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黄色い絨毯の不思議 〜感謝の言葉を貴方に〜
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シーズンを過ぎ、むしろ冬の方が近くなった寝子ヶ浜海岸は、人気もなく寒々しかった。
そんな海岸沿いを歩く二つの影。
「オレ、な〜んでこんなコトしてるッスかね？」
「文句があるなら帰ってもいいのよ。私だけで続けるから」
「ウソウソ！ 冗談！ オレもちゃんとやってるじゃん！」
南波 太陽と北風 貴子はゴミはさみと袋を持ち、海岸の掃除をしていた。
「……珍しく誘ってくれたと思ったのにな〜」
「聞こえているわよ。だいたい誘った覚えはないわ。あなたが勝手についてきたんでしょ」
「う〜。相変わらず照れ屋ッスね！」
「照れてもデレてもないわ。口じゃなくて手を動かして」
無駄口が多い南波の背を、言葉で押す北風。
昨日はちょっと強めの暴風雨だった。
晴れ渡った後の海岸に打ち上げられた木々や貝殻の間には、ペットボトルやビニールゴミがちらちら混じっている。
シーズンオフのこの時期、なかなか地元自治会の掃除などは行われない。
たまたま通りがかって見てしまった北風には我慢ができない光景だった。
この広い海岸を完全に綺麗にはできないが、せめて拾える人工物だけでも片付けたい。
１人でゴミの回収を始めた北風をこれまた偶然見かけた南波は、なにをしているのか確認もせずに手伝いを申し出た。
たった二人の海岸掃除の始まりだ。
随分と頑張ってさすがの北風も一息ついた時、昨晩の残り風か、突風が吹いた。
ゴミばさみから奪われたビニール袋が風に流されていく。
「あ！」
「飛んじまったッスね〜」
「ぼやいていないで、追いかけるわよ！」
「ウ〜ッス！」
追いかける二人の前に、幻想的ともいえる風景が広がった。
見渡す限り海岸を埋め尽くす、黄色と緑の絨毯。
寝子島で普通に自生している磯菊（イソギク）だったが、これほどまでに繁殖していることは珍しい。
「うっわ、キレイッスねー！」
「そうだけど、ビニールゴミが」
感動して南波の足が止まった。
北風は少し躊躇ったものの、ゴミを回収するためにイソギク野原に足を踏み入れる。
少し歩んで、ビニールゴミをはさみ取った途端、硬直した。
そのまま数瞬固まっていた北風が、急に動きだす。
頬を染めて南波を凝視し向かってくる。
「ど、どうしたッスか？」
急変した態度に及び腰になった南波に、北風は抱きついた！
「いつもありがとう！ こんな堅苦しい私にも親しくしてくれて！ 本当はとっても感謝してる！」
「え？ え？ えええええーーーーー！」
いきなりの感謝の言葉とスキンシップに、今度は南波の方が固まった。
一体なにがどうしたのか？
北風になにがあったというのか？
南波は戸惑い動けない。
ほんの数十秒経っただろうか。
北風はぎこちなくゆっくり離れた。
「……いきなり変なこと言ってごめんなさい」
「え？ あれ？」
「ゴミ拾いに戻りましょうか」
いつもの冷静な表情にもどった北風は、どこか照れくさそうに視線をそらせて来た道をもどっていく。
「い、一体なにがなんなんッスか……？」
本当に訳が分からない南波は、慌てて幼なじみの背を追いかけた。
遠ざかる二人を見送るイソギクは風にそよぐ。
さざめき笑っているかのように。
このイソギクには何か不思議が宿っているらしい。
ちなみにイソギクの花言葉は『感謝。清楚な美しさ。大切に思う心』
そんな海岸沿いを歩く二つの影。
「オレ、な〜んでこんなコトしてるッスかね？」
「文句があるなら帰ってもいいのよ。私だけで続けるから」
「ウソウソ！ 冗談！ オレもちゃんとやってるじゃん！」
南波 太陽と北風 貴子はゴミはさみと袋を持ち、海岸の掃除をしていた。
「……珍しく誘ってくれたと思ったのにな〜」
「聞こえているわよ。だいたい誘った覚えはないわ。あなたが勝手についてきたんでしょ」
「う〜。相変わらず照れ屋ッスね！」
「照れてもデレてもないわ。口じゃなくて手を動かして」
無駄口が多い南波の背を、言葉で押す北風。
昨日はちょっと強めの暴風雨だった。
晴れ渡った後の海岸に打ち上げられた木々や貝殻の間には、ペットボトルやビニールゴミがちらちら混じっている。
シーズンオフのこの時期、なかなか地元自治会の掃除などは行われない。
たまたま通りがかって見てしまった北風には我慢ができない光景だった。
この広い海岸を完全に綺麗にはできないが、せめて拾える人工物だけでも片付けたい。
