this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
<< もどる
1
…
25
26
27
28
29
…
45
つぎへ >>
●マッド・ティーパーティ
中学二年生である
三夜 暗
は、中学二年生らしい思考回路の末、苦悶していた。
「お三夜祭り……か。俺は、力こそ封印しているが、神の中の神にして悪魔の中の悪魔。つまりお三夜祭りに繰り出す人々は、知らずして俺を祝っているのだ」
そういう事実はまったくないが、暗の中ではそういうことになっている。
「ならば、俺も喜んで楽しんでやるのが筋と言うもの……だが、何だこれは? 世界が異常を来たしている……? そうか! きっと楽しさのあまり、思わず俺の力が漏れ出てしまったに違いないぞ!」
もう一度いおう。そういう事実はまったくないが、暗は
先日世界が(暗の視点では自分が世界
を
)破壊しかけてしまった日
以降、自らの封印が解けやすくなっている――気がしていた。
つまり、だ。
暗の理解するところによるとこうなる。
猫と人間の世界が混じってしまうような超常現象が起こっている。
すなわちそれは、俺が原因に違いない!
ということは、俺は責任を取って事態を解決しなければならない!
「この世に混沌をもたらす事は、俺の望むものではないのだが、起こってしまった事は仕方ない。皆が異変が俺のせいだと気付いていないうちに、自分自身の尻拭いに向かうとするか」
神――もとい、中学二年生はいろいろ大変である。
こうして三千鳥居の迷宮に踏み込んだ暗は、どこまで行っても暗だった。
「む……森が鳥居の迷宮に? つまり、これが俺の心象風景だという事か。自分の中に入り込むというのは実に奇妙な気分だな。おや、あれはなんだ?」
暗の行く手に突如、白いクロスのかかった長テーブルが現れた。
そこでは奇妙な格好をした人々がクッキーと紅茶でティーパーティを開いているではないか。
近づいてみると話は佳境に近づいているらしく、それぞれ語気を強めている。
「やはり私は、対話と傾聴によって、クローネに謝罪したいのです」
と、シルクハットを被った帽子屋こと
森 蓮
は言った。
立ち上がって意見したのは兎の耳をつけた三月ウサギ。――
北 玄
の姿をした影猫である。
「森さん、話し合いに重きを置きすぎですよ! 勉強も遊びも犯罪捜査も政治も全部話し合いですよ! 人間同士でも争いはなくならないのに、森さんはどうしてひととらっかみが分かり合えると思ってるです? 森さん、クローネさんとの話し合い、すでに失敗しているですよ!」
そおよ、そおよ、と赤ワインを煽りながら、ハートの女王衣装を纏った
クローネ
が玄に味方する。
それでも蓮は静かに語る。
「誰が相手でも、完全に分かり合えることはないと私も思っています。しかし、それでもなお私は分かり合う努力を続けます。対話と傾聴はそのための手段です」
「対話と傾聴ねー。わっかんないわ、力の強い奴が世界を制する。当たり前でしょ~うぃっく」
クローネはしゃっくり。
蓮は、相手がクローネだと分かっているのかいないのか、持論の非暴力を訴える。
「そうでしょうか。暴力で意に沿わぬ行動を強制することはできるかもしれません。ですが、心からの協力は得られません。暴言は銃に倒され、銃は戦車に倒され、さらにミサイル、核兵器と、暴力はより強い暴力によって倒されます。暴力は非暴力を行う者を傷つけ、命を奪うことができるでしょう。ですが、たとえ傷つけ、牢に入れ、死んでも、非暴力を貫く者の意志は変えられません。暴力に対して協力も服従もせず、抵抗することが非暴力だからです。非暴力主義者の協力を得たければ、自らも非暴力主義になることです。非暴力はより強い非暴力に倒されることはありません。相手を愛すること、大切にすることが非暴力だからです」
「わっかんない。なに言ってるかぜんっぜんわっかんない」
酔いが回り過ぎているのではないだろうか、クローネはテーブルにつっぷしながらひらひらと羽根を振る。
「森さん、暴力を嫌い過ぎですよ! ゴキブリにも博愛主義とか行き過ぎですよ!」
玄はテーブルに乗っかって、蓮の眼前ににじり寄った。
「まあまあ」
お茶を啜っていた眠りネズミ――精神科医の
架神 十字
の姿をした影猫が、玄を諌める。
それから、医者らしい落ち着いた声で蓮に言った。
「森さんは天災で家族や友人を失っているね。僕は思うんだがね、森さん自身が天災で立ち直れたせいか、被害者が立ち直ることを確信していて、『やりたいことをしろ』と突き放した態度をとるところがある。反面、加害者を理解し、更生と社会復帰を促すことには、命を懸けるほど入れ込んでいる」
「そうですね。おっしゃる通りかもしれません」
「しかし、性犯罪や破廉恥行為には厳しい態度をとるようだね。この件についてばかり森さんが謝罪をしたがるのは、森さんが破廉恥行為に厳しく、それ以外の罪に甘いだけなんじゃないかな」
「……」
蓮は帽子のつばで僅かに顔を隠す。
玄がテーブルの上で飛び跳ねるようにしながら「ハレンチですよ、世の中はハレンチなものですよ! ハレンチなくして種の発展なしですよ!」と叫ぶので、そのたび、カップやソーサーがかちゃかちゃ鳴って、なみなみと注がれた紅茶が白いクロスに赤い沁みをつくる。
