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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
シャボン玉と夢現
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●メランコリック
雅人とフィーナが輪投げをしている。
「並べてる景品に輪っかを引っ掛けると貰えるんだよー」
「こう、か?」
「そう! 上手い! ふふー、あとで勝負してみる?」
そんなふたりを横目で見ながら、
ハシバミ
は退屈そうに欠伸をした。
ハシバミは、旧市街は『浅葱眼鏡店』の雄猫だ。飼い主は、猫背で眼鏡で仏頂面な
浅葱 あやめ
。
毛並みは柔らかな榛色の茶白。瞳は森のような常盤色。
落ち着いていて無愛想な彼がいつからいるか、飼い主すら覚えていない。
今宵、人に化けたハシバミは、27歳ほどの背の高い気だるそうな美青年だった。
「ははぁ、みなさんご陽気で。人と猫とが交じり合ってまぁ、珍しい景色もあったもんだ」
見ているだけで退屈はしねえな、とハシバミは縁石にしゃがんで頬杖を突く。
「けれどそれと、関わりたいかどうかは別なわけよ。喧噪はねえ、見ているだけで充分さ」
占い師が水晶玉の中に過去や未来を覗くように、ハシバミは行き交う人々を距離を置いて眺める。
「人もねえ、静かにしてくれんのが好みだね。無駄に構ってくるようなのはよくない」
ひとりつぶやき首を振って、飼い主のことを思い出す。
「……『あれ』も、こういう場所は苦手そうだなぁ。だからどうってこたねえけどさ」
そのときハシバミは、くんと鼻を鳴らした。
それは、匂いみたいなものだった。
通り過ぎる女性を見遣る。
背が高く髪はショートで、まるでモデルのような整った顔立ちだが、纏う匂いが主人に似ている。
一言で言えば、『陰』だ。
切れ長の瞳まで、主人に似た榛色だった。
朝鳥 さゆる
は、ハシバミに気づかず通り過ぎた。
奇妙な冒険の一件で死に損ねてからというもの、さゆるはほぼ変わり映えしない日々に倦んでいた。夢と現の境界線が曖昧で、行きずりの誰かと行きずりの快楽に溺れるか、でなければ睡眠薬で夢を見ない泥沼の眠りに身を沈めるか。
十六にして破滅的な人生を送っている彼女は実年齢より五つも六つも上に見えたし、なにより漂わせている気配の中に行きずりの男と寝てしまうような軽薄さと孤独のようなものが混じっていたので、男たちが放っておかない。人間の男も猫が化けた男もさゆるをナンパするのだが、今宵はどうもその気になれず、すげなく断ることを繰り返している。
そのうちさゆるはふいに気づいた。
猫と人の世界がいつしか交わっていることに。
「は……」
と笑いともため息ともつかぬ乾いた吐息を漏らす。
動揺は、なかった。
もとより生きていること自体が現実感に乏しい。
だから、現実感に乏しい現象に巻き込まれても「空っぽな自分には似つかわしい」と思ってしまう。
ハシバミが感じたのはそんな匂いだったのだろう。
さゆるは嬉しい、とか、楽しい、とかいった感情の群れの中をひとり、魚のように回遊していた。
それは生きているという苦痛の時間をやり過ごすための、暇つぶしだった。
適当に猫が出している屋台を回り、適当に食べ物を食べ、適当に買い物をする。
そこに、面白い、という感情は存在しない。
ハシバミも似たようなものだ。
一人でふらふら、人間の屋台で紐くじを引き、裏の方に隠れていた玩具の眼鏡を貰って嘆息する。
安っぽいピンクのプレスチックフレームでかたちはハート。
眼鏡屋の飼い猫としても、男としても、こんなの恥ずかしくって掛けられない。
「これだから祭りのくじってのはいけねえや。ホントは当たり紐を引けないようになってるんじゃねえのかって思うよなあ。こんなの貰ったって……そうだ、嫌がらせに土産にしようか。起きていつもの眼鏡の代わりにこれが置いてあったら『あれ』はどんな顔をするかねえ」
手の中で持て遊びながらまた歩き、猫缶を入れたお好み焼きと猫舌でも飲めるぬるめの茶を買う。
ハシバミは道の端に座り込み、ちびりちびりと食べながら、なんの気なしに祭りの喧噪を眺めた。すると、さっき見た陰の女をまた見かけた。
さゆるは運命万華鏡の屋台の前で立ち止まっていた。
「一瞬だけ運命が見える」という触れ込みと、軒に並べられた千代の万華鏡の美しさが、さゆるの気を惹いたからだった。
「安いよ安いよ。さあさ手に取ってご覧あれ!」
猫の店主の口上は流れるように滑らかで、さゆるはまるで自動人形のようにふらりと筒に手を伸ばしてしまう。墨色の格子に菊をあしらった大人びた柄の万華鏡は、吸い付くようにさゆるの手の中におさまり、さゆるは気づけばそれにお代を払っていた。
自分の運命なんて破滅以外にありえないのに、なぜ買ってしまったんだろう、とさゆるの意識は考える。
けど無意識はそうじゃない。もしかすると……という一縷の望みが、さゆるにそののぞき穴を覗かせる。
「……」
最初は、きらきら、普通の万華鏡と同じような色の欠片。
やがてぼんやりと、別のものが被さって……。
「っ……!」
さゆるは思わず万華鏡を投げ捨てた。
はっ、はっ、と呼吸が浅く、荒くなる。
見てはいけなかった。
幸せな運命など僅かなりとも期待してはいけなかった。
冷たい汗がどっと吹き出る。
髪を掻きあげ、ひとつ大きく深呼吸して、呟く。
「微かな望みなんて抱くものじゃないわね……結局、これがあたしの運命なのよ」
万華鏡はハシバミの足元に転がってきた。
さゆるが青い顔をして俯くのを、ハシバミは呆れたように見ていた。
「阿呆か……屋台の売り物で覗ける運命なんて、まがい物か、ただの自分の望みだろうが。本気で夢見てないやつが覗いたってろくでもないに決まってる」
聞こえたのか、顔を上げたさゆると目があう。
ハシバミは目を逸らし、相手しないぜ、と意思表示した。
結局は、女自身の問題だ。
女が自分で解決する気がなきゃ、周りが何を言ったって殻に籠るだけ。
ハシバミは、主人との付き合いの中で、そういうことを知っていた。
そのかわり、ハシバミは懐からシャボン玉を取り出し、退屈そうにふうっと吹いた。
速く吹けば小さいのが十も二十も、ゆっくり慎重に吹けば大きなのがひとつふたつ。
ふるん、ふるんと震えては祭りの宙に浮かんで消える。
人や猫の群れの間を縫って舞う大小のシャボン玉を、さゆるはぼんやりと目で追った。
ハシバミは、シャボン玉の向こう側にいる、幼く泣きじゃくる少女を見ていた。
視線が交差する。
さゆるもシャボン玉越しに、榛色の茶白で常盤色の瞳をした、本来の猫のハシバミを見ていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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