１人でゴミの回収を始めた北風をこれまた偶然見かけた南波は、なにをしているのか確認もせずに手伝いを申し出た。
たった二人の海岸掃除の始まりだ。
随分と頑張ってさすがの北風も一息ついた時、昨晩の残り風か、突風が吹いた。
ゴミばさみから奪われたビニール袋が風に流されていく。
「あ！」
「飛んじまったッスね〜」
「ぼやいていないで、追いかけるわよ！」
「ウ〜ッス！」
追いかける二人の前に、幻想的ともいえる風景が広がった。
見渡す限り海岸を埋め尽くす、黄色と緑の絨毯。
寝子島で普通に自生している磯菊（イソギク）だったが、これほどまでに繁殖していることは珍しい。
「うっわ、キレイッスねー！」
「そうだけど、ビニールゴミが」
感動して南波の足が止まった。
北風は少し躊躇ったものの、ゴミを回収するためにイソギク野原に足を踏み入れる。
少し歩んで、ビニールゴミをはさみ取った途端、硬直した。
そのまま数瞬固まっていた北風が、急に動きだす。
頬を染めて南波を凝視し向かってくる。
「ど、どうしたッスか？」
急変した態度に及び腰になった南波に、北風は抱きついた！
「いつもありがとう！ こんな堅苦しい私にも親しくしてくれて！ 本当はとっても感謝してる！」
「え？ え？ えええええーーーーー！」
いきなりの感謝の言葉とスキンシップに、今度は南波の方が固まった。
一体なにがどうしたのか？
北風になにがあったというのか？
南波は戸惑い動けない。
ほんの数十秒経っただろうか。
北風はぎこちなくゆっくり離れた。
「……いきなり変なこと言ってごめんなさい」
「え？ あれ？」
「ゴミ拾いに戻りましょうか」
いつもの冷静な表情にもどった北風は、どこか照れくさそうに視線をそらせて来た道をもどっていく。
「い、一体なにがなんなんッスか……？」
本当に訳が分からない南波は、慌てて幼なじみの背を追いかけた。
遠ざかる二人を見送るイソギクは風にそよぐ。
さざめき笑っているかのように。
このイソギクには何か不思議が宿っているらしい。
ちなみにイソギクの花言葉は『感謝。清楚な美しさ。大切に思う心』
ゲームマスターより
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年10月07日
- 参加申し込みの期限
-
- 2015年10月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2015年10月14日 11時00分
シナリオガイドをご覧下さいまして、ありがとうございます。
新米ゲームマスター、阿都（あと）と申します。
どうぞよろしくお願いいたします！
今回も小さくも奇妙な事件です。
東海から関東にかけて海岸線によく見られるイソギクが大繁殖。まさに黄色い絨毯です。
それだけならまだ自然界の不思議ですが、神魂の影響大きい寝子島のこと。
ただの不思議で収まりませんでした。
花言葉が顕在化していて、イソギク絨毯に触れたり見つめると感謝の気持ちがわき上がります。
それはもう問答無用な強制力を持って貴方を誘惑します。
『感謝の言葉を伝えなければ！』
……誰彼構わずに！
今回の参加者の皆様の間のみで、強制的な感謝の念がわき上がります！
・別に感謝の気持ちは悪いことじゃない。素直に言ってしまおう。
・いや、それは私のキャラじゃない！ 意地でも言わない！
感謝の言葉は心に秘めて、何か工夫し必死に抗う。負けるもんか！
・この植物は危険なものだ。排除せねば……。
・ある意味チャンス！ この際本当に感謝の気持ちを伝えちゃえ！
いろいろなアクションをお待ちしております。
感謝の念が生じる相手は、今回の参加者同士だけです。
参加していないキャラをリアクションには出せませんので、申し訳ございません。
相手が誰であろうが感謝してしまいますが、もしこのキャラにだけは本音で感謝を伝えたいと希望がございましたら、アクションに相手のキャラ名と伝えたい言葉を明記して下さい。
ご指定の相手がいない場合、私がアドリブで感謝の言葉を作り、判定でキャラ同士を絡ませて感謝させあいます！
つまり誰が誰に対して本音の感謝を伝えているかは、本人（と私）にしか分かりません！
恥ずかしがらず、安心して感謝しちゃって下さい。
効果が解けた後の行動（照れ隠しや、便乗して本音を言うなど）も、お書きいただけるとありがたいです。
それでは、ご参加お待ちしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。