【お三夜】挑め！　金色の大鯰魔王へ！！｜リアクション

【お三夜】挑め！　金色の大鯰魔王へ！！

　そう思いながらも自分のろっこん『イグニッションハート（点火する心）』（能力：素顔を隠している時に炎をイメージすると掌から炎がでる）を使えば炙れるのではないか、と思う。
「さっさと終わらせようか。あとはカレーの具でもなんでもすればいい」
　彼はため息混じりにそう言うと仮面を一撫でしつつ、その奥で大鯰をにらみつけた。だが、自分の傍で上がった声にちょっと目をぱちくり。
「えっ？！　もぅ、季節感のない格好は職場だけで十分なのに……」
　そう言ったのはつややかな黒髪の真境名アリサ。彼女は黒猫の耳と尻尾に、セクシーな女海賊の姿をしていた。ふんわりバストを包み込む豹柄のビキニがすっごく似合っている。そんな井出立ちに思春期真っ盛りな斗南だけでなく刀や勘三郎も思わずドギマギしてしまう。
　ブラックな企業を辞め、様々な仕事を経て現在の勤め先である水着ガールズバー『ジュエル』で働いて２年。２度目の三夜祭を迎えた彼女は、ちょうとお休みだったのでお祭りを満喫しようとしていた。が、この異変に巻き込まれてしまった。
（でも、悪くはないわね。動きやすそうだし？）
　アリサはふふっ、と笑うとしゃらん、と伸びた爪を大鯰へと向けた。

　セクシーな海賊の次はウェスタンなガンマンがお出ましである。ジュスト・ランベールは親指と人差し指を伸ばして銃の形にすると、くいっ、と帽子のつばを上げた。まさに保安官っぽい姿にどこからとも無く歓声が上がる。
「ふぅ、困ってる人を助けるのに理由はいらないだろう？」
　そうクールに決める彼と背中合わせなのは風雲児轟。いや、あえて言おう。ここに立つのは『ザ・ストレイト』であると！　例の声を聴いた轟は「また何かあるのでは？」と考え、既にろっこん『戦衣着装』を発動させていたのだ！　まぁ、見事に猫耳と尻尾が生えていたが。
「正義のガンマン、ただいま参上！　ってね？」
「直拳貫徹、ザ・ストレイト！　今回限りのネコマタモードだぜ！」
　びしっ、とジュストと共にポーズを決めれば猫耳が動く。中々イカした２人に拍手が起こるもストレイトはそんな彼らにも手を差し伸べる。
「せっかくだから皆のやろうぜ！　ノリと勢いでなんとかなるから！　な？」
　なんて言った傍からしゅっ、と影が落ちてきた。現れたのは人間大の三毛猫っぽい姿。愛らしい緑の目がいたずらっ子っぽい輝きを宿している
「にゃにゃっ！猫っ娘真央ちゃん参☆上！　なのだっ」
　そう言って２人にならいポーズを愛らしく決めたのは、後木真央。彼女は寝子祭用にこしらえた全身着ぐるみ姿と同化してほぼ三毛猫と化していた。その腰には愛らしいベルトが巻かれており、鉈が２本下がっている。
「緊急事態に備えて、猫鳴館のドラム缶風呂傍にあったものを拝借したのだ」
　一体何に備えていたのだろうか？　まぁ、それはさておき。愛らしい猫の手からは爪がシャッキーンと出るようになっていた。同化の効果である。おまけにしっぽもぴーん！　と立っている。どうやら大鯰を狩る気満々だ。
　そんな彼女と背中合わせになり、ふっ、とクールな笑みで現れたのは尾鎌蛇那伊。彼は鯰魔王相手に恐れていなかった。
「あら？　今度はこの金色に光る大鯰が相手なのね」
　そのしなやかな立ち振る舞いは目を引くが……ちょっと待っていただきたい。彼は猫耳と猫しっぽではなかった。どうみても虎の耳としっぽと同化していた。
　その上、衣装が肩に棘アーマーが付いたジャンパーに、擦り切れたジーンズ。その上頑丈そうな分厚いブーツと、どうみても世紀末の荒野を己の身体で戦い抜く、北斗七星が似合う男である。
「ふふ、狩り甲斐がありそうね」
　と不敵に笑う蛇那伊は全身に気を巡らしている。なんだかうっすらオーラとか見えそうな気さえした。

　彼らの心境を文字にするとこうだろう。　――まさに本気狩る（まじかる）！

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