけにはいかないな！」
　そう、はっきりと断言する彼の両脇で刀と勘三郎もびしっ、と決める。なんだかんだ言ってトラブルに立ち向かおうという意志はあるのだ。大鯰は尾びれをぶんっ、と一振りして彼らをにらみつけた。

「我はクヤヤマーン！　魔王にしてこの湖の主となるものだっ！」
　金色の輝きをまとう大鯰がそう堂々と言い放つ。だが、その言葉に反応する者が存在した。
「自分から『魔王』を名乗るなんて、痛過ぎるし。何処の国の魔王？　魔王って名乗る割には部下もいないし！」
　片手に荷電粒子でビームな竹刀っぽいモノを持ってそう言ったのは、鬼河内萌。いや、そこは『痛い』って言わないであげて……。ほら、大鯰がちょっと傷ついてるから！
「部下は休ませておるのだ！！」
　なんて涙目で言ってもむなしいだけである。
　萌はふわふわなフリルが似合う、愛らしいワンピース姿。まさに魔法少女という感じである。黒い猫耳としっぽもしっくりくる。ポニーテールにフリルのついたリボンも実に愛らしい。だのに言葉に毒があるのはいかがなものか……。
　そんな彼女は大鯰にびしっ、とビーム竹刀を向けて叫んだ！
「そんな中二病の鯰魔王は倒して食べるのが一番！　ピンキーモエが美味しく料理しちゃうよ！」
　のりのりでかわいいポーズを決めるものの、その言葉で大鯰の身体に血管が浮いている事に彼女は気づいているだろうか？
　そんな彼女の傍で猫耳パーカー姿の灯斗南は仮面を既に装着していた。正直、散歩している途中だったのに急にここへ飛ばされた事でちょっと機嫌が悪いように思える。
（まぁ、確かに痛いといえば……。どっちにしろ、面倒ごとだよな）

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