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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●寝太郎という偶然
その屋台には、水風船のかたちをした、色とりどりの提灯が下がっていた。
風鈴にも似た風情の赤や黄色や紫色のまあるいそれらは「風船提灯」というらしい。
店主は法被を来たサバトラの猫。右隣も左隣も立ち止まる人がいるのにその店だけは暇そうで、猫は猫背をさらにしょんぼり丸くしていたのだが、雑踏の中に見知った姿を見つけるや嬉しそうに顔を上げた。
『紫お姉ちゃん!』
「はい?」
仙藤 紫
は驚いて足を止める。
(サバトラ柄のこの猫、どこかで見たような柄だけど……って、うちの庭によくやってきてご飯食べてはグースカ居眠りに来る寝太郎……じゃないの?)
まさかね。
だが、人と猫が交わるこんな夜は、不思議な奇跡が起こるのかもしれないと思い直して聞いてみる。
「あなたは……寝太郎ちゃん?」
『そうだにゃー』
「びっくりしたわ。このお店、あなたの?」
『それが実はだにゃー』
猫の寝太郎は、腕組みをして額の模様に困ったような皺を寄せる。
話を聞くと、親類の猫が店を出すはずが、サンマの刺身を食べて食あたりを起こして七転八倒してしまったため急遽、寝太郎が引っ張り出されたらしい。
『いつもなまけてばかりなんだからたまには働いて来い、って無理矢理駆り出されたにゃー。だけどおいら、こんな風に働いたことないもんだから慣れない仕事でたいへんにゃー』
「そうなのね。これも何かの縁だから、ちょっと見せてもらおうかしら」
『そいつはありがたいにゃー。見てって見てって』
「おいおいおいおい」
大柄で筋肉質の女が、さも愉快そうに風船提灯の屋台に近寄ってくる。
その後ろから友人たちも。団十郎とその仲間たちだ。
「あんたぁ、寝太郎っていうのかい?」
団十郎はサバトラをねめつけるように聞いた。
「そ、そうだにゃー」
「マジかよ。あっはっは、面白いこともあるもんだ。なぁ、
寝太郎
?」
団十郎はゲラゲラ笑って人間の寝太郎を振り返った。
「びっくりだね~。君、旧市街の猫だよね。自分は猫島寝具店の寝太郎。よろしく~」
『おいらは、えーと、紫お姉ちゃんちの庭が好きな寝太郎。よろしくにゃー』
ふたりが握手するのを見て、すごい偶然ね、と紫も目を丸くする。
「よぉし、ふたりの寝太郎の出会いを祝して、風船提灯を買おうぜ!」
団十郎が言うと、恩も五月も梢も能美子も口々に、
「いいわね」「気になってました」「綺麗ですねぇ」「お祭りってすごいわ」
などと言いながら、思い思いの風船提灯を選んで買った。
「自分はこの青いのにするよ~。寝太郎、お仕事がんばってね~」
猫の寝太郎は縞々の手を何度も振って、人間の寝太郎を見送った。
「よかったわね」
薄紫と橙色の風船提灯を選び、寝太郎の肉球の上にお代を乗せながら、紫はにっこりとほほ笑む。
『よかったにゃー。紫お姉ちゃんが、おいらにいい運を運んできたみたいにゃー』
「だったらよかったわ」
なんとなく別れがたくて、紫は寝太郎の隣にしゃがみこむ。
通り過ぎる猫や人が、風船提灯の色とりどりの光を映して、この世とは別の光の流れみたいに見える。
心地よい、時の流れ。
時折、人の流れが途切れる。
その瞬間を狙って呼吸する。
寝太郎はまた暇そうだけれど、最初見かけた時みたいなしょんぼりした空気はもう纏っていない。
紫は寝太郎に話しかける。
「猫も毎年こんな風に祭りをするのかしら?」
『そうだにゃー。でもおいら、屋台を巡ったり宴会に行ったりする方で今年みたいに働くのは初めてにゃー。でも働きたくないのにゃー』
「わかるけどね」
紫は苦笑する。
働くのってたしかに大変だけどね。
寝てる方がそりゃあ楽だけどね。
でも今宵は、働くのもちょっといいなって思ったかもしれない。
紫は寝太郎の額をそっと撫でる。
「がんばってね」
寝太郎はぽおっとして紫を見つめた。紫はそれが面白くてくすくす笑った。
◇
「風船提灯ですか。どうして光るのでしょう」
店主らしき猫は、清楚な雰囲気の少女と談笑している。
それをいいことに
久須部 紀伸
はクリエイターらしい好奇心でしげしげと提灯を覗きこんだ。
風船の中でおぼろげに明滅する光からは、炎らしい熱さは感じない。
「蛍でも入ってるんですかね。あるいは……死者の魂を捕まえて入れてるかもしれないですね」
