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黄色い絨毯の不思議 〜感謝の言葉を貴方に〜
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【本気? それともごますり?】
かがみながら長時間のゴミ拾いはそれなりに辛い。
北風 貴子
はその場にいる皆に悟られないように腰を伸ばしながら、二人の助っ人に礼を言った。
「橘さん、御剣君。ありがとう。助かるわ」
「いえ、大したことじゃありませんから」
「この広い海岸を二人だけで掃除なんて無理ですよ」
橘 千歳
と
御剣 刀
はそれぞれ熱心にゴミを拾いながら返す。
いつものように寝子島神社での朝稽古の後、二人は寝子島高校前の喫茶店に向かっていた。
雨上がり。しかもこれから冬に向かう冷たく澄んだ空気は空を美しく見せている。
少し気が向いて海岸通の景色でも眺めながら歩こうか、と遠回りしてみると見つけてしまったのだ。
北風達二人が砂浜のゴミ拾いをしている光景を。
もともと正義感が強く風紀委員でもある橘と、根が真面目で学生支援部の一員である御剣のこと。見て見ぬ振りができるわけがなかった。
「いいえ、本当に助かっているわ。それに思っていたよりも綺麗好きな人っているものね」
「え? どういうことですか」
「ほら、貴方たち以外にも自主的に清掃してくれている人がいるみたいよ」
北風が示す方を見てみると広い砂浜の中程や反対側の端に人影が見える。
ゴミ袋を持っている様子から北風の言う通りなのだろう。
「あちらはあちらに任せるとして、二人とも。黄色い花が繁殖しているところに行ったら、中には入らない方がいいわよ」
「どういうことですか?」
「ちょっと上手く説明できないけど、たぶん中に入らなければ大丈夫。……まぁ二人だったらたとえ入ったとしても問題なさそうではあるのだけど」
疑問符を飛ばしながらも、ゴミ拾いを再開する橘と御剣。
謎の忠告の意味は、その後すぐに分かることになった。
「これかな。北風先輩が言っていたのは」
「そうみたい。この花、花びらがないのね」
手分けして掃除しているうちに、二人はイソギクの群生地を目の当たりにした。
本来は葉の部分の方が多いと思われるのに、黄色の絨毯に見えるほど満開だ。
二人は真面目に忠告を守って、花畑には入らずにその周囲を掃除し始めた。
結局、北風の忠告は活かされなかった。彼女は自分の体験から推測したので仕方がないのだが、イソギクの導きはただ見ているだけで効果があるらしい。
始めに違和感を覚えたのは御剣だった。
唐突といっていいほど急に、橘への感謝の念が湧いてくる。
次から次に、溢れるほどに。
普段から感謝はしていた。
彼女は脆いところがあるから放っておけない。そう思っているけれど、振り返ってみればいろいろと世話になっているのは自分のほうだった。
そうだ。
剣の稽古にもつきあってくれる。
早朝稽古の後の美味しい弁当。何度、腹いっぱい食べたことだろう。
勉強も根気強く教えてくれる。結果を出せなくて申し訳ないな。
剣術一辺倒の俺に、一体どれだけのことをしてくれたか。
なんだよ。本当に感謝してもしたりないな。
もともと思ったことをそのまま口にするタイプの御剣は、自分の中の気持ちに素直に従った。
「千歳、ありがとう」
「え、あ……」
「いつも俺につきあってくれて、本当に感謝してる。面倒かけてばかりでゴメンな。ありがとう、千歳」
御剣は橘を軽く抱き寄せて、穏やかにそう告げた。
驚いたのは橘の方。
見た目は普通の体格だが布越しに分かる御剣の鍛えられた身体と温もりに包まれて、一瞬ぼんやりした後、気がついたように身を堅くした。
い、いきなり何? なんなの!
えと、別に嫌じゃないけど、でも、その。
ち、違う違う、そうじゃないでしょ、私!
