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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●迷宮の試練
ほぼおなじ時、おなじ場所にいるはずなのに、見ている景色が違っている。
そんなことは人生でもよくある。
迷宮は入り込んだ者に合せてすこしずつずれ、その者に必要な試練を与える。
喧騒の中は森に似ている。
斑鳩 遙
は最近情緒不安定であるのを自覚していた。
部屋で一人こもっているより人ごみに紛れていたほうが心が落ち着く。祭は恰好の森だった。
嵌めっぱなしのイヤホンから流れてくるのは親友だったピアニストの音。
他人という森の中で精神を保つのにちょうどいい。
あるいは……中毒なのかもしれないが。
足の赴くままそぞろ歩いていたら社の裏手に出て、おかしな分かれ道に迷い込んだ。
「……なんだあの影は」
存在感の希薄な黒い男の影が、まるで幽霊のように鳥居の朱色を背に立っている。
男の顔は、まるで夢の中会う友人のように、しかとは見えなかった。
「どうやらあの影に勝たねば元の世界に戻れないらしい。随分と凝った趣向だな」
遙はそう韜晦し、影の男と対峙した。
「そこをどいてほしい」
遙はゆっくりと言った。
暴力は向かない。克服するなら対話に尽きる。
相手の男は黙っている。遙はもう一度、一語一語言い含めるように言った。
「そこをどいてくれ」
いま見ている――と認識しているこの状況が、現か夢かなどどちらでもいい。
どちらでも同じ事だ。
遙の人生に大きな影響を与えた親友……時任が自殺してから何年も、遙は日常の研究や一人きりの食事とはべつのどこかで、ずっと出口のない霧の中をさまよい歩いているような感覚を抱いてきた。
(だが……)
遙は分析する。
彼女と出会い、好感を抱き、心境が僅かに変化した。
今の俺は以前ほど死に焦がれていない。
自暴自棄にはなってない。
そして彼女を思い浮かべ――推測する。
(彼女が……少なからず俺に好意をもっているとうぬぼれていいものだろうか)
問いかけに答えるものはない。
うぬぼれてもいいと背を押してくれるものなどなにもない。
生まれたのは覚悟。自らの決意。ただそれだけ。
「俺は元の世界に帰ってしなければいけない事がある」
この恋愛感情なのか同情なのかもわからない曖昧な気持ちを、彼女に告げなければいけない。
亡者の誘惑に囚われてはいけない。
俺を求める生者がいる限り……生きなければ。
耳に嵌めていたイヤホンを外す。
ピアノの音が、世界から消えた。
静寂が舞い戻る。
『舞い戻る』――そう、戻った、と感じたのだ。たぶん、心が。
影の男は何も言わなかった。
なにもしなかった。
ただ、遙の前に立っているだけだ。
「君が求めるのは俺じゃない」
遙は彼に手を伸ばす。
この影は……誰なのだろう。
自分だろうか、それとも……。
ひとつ息を吐く。
考えても仕方がない。どちらでもいい。どちらにしても言うべきことは同じだ。
「俺は君に何もしてやれない。何もできない」
実体のない幻影に手をさしのべても意味がない。
わかってる。
俺が手をさしのべるべき人間は現実にしかいないのだから――。
……影は身じろぎするようにほどけた。人のかたちは猫になり、鳥居の群れを駆け抜け奥へと消える。
「……わかってる」
遙はちいさくつぶやき、歩き出した。
◇
「またクローネかよぉぉぉぉあぁもぉぉぉぉぉ祭りぐらい普通に楽しませなさいよぉぉぉぉ!」
鳥居の群れの中でひとり絶叫し、
七緒 璃音
はぜいぜいと肩で息をする。
こだまが、よぉぉ、よぉぉ、と鳥居の中を風のように駆け抜けていき、その後静寂が訪れた。
「はい、お約束のツッコミ終了。んで今回はお三夜様とやらを探せばいいわけかー」
璃音はひとりだった。
あれだけ叫んで誰も現れないと、まるで世界の中でひとりきりになったような錯覚すら覚える。
まあ問題ない。
璃音は自分に言い聞かせる。
わずかな不安を抑え込みながら。
しばらく行くと分かれ道に出くわした。
「あー、なんか分かれ道に気を付けろとか言ってたっけ?」
右を見る。左を見る。何も無いように見える。何に気を付けろというのだろう。
あまり迷わず左を選ぶ。さらにしばらく行くと、黒猫に似た何かが視界の端を横切った。
『全くめんどくさいわなー。クローネもテオも』
璃音は、む、と眉をしかめた。
「わぁどっかで聞いた事ある声ー」
そのセリフは完全に棒読みになっていた。
猫の姿がみるみる膨らみ、見覚えのある少女に変貌していったからだ。
『めんどくさいんだからさー、とっとと帰りゃいいのに』
影の少女の声はそっくり、自分のものだった。
(……うわぁウチって客観的に見るとこんなクソ生意気な姿してるのかー知らなかったわー)
璃音はちょっと打ちのめされたものの、気のないポーズで斜めに構えて影に向かって言ってやる。
「でも巻き込まれた以上帰るわけにゃいかないんだよなぁ」
『本当は世界がどうなろうとどうでもいいくせにさー、いい子ぶっちゃって』
「ここで活躍しとけば後々オッサンに誉められるという特別イベントがあるかもしれないやろ!」
『オッサンがどうのこうのとか、それもどうでもいいくせに』
飄々としていた璃音の表情が硬くなった。
「……余計なお世話だよ」
痛いところを突いてくる自分の姿をしたそいつに腹が立つ。
「同じ姿とはいえ、何で他人にそんな好き勝手言われなきゃいけないんだ……」