どうも話を統合するに、蓮は家族にも等しい猫鳴館の住人の破廉恥な行いを、身内の罪と感じ謝罪したい……とそういうことらしい。しかしそこに、当のクローネや、蓮を分析する十字、蓮に反対の立場を取る玄がそれぞれ勝手に意見するので、マッドな事態に陥っているのだ。
暗は唸った。
「なんということだ……俺の力はこんな混乱をも引き起こしてしまったか……」
暗は意味なく右腕を抑えつつ思った。この状況において、自分はアリスなのだろう、と。
理性ある、まっとうな意見が求められているに違いない、と。
帽子屋と三月ウサギと眠りネズミとハートの女王が、喧々囂々語り合う中、暗は勝手に椅子に座り、勝手にティーポットからお茶を注ぎ、勝手にクッキーを頬張ってから言った。
「つまりだ。こういうことだな。三夜家の誰かが、よその女にキスをした、と仮定する」
――脳裏を過ぎったのはフラミンゴ頭の年の離れた兄、
三夜 雷一
の顔だ。
「その場合、俺が、糞兄に代わってその女に謝るか、という話だな?」
暗は自らの問いに即答した。
「いや、ないな。俺は神の中の神にして悪魔の中の悪魔。なぜ兄の代わりに謝罪せねばならぬのか。謝罪すべきは兄本人ではないか」
「僕もそう思うよ」と十字が言う。
「それをしたのは森さんではない。なのになぜ森さんが謝る必要があるのかな。森さんが監督する立場にあるならまだしも、偶然同じクラスで、偶然同じ猫鳴館に住んでいるだけで、我が事のように罪悪感を感じるのはナンセンスではないのかな。そもそも……」
と、十字はテーブルの上で酔いつぶれているクローネを横目で見る。
「あきらかにクローネさんが受けた害よりも、与えた害の方が大きいように聞き及んでいるが?」
「たしかにクローネさんの行為は他人に迷惑をかけているかもしれません。しかし、だからクローネさんに罰を与えてもよいわけではありません。私は警察でも裁判官でもないのだから、なおさらです。ああそうです……私はやはり謝る必要があるのです」
蓮は椅子から降り、酔いつぶれているクローネに向かって土下座をする。
「クローネさん、お許しください」
「ああ~ん? あんたにそんなこといわれてもねぇ~。そうそう、『刑が先、判決は後』だったわね」
クローネはどこから取り出したか、フラミンゴの槌を振り上げ蓮を見下す。
その振る舞いに玄がまたテーブルの上で跳ねる。
「御覧なさい! 世の中には暴力が必要な状況があるですよ! 暴力でなければ理解できないのがいるですよ! 暴力で排除しないといけないのもいるですよ!」
「いいえ。いいえ、私は……それでも対話と非暴力を貫きます」
すると玄は、なぜか蓮に飛びかかった。
「わかったですよ。森さんの覚悟、僕の必殺技で試すですよ! 必ず殺すで必殺ですよ! 僕の両脚で森さんの首と左脚を固定して、僕の両腕で森さんの腕をチキンウイングですよ! 北玄だからイニシャルKですよ!」
玄の脚が、蓮の首を締め上げる。
苦しい。
だが、心頭滅却すればの精神で、黙って玄の攻撃に耐える。
やがて蓮は動かなくなった。
それは、蓮が信念を貫いた結果であって、決して敗北を意味するものではなかったが、玄は蓮をその場に埋め、墓標に『K』と刻み付けた。
見ればわかるように、ティーパーティは混迷を極めていた。
十字は読経代わりに自らの著書を朗読し始め、ひと仕事終えた玄は暗にも襲い掛かってくる。
「ふっ。三月ウサギよ、我に刃向うか。だが……相手が悪い。何故なら、俺はこの迷宮の力の根源たる存在……世界の理を僅かでも理解する者ならば、被造物が造物主に敵う事などありえぬと解るであろう……ってあれ、痛いぞ?」
玄の脚が、今度は暗を締めつけてくる。
「な、成る程……確かに俺の『力』は造物主なれど、俺自身はそれを制御できていない。な、らば、彼奴らが俺を傷つけられるのも……当然という事、か……くっ!」
クローネが「有罪よ、有罪よ!」と喚きながら、フラミンゴの槌を振り被るのが見えた。
だが世界のしくみさえ解れば成すべき事は一つ。
(俺は……意志で『力』を制御する!)
暗は実際に五感で感じる出来事を全て否定した!
玄はいない。俺の首を脚で締め付けてもいない。マッドティーパーティもない。クローネだって……!
(俺は傷ついてなどおらず、行き止まりに見えても通路が存在すると信じ抜くのだ!)
次の瞬間、脳の中がスパークした。
閃光に堅く目を閉じる。
……しばらくして、五感が戻ってくるのを感じ、暗はゆっくりと目をあけた。
そこは、赤い鳥居が並ぶただの道で、隣には
森 蓮
が静かな笑みを浮かべ横たわっている。
暗は蓮を膝の上に抱き、生命の息吹を確認すると、すべてを理解し天を仰いだ。
「また……この力を暴走させてしまったようだ……だが彼が生きていてよかった……」
暗は蓮の傍らに落ちていた本を拾った。
それは十字の著書、『架神十字の対話術入門 積極的傾聴篇』および『二重傾聴篇』であった。
<< もどる
1
…
25
26
27
28
29
…
45
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!