「……とりあえず、人目もあるし離れて……」
「あ、そうだな、悪い。でも感謝してることは本当なんだ」
「……わかったわ。でも気にしなくてもいいのよ。私も好きでやっていることだから」
確かにいろいろとしてはいるけれど、面と向かって言われると恥ずかしいじゃない、と思いながら橘は俯いた。
ほんの少しだけ距離をとって見つめてくる御剣の視線は温かくもくすぐったい。
そう、別に感謝して欲しいわけじゃないの。
私は好きでしているだけ。
だって刀君、やんちゃな子どもみたいで目が離せないんだもの。
そこまで考えたとき、ふと視界の片隅で黄色い花が揺れた。
その途端、静かだけど温かな想いが胸の内を満たしていく。
……いいえ、それだけじゃないわね。分かってる。
私も感謝してるから。
常に姉と比較されて、自分に自信が持てなくて。
あまり話すのは得意じゃないから、上手く気持ちも伝えられなくて。
そんな私を、刀君はちゃんと『千歳』として見てくれる。
『千歳』としてつきあってくれて、『千歳』を心配してくれる。
それがどれだけ嬉しいことなのか、刀君はわかっているのかしら。
「……私も、その、感謝してる、から……」
「うん? 今なんて?」
「! な、なんでもないわ」
口の中で歯切れ悪くこもった感謝の言葉は、海から吹く風に散っていき、御剣の耳には届かなかったようだ。
変なときに鈍感な御剣に、橘は少しだけ不満に思い、同時にふと疑問が湧いた。
……待って。少し冷静になろう、私。
どうして刀君は急にこんなことを言い出したんだろう。
そもそも、だ、抱き寄せる、なんていきなりするタイプかしら。
稽古の後に喫茶店に誘うのだって珍しいし。
海岸を回って行こうと言ったのも刀君だった。
つまり……。
そう。きっとそういうことなんだわ。
小さな不満が疑問を呼んで、いつもとちょっとだけ違う事柄が重なっていた結果、橘は盛大に明後日の方向へ推理してしまった。
小さくため息をついて顔を上げると、御剣へできる限り優しい声で語りかける。
「刀君。……怒らないから今度は何をしたのか、正直に言って頂戴」
「え? あれ? 千歳?」
「やってしまったものはしかたがないから。私も相談に乗るわ」
「いや、俺、なにも悪いことしてないよ?」
「……刀君、さ、話してみて」
「いやいや、ホントにしてないってー!」
言えば言うほど疑いが増す状況に、御剣は頭を抱えたかった。
感謝の気持ちを素直に表しただけなのに、どうしてこういう反応が返ってくるのか。
自らに問えば、瞬時に答えが返ってくる。
日頃の行い? ですよねー!
へこむ御剣は言葉なく肩を落とした。
ここまで信用をなくしていたのか。これからはもう少し自重しよう、と反省する。
今はとにかく、あらぬ疑いだけでも晴らさなければ。
言葉だけでは届かないなら、別のもので誠意を示すしかない。
「……千歳、この掃除終わったら、約束通り喫茶店に行こう」
「え? ええ、あの……そうね」
御剣の分かりやすいへこみ具合に、橘は内心焦った。
あれ? もしかして本当に何もないの?
だとしたら、悪いことをしてしまったかしら。
で、でも、刀君も悪いのよ! いきなり抱きしめたり、感謝なんてするんだもの。
……また何か面倒ごとに関わってしまったのかと思って、心配したんだから。
なにもなくて良かった。
え? でも、ということはさっきの感謝は本気の気持ち?
先ほどの穏やかな、しかし真摯な目をした御剣を思い出す。
あの表情が、あの言葉が、あの行動が、彼の心の底から出た本当の気持ちだとするなら。
とても、とても嬉しい。
「千歳、どうかしたか?」
「……いいえ、何でもないわ。掃除を続けましょう」
「ああ、そうだな」
誰にも分からないぐらい微かに頬を染めた橘と、内心何を御馳走すれば疑いが晴れるのかと本気で頭をひねっている御剣は、どこかぎくしゃくとしながらゴミ拾いに戻っていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月07日
参加申し込みの期限
2015年10月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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