【お三夜】きぐるみづくしのお猫様｜リアクション

【お三夜】きぐるみづくしのお猫様

　とんてんかんとんてんかん♪
　楽しげな金槌の音が、寝子島神社に響き渡る。
「みなさん、お茶を煎れましたよ。すこし休憩しませんか」
　聖が煎れたてのお茶を皆に配る。
「丁度よかったのだ、真央ちゃんくたくたなのだ」
　額の汗をぬぐい、真央は駆けつけ一杯、一気に湯飲みを飲み干した。
　修の提案で、野良猫様たちの寒さ避けに木造の物置小屋を作ることになったのだ。
　材料費はすべて修がもった。
　そして綾花と織美、雅人と渡部の４人は、日当たりの良い境内に並んで、着ぐるみの修正をしていた。
　刀の修正案である、爪もちゃんと出せるようにつま先を切って、さらに着脱がしやすいように、結び紐の位置も調整した。
　ジッパーをつける案もあったのだが、翠響が「猫の毛が絡まないようにするのは大変よ？」というので取りやめに。
　確かに、ジッパーは着脱しやすそうなのだが、それは人間の話。
　猫のように毛がふわふわの生き物は、高確率で毛がジッパーの間に挟まって痛い思いをさせてしまうだろう。
「うん、大丈夫。見つけたのが早かったからだろうね。どの猫も健康そのものだ」
　最後の一匹を健診し終えたジェレミアが言う。
　猫風邪を患ってしまっていたのは、ぶち猫一匹のみだった。
「猫達はみんな元気だねぇ」
　ふにふに、ふにふに。
　雅人の気持ちとは無関係に勝手に動くあほ毛に、お猫様たちがちょいちょいっと、手を伸ばしてくる。
「こらこら、これはひっぱちゃ駄目なんだよぉ。着ぐるみが出来上がったら、一杯遊んであげるからねぇ」
　勢い余って飛びついてきた黒猫を抱っこして、雅人はなでなでなで。
　
　
　みんなの気持ちが詰まった小屋と、改良された着ぐるみを着て幸せそうな着ぐるみお猫様たち。
　小春日和の中、沢山の幸せが寝子島神社を包んでいた。　　

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