「うわー、今日も着せられてるんだよ~」
寝子島神社に遊びに来た
鈴原 天音は、あちゃーと天を仰ぐ。
彼女の目の前には、大小さまざまな野良猫様がいた。
それだけなら、いつもの風景なのだが……。
「これ、一匹一匹着せて回ってるんだよね?」
寝子島神社の野良猫たちは、みんなみーんな、きぐるみを着せられていた。
もともとお猫さまなのだが、さらにその上に猫のきぐるみ。
顔とお尻は出ているのだが、あとはすっぽりと覆われているので、野良猫様たちは実に動きづらそう。
お三夜仕様なのだろうか?
どのきぐるみもお祭りをイメージした小物が取り付けられていて、見ているだけでも楽しくなる。
一匹一匹にサイズはぴったり合っているし、柄ももともとのお猫様の毛並みと同じで、ここの野良猫様たちの為に作られたきぐるみなのは間違いないのだけれど……。
「かわいいんだけど、どうみてもお猫様達困ってるんだよ」
つま先まですっぽりだから、木に登れない。
爪も研げない。
ご飯とお手洗いは出来るけれど、これでは困るだろう。
まだきぐるみを着せられていない野良猫様たちもいるのだが、日に日にきぐるみお猫様たちは増えていく。
「脱がせてあげて、今日も一緒に遊ぼっかなー?」
お猫様と一緒にぴょーんとジャンプした。
はい、こんにちは~?
もっふもふがきぐるみを着ちゃいましたなシナリオです。
可愛くて暖かそうだけど、ちょっと困ったことになっている寝子島神社の野良猫さま達を、助けてあげてくださいませ。
~最近の出来事~
寝子島神社に訪れる人々の情報です。
1)近所のおばあちゃん
穏やかで優しいおばあちゃんです。
毎日、野良猫様たちに餌を上げにきています。
時間帯はまちまちですが、午前中が多いようです。
編み物が得意で、お手製のマフラーとベストを身につけています。
2)寝子島高校の生徒
1年2組家庭科同好会の佐々東 織美(ササトウ オリミ)が、ここ最近神社に通いつめています。
熱心にお祈りをして、何か願い事があるようです。
また、猫好きなようで、一匹一匹の野良猫を大切にしています。
3)サラリーマンの青年
仕事帰りのサラリーマン、武藤 剛(ムトウ ツヨシ)28歳が夜間に良く訪れています。
残業疲れの身体を猫達に癒されて帰っていくようです。
常にキャットフードを持参。
4)寝子島高校のOB
寝子島高校のOBで、現在大学生の渡部 雄三(ワタベ ユウゾウ)20歳。
男性でありながら手芸部の部長も勤めたことのある人物で、やはり猫好き。
寒がりで、まだ11月だというのに厚手のセーターとマフラー、それに裏地の付いた手袋と完璧装備。
お三夜で自作のきぐるみを披露した事もあります。