『他人の事、本当は信じられないくせに』
息を呑んだ。
痛すぎて。
なのに影は追い打ちをかける。
『オッサン云々も半分は振りじゃない』
「いや半分はマジだわオッサンええやん魅力的やん」
思わず素でツッコむ。
「人間って100パーセント嘘つくなんてできませんから! っていやそうじゃなくて」
影のいうことは本当だ。
けれどそれも半分だ、って、今感じた。唐突に分かった。
「信じてないのは事実だけど。でも……信じてもいいかも、って思い始めてるのも事実よ」
『へぇ?』
影は疑い混じりに問い返す。
『本当に?』
「なんで嘘つかなきゃいけないのよ」
『いい子でいたいから』
「わかってるでしょ。うちは、いい子なんかじゃ、ぜんぜんない。でも、それでも……あぁもう、変化が起こってるって感じるの。感じる。ただそれだけなの」
おそらく、そう思うようになったのはこの島でいろんな経験をしたからだ。
巡り合う事件、人、仲間。そういったものが自分の中に一つずつしずくを落として、そのたび色が変わってゆく。それはゆっくりだとしても、たしかに起こっている変化。硝子瓶の中の色は、以前とは微妙に違う。
「どっちにしろこんなところで立ち止まってらんないの」
影は鼻で嗤った……ように見えた。
本当かどうか見ててあげる。
そう言ったような気がした。
次の瞬間、影は猫に戻り、鳥居の奥へ走り去った。
「なによ、最後までひねくれたヤツ……」
たぶん、璃音は勝ったのだ。飄々とした表情を取り戻し、少女は奥へと進んでゆく。
◇
(延々と続く鳥居の回廊……)
猫灯篭に火を灯し、
小山内 海
は奥を見遣る。
(こういう状況じゃなかったら絵に書き留めておきたいくらい幻想的な雰囲気なんだけどなぁ……)
声を失っている海は、絵を描くのが好きだった。
こういう状況でなかったら、立ち止まってスケッチブックを広げたいくらいだ。
そう思いながら、鳥居に沿って奥に進んでいくと、分かれ道が見えてきた。
その前に佇む猫の影。
こちらをちらりと見た途端、猫は少女に姿を変える。
(あれは……私?)
海は警戒しながら近づいてゆく。
(いきなり襲って来たりとかでは無さそう?)
そう思っていると、影の少女が口を開いた。
『嘘をついたらダメ』
(え?)
意表を突かれて目を見開く海に、影はなおも問いを重ねる。
『あなたの親友と想い人、二人のことは好き?』
そんなの、好きに決まってる。
『想い人に守られてるだけの自分は嫌?』
返答は決まってる。嫌だ。
『彼の隣で戦える親友が羨ましい?』
(それは……)
影は、海の心を読んでいるのだろうか。
そう思えるくらいピンポイントに、海の心をえぐってくる。
『彼女に嫉妬してる?』
答えたくなかった。そんなことを聞いてくる影に腹が立った。
言葉にしたくない、かたちにしたくないことは誰にでもある。
だから無視して先に進む。
けれどすぐに元の場所に戻ってきてしまった。
(どうなってるの……?)
影はふたたび同じ質問を投げかけてくる。
『嫉妬してる?』
心は、口より、早く答えを出してしまう。
二度目の問いに、海は知らず胸のうちで呟いていた。
(……してる)
『そんな自分が嫌になる?』
(嫌になる)
嫉妬なんて誰でもするって自分に言い聞かせようとする所なんか特に。
『彼に甘えて抜け駆けして、彼女に秘密にしてる事は?』
(ある)
彼女には言えない秘密の関係が。
『その事で優越感を感じたりは?』
(感じて無いって言ったら嘘になる)
ちくちく。
針で刺すような痛みが胸を襲う。
海は無意識にそこを擦りながら、影の問いに答え続ける。
(でも同時に罪悪感も感じてる)
『これが最後の質問』
影は問う。淡々と、海の本心を確かめるように。
『あなたはどうなりたいの?』
海は思った。
身も心も強くなりたい。
彼に並び立てるように、彼女に恥じないように。
――気がつくと影は消えていた。
(これでよかったのかな……)
海は力が抜けてへたりこんだ。そっと胸に手を重ねる。
――私、そんなこと、思ってたんだ。
自分でも知らなかった、心の中の火。
その火を分けるように、目の前にある猫灯篭に灯りを灯す。
「あれ? 小山内?」
聞き慣れた声に振り返る。声の主は
御剣 刀
だった。
天動 記士郎
も一緒だ。
心の火は涙になって、一筋、海の頬を流れ落ちた。
「どうした? 大丈夫か? やられたのか?」
慌てた様子で刀は海に駆け寄る。海はううん、と首を振った。大丈夫、と。
「そうか、良かった。それにしてもクローネがまたやらかしたみたいだな」
そのとき刀の携帯が鳴った。
「もしもし。……ああ猫島? どうした? 今急いでるんだ、クローネが悪さしてて」
知り合いの
猫島 寝太郎
からだ。
だが、話を聞こうとしたそのとき、分かれ道の先から青年の影が現れた。
青年の影は、海の影とは違い、いきなり刀に襲い掛かってくる。
「って何だ!? その姿は天動さん!?」
刀は記士郎を振り返る。長髪の天動商店の店主は、確かにそこにいる。
ということはこの影は?
記士郎に似た影の隣に、ゆらり、もう一人、男の影が現れる。
二人目の影は、日本刀を構えていた。
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3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
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