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黄色い絨毯の不思議 〜感謝の言葉を貴方に〜
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【純愛と戸惑い】
清掃作業が一通り終わり昼を過ぎると、砂浜はまた人気が無くなっていた。
午前中が騒がしかっただけに、イソギクもどことなく寂しそうに揺れている。
控えめだけど澄んだ美しい歌声が海岸に流れてきたのは、そんな時分だった。
「ユリアナちゃん、その歌、素敵だね」
「ふふ、ありがとうございます、ニコさま」
銀色の瞳を細めて妻を褒める
ニコ・ライニオ
と、たんぽぽの綿毛のように柔らかな微笑みを浮かべて夫に答える
ユリアナ・ライニオ
。
二人は秋晴れの午後に散歩を楽しんでいる最中だった。
最愛の娘は友達に誘われて遊びに出かけている。思いがけず手に入れた二人っきりの午後。
美しい空に誘われて、ニコは妻を散歩に連れ出したのだった。
小さめのバックを片手に、歌を口ずさみながら海岸を歩くユリアナ。
長い銀の髪は空高い陽光をうけて、水晶の粉をちりばめたように輝いて見える。
ニコはそのような光景を何度も見てきたのだが、その度に思うのだ。
愛しい、と。
こんな僕と共にいてくれてありがとう、と。
もう随分長い間一緒に居るはずなのに、出会ったばかりの時の気持ちは薄れるどころか、ますます色鮮やかになっていく。
思い出が増えていく度に一輪ずつ花を植えていくようだ。
いつしか胸の中は、色とりどりの花が咲き乱れる花畑のようになっている。
「まぁ、ニコさま。ご覧になって」
「なんだい?」
ユリアナが指し示したのは黄色い花々だった。
色は単調といっても、ちょうど今思い描いていた風景に重なる光景にニコは息をのむ。
「丸くて小さくてまるでボタンのような花ですね。綺麗です」
「本当だ、綺麗だね」
ニコの内に何かがわき上がってくる。
しかしそれはニコにとってはあまりに当然の感情で、何ら違和感を覚えなかった。
さらに言えば直前にも感じていたのだから。
だから、ニコはそのまま言葉にした。
「ユリアナちゃんと一緒にいられる僕って本当に幸せ者だね」
「ニコさま……」
「あの黄色い花だって、君と一緒だから何倍も素敵に見える」
そう。僕の心の中にある花壇のように。
君との思い出が、君への想いが、君の傍らにあることが。
いつだって色鮮やかに咲き誇っている。
そんな心の風景が黄色い花々にも重なって。
ああ、きっとこの花も僕と君との大切な思い出になるんだね。
「ありがとう、ユリアナちゃん。僕の隣にいてくれて」
ニコはとても幸せそうに笑った。
そんな彼を見て、ユリアナは心の堰を破るほど大きな感動が芽生えるのを感じていた。
ニコさまのお言葉はいつものようにとても嬉しい言葉です。
私はいつもニコさまのお言葉に胸をときめかせているのです。
でも、今は普段と違う。
……いつもよりもっと、もっと嬉しい。
言葉を失うユリアナの手をとって、ニコはさらに続けた。
「朝起きて夜寝るまで。いや、夢の中だってずっと君に感謝してる」
ニコさま。それは私も同じです。
「離れている時だってそう。何時だって君のことを想ってる」
ニコさま、私も、私もそうなんです。
「……こうやって、傍にいるときはなおさら、ね」
イソギクが演出を加えたのか、ニコはほんの少しだけ照れたように顔を赤くした。
ユリアナは何か言おうとして、喉を詰まらせたように口をつぐむ。
言葉にできない分が涙に変わったのか、瞳を潤ませてニコを見上げた。
私の気持ちよ、愛しい彼に届けと願う。
ニコさま、私の傍にいてくれてありがとうございます。
いつもいつも、私に優しくしてくれてありがとうございます。
昨日の夕食のハンバーグ、美味しいって言ってくれて。
子どもの面倒を一緒に見てくれて。
私が仕事をしているとき、家事を手伝ってくれて。
娘と私を深く、深く愛してくれて。
……私を、選んでくれて、本当に本当に……。
ニコは妻の言葉にできない想いを瞳から読み取った。
それを特別だとは思わない。
これほどまでに美しい青い瞳で、これほどまでに想いを込めて見つめられて。
分からない人などいるだろうか。
ニコはとった手を優しく引き寄せて包むようにユリアナを抱きしめると、耳元で穏やかに囁いた。
「何度だって言うよ。ありがとう、ユリアナちゃん」
そして目を閉じた妻の小さな唇に、優しく優しく口づけた。
瞳から流れ落ちる一雫の美しい輝きは幸せの証。
「……ニコさま、今、この瞬間、隣にいてくれてありがとうございます」
そして、これからもずっと……。
ようやく言葉を紡げたユリアナは、夫の腕の中で深く美しい笑顔を見せた。
さて、この完全無欠な『世界に二人だけ空間』に遭遇し、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれていた人物がいた。
「も、もう! どうしたらいいのよ!」
砂浜に並ぶ木の影に隠れ、
城山 水樹
は視線をそらせながらもその場を動けない。
足下の黄色い花が我関せずとのんきに揺れているように見えて小さく唸る。
本来あのような他人様お断りなシーンを目の当たりにしたら、静かに方向転換して場所を変える。
恋人達の邪魔をして馬に蹴られる趣味はないし、デリカシーは持っているつもりだ。
では、なぜ動けないのか。
それはもう自分でも制御不可能なほどに、あのカップルへの感謝の念がこみ上げて止まらないからだった。