KISHINの名でホラー系のイラストレーターとして生計を立てている紀伸は、そんなことをつと思う。
この夜の紀伸は、まるで猫の遊び人のようだった。
藍の着流しに草履。手には『猫』と書いた提灯。
被っている猫の面はリアルで、毛並みまで表現されているが、それも自作だ。
「それにしても猫の露店は奇妙なものばかり、猫も侮れませんねぇ」
感心していると、突然ぐいっと腕を掴まれた。
「おいっミケ太! いつまで油売ってやがるんだ」
眉のあたりが白くなったおじいさん猫が、すごい剣幕で怒鳴りつけてくる。
「サボってんじゃないぞ、本当に図体ばかく大きくなりやがって!」
「ミケ太、とは何のことでしょう。私は……」
「とぼけんじゃねぇ、仕事だ仕事!」
紀伸を『ミケ太』だと勘違いしたおじいさん猫は、紀伸を向かいの露店に引きずって行く。
よほど似ているのか、違うといっても聞き入れて貰えなかった。
「困りました……本物が戻ってくるまで手伝うしかありませんね」
おじいさんの露店は紙製の深海魚型提灯を扱っていた。
しょぼしょぼした目のグロテスクなやつ。
妙に透き通っているやつ。
まるで火星から来たみたいなへんなかたちのやつ。
そんな魚たちを模した提灯は、さきほどの風船提灯とはまた違った、怪しい魅力を放っている。
正直、それらは、紀伸の想像力を刺激した。
「ネコの世界でも深海魚はブームなのでしょうか」
「ブームとか言うな。俺は自分がいいと思うものしか作らねえ。こいつらは不思議で面白くて可愛いだろ。こいつを作ってるとな、こう、世界の深淵を覗きこんでるような、世界の秘密を俺だけが知っちまったような、なんともいえずたまらない気持ちになるわけよ。そうやって作ったものを俺とおんなじように面白いと思って金を払ってくれる奴がいる。そいつはすげえことなんだ。ブームなんて言葉で片付けてほしくねえ。わかるか?」
「なんとなくわかります」
「そうかよミケ太、ようやくお前も分かったかよ」
おじいさん猫は顔をくしゃくしゃっとさせて嬉しそうに笑った。
深海魚型提灯は不気味かユーモラスな形のものばかりであったが、売れ行きは上々だった。
おじいさん猫はひとつ売れるたび顔をくしゃくしゃっとさせて礼を言う。幸せだ、と顔に書いてあった。
その顔を見るたび、紀伸は身を引き締めた。
(私も自分の作品が愛される幸せは知っています。よし、しっかりと手伝いましょう)
それから小一時間ほども手伝ったろうか。
向こうから、自分によく似た猫がふらふらとやってきた。
「ミケ太! こいつぁどうしたこった! じゃああんたは!?」
「私は最初から違うと……」
「いやぁ、そうだったか。こいつはすまんことをした。おい、ミケ太! お前はこちらさんにご迷惑をお掛けしといてどこほっつきあるいてた!」
紀伸が手伝う羽目になったのはおじいさんが話を聞かなかったせいなのだが、そのあたりは完全に棚に上げて、おじいさんはミケ太を怒鳴りつける。
「いやぁ、池の方で飲んでたんだが、急に袖を引かれてよぅ……」
酔ったミケ太はしどろもどろにそう答える。
その後ろに、見覚えのある長髪痩身の少女の幽霊の姿を見つけ、紀伸は何が起こったのかを察した。
(もしかしてあの子が見つけてくれたのでしょうか。お礼を言わねばなりませんね)
紀伸のろっこん<ナニカ憑き>について、紀伸自身は無自覚である。
少女の正体も知らない。
ただ、困っていると助けてくれる少女の幽霊に、親しみを感じ始めているのはたしかだった。
(ありがとうございます)
少女は小さく微笑んで消えた。
「ほんとに相済まなかったなぁ。ほれミケ太、お前も頭下げんかい!」
おじいさん猫とミケ太は深く深く頭を下げる。
「お面が本物の猫と間違えるほど精巧に出来たと評価されたのです。悪い気はしませんでしたよ」
お詫びにと貰ったネコザメ型の提灯を手に、紀伸は露店を後にする。
しばらく行って振り返れば、ミケ太がおじいさんにどやされながらも陽気にやっているようだ。
貰ったネコザメ提灯は、深海のように深く青く光っている。
「たまにはこういうのも悪くないですね」
絵を描きたい。紀伸は唐突にそう思った。
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担当ゲームマスター
笈地 行
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
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