今日はモデルの仕事が無かったせいか実家の古本屋で手伝いをお願いされて、朝行うはずだったウォーキングができなかった。
紙というものは結構かさ張り、しかも重い。
手伝いから解放された後、身体をほぐしたいのもあったし、ネコッターで『海岸にイソギクが繁殖してキレイです〜! お勧めなのですよ〜』と元気いっぱいな呟きが画像付きで流れていて興味が湧いた。
そこで日課のウォーキングをかねて足を伸ばしたのだ。
「本当ね、結構綺麗だわ」
辿り着いた砂浜では何ヶ所かに黄色い絨毯が広がっているのが見えた。
雲一つない青空が広がり陽は明るく、砂浜の照り返しも強かった。
雑誌の関係者から『これからの季節は日焼けに気をつけてね』と忠告を受けたことを思い出す。
特に気にしているわけではなかったが、別にそれほど手間でもない。
砂浜と海岸道路の間に防風林のように並び立つ木の陰を選んで歩きながら、イソギクの花畑を眺めた。
そこに綺麗な歌声が聞こえてきたのだ。
見るからに仲が良さそうなカップルが歩いてくる。
おそらく一つ目の問題は、やり過ごそうと隠れたこと。
しかし、すぐに通り過ぎるだろうと思っていたカップルはあろうことか城山が隠れている木の側でイソギクを眺めはじめ、そのまま二人の世界に突入してしまった。
一度隠れてしまった以上、いまさら出て行くわけにもいかない。
早く立ち去って〜! と願っていたときに自分の中に突如として想いがわき上がってきた。
なんと見ず知らずのカップルに対して感謝の気持ちが。
どうして?
私はこの人達のことを知らない。すれ違ったことぐらいあるかもしれないけど、初対面も同然だし、たぶん彼女達もそう。
いきなり感謝しています、なんて言ったらただの変な人だわ!
しかも、このシーン。このシュチュエーション。
馬に蹴られるなんてレベルじゃないわよ!
それは当然の疑問。正当な分析。
城山はごくごく普通な思考回路で理性的に判断する。
なのに、本当にどうしてだろう。
背けようとする視線は、二人を追いかけてしまう。
隠れようとする足は、光の下に踏み出そうとしてしまう。
閉ざそうとする唇は、溢れる気持ちを伝えようとしてしまう。
そもそもポジティブで細かいことは気にしない主義。
楽しいことが大好きで、人と接することも苦にならないノリの良い性格。
本来なら普通に声をかけていただろう。
多少変に思われたってその場の勢いで誤摩化して、友達になってしまえばいい。
ちょっと変わっているかもしれないけれど、それも友情の始まりの一つよね、と思える。
二つ目の問題は、相手がニコとユリアナだったこと。
あまりにも仲睦まじいカップル具合を前にして、声をかけられるはずもない。
結果、城山は木陰に潜んだまま、自身の心に振り回されることになった。
伝えたい。伝えたいのよ!
幸せな姿を見せてくれてありがとう。
嫉妬とかやっかみだとか、そんな暗い感情が全然出てこないくらいに、お互いを大切に思っていることが分かるもの。
私も貴方達みたいな素敵なカップルになれるような相手に巡り会いたいな。
そんな人に出会ったときに堂々と自分を誇れるように、もっと自分を磨かなくちゃ。
向上心を与えてくれて、ありがとう!
伝えられない感謝の気持ちはますます高まるが、どうしたって言い出せる状況ではなく、かといってこのまま抱えるにはあまりも溢れすぎている。
しかもわき上がる感謝そのものはとても前向きで好ましく、そんな気持ちに満たされて悪い気はしないのだ。
だからこそ、身体が震えるほどやるせない。冷や汗が額を湿らせるほどにもどかしい。
ああ、もうどうしたらいいの!
気持ちを伝えたいだけなのに。いつもだったら簡単にできるはずなのに。
本当にただそれだけのはずなのに、もうどうしたら!
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
「とても具合が悪そうですよ。あの、これをお飲みになりますか?」
「え? あ!」
気がつけばニコとユリアナが側にいて、心配そうに声をかけてくれていた。
ユリアナがバックから水筒を取り出し、温かな紅茶を注いでいる。
ニコはおそらく心の底から案じているのだろう。その銀の瞳には不安と慈しみが見て取れた。ハンカチを差し出す手は温かみに溢れている。
しかし、もちろん城山の方は軽く限界を突破した。
「あ、ああありがとうございます。でも大丈夫です。何でもありませんから!」
「でも、そんなに汗をかかれて、顔色も悪いですし」
「そうですよ。無理なさらないで」
「大丈夫です。本当にありがとうございました! 失礼します!」
盛んに頭を下げてお礼を言うと、きびすを返して走り去る。
「あの走りっぷりなら本当に大丈夫そうだね」
「ええ、よかったです」
事情を知らないライニオ夫婦は、見ず知らずの女性が元気であることに安堵して互いに微笑み合った。
ちなみに本意は伝えられなかったが『ありがとう』と口に出せたせいなのか、城山の中の巨大な感情の膨らみは次第に鳴りを潜めた。
城山もまた安堵したのは言うまでもない。
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担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月07日
参加申し込みの期限
2015年10月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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