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黄色い絨毯の不思議 〜感謝の言葉を貴方に〜
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【二人の感謝】
その日、恵御納はなんとなく気が向いて海岸に出かけた。
シーズンオフの寝子ヶ浜海岸は人気もなく、昨晩の嵐で砂浜はゴミで汚れている。
ところどころ不自然に広い黄色い花畑があることにちょっと驚いた。
遠目にちらほらとゴミ拾いをしている人影も見える。
「……そう、だね。僕もしようかな」
思い立ったが吉日。さっそく近くのスーパーで軍手とゴミ袋を買ってきた。
見渡してまだ誰も手をつけていなさそうな星ヶ丘に近い砂浜を片付けることにする。
移動しようと海岸沿いの道路を迂回する途中、親しい友人と出会った。
「おはようって言うか、もうこんにちは、かな」
「八神君、ミストちゃん。……こんにちは」
八神とともに散歩中だった灰色ネコのミストは、恵御納を見上げるとしなやかに足下に寄り添って、穏やかな鳴き声をあげた。
「お? 恵御納を覚えているみたいだ。ネコはネコ好きが分かるんだな」
「……ふふ、可愛い」
ゆっくりしゃがんで撫でると、ミストは嬉しそうに目を細め喉を鳴らす。
じゃれる恵御納とミストを優しいまなざしで見た八神は、友人の持つ掃除道具に気がついた。
「もしかして海岸のゴミ拾いでもするのか?」
「もしかしてって……八神君も?」
「ああ、散歩していて気がついてしまって。そうなるともう、な」
困ったような微笑みを浮かべながら八神は鞄からエコ袋を取り出した。
「人が少ないようなら、ろっこんを使うことも考えている」
「うん、何人かいるけど、……目立たないようにすれば大丈夫だと思う」
「そうか。なら一緒にやるか」
「……うん。よろしくお願いします」
こうして二人はゆっくりと海岸掃除にとりかかった。
星ヶ丘方面から中央に向かって砂浜を歩いていく。
拾えるものは拾い、大きくて動かしにくそうな流木などは八神のろっこんで目立たないように分解した。恵御納は現場がなるべく人目につきにくいように壁役を担当する。
細かく散って風に流れていく木屑をミストが不思議そうに見送っていた。
八神は目につくゴミ全てをろっこんで分解しようかとも考えたが、結局やめることにした。
ゴミが人工物だけならそれもいいかもしれない。しかし細かい木々や貝殻など自然物はそれを住処や餌にする生物もいるだろう。
それに綺麗な貝殻を見つけて嬉しそうに微笑む友人を見ていたら、こんな風にのんびりとゴミ拾いするのも悪くないと思えた。
「……この丸いのは?」
「タカラガイだな。何十種類もあるから流石に固有名までは分からないけど、見た通り綺麗な貝殻でコレクターもいるらしい。昔は貨幣として使っていた国もあるそうだ」
「本当に綺麗。……ネックレスとか作れそうだね」
「実際、お土産にもなるしな」
ゴミ拾いなのか、ビーチ・コーミングなのか分からないな、と苦笑しながらも恵御納の質問に次々答えていく。
海岸の3分の1ほど歩いた頃だろうか。
二人と一匹の目の前には黄色い花畑が広がっていた。
「わぁ、……綺麗」
「この花、イソギクだったかな。しかし今日の恵御納は『綺麗』ばっかりだな」
「……だって、綺麗なんだもん」
「あれ? あれは……」
八神の視線の先、黄色い絨毯の向こう側には中学生が二人。知り合いの赤毛の少年と黒髪の少女がいた。
何やら話しているようだが、声は聞こえない。
どうも様子が変なので挨拶しようか迷っているうちに、少年が顔をおさえてそっぽを向いた。
赤い飛沫が見えたような気がして、つい呼びかける。
「赤羽に鍋島? こんにちは。って赤羽、また鼻血か?」
「うわ、修先輩!」
「あ、八神先輩、こんにちは!」
血をまき散らした酷い顔で仰天する赤羽に、ものすごくいい笑顔で手を振る鍋島。
八神はいつもの二人とどことなく違うな、と思いつつティッシュを渡そうとした。
途端、挨拶もそぞろに逃げ出す後輩たち。
「いったいどうしたんだ?」
「……さぁ?」
さすがの八神も状況が飲み込めず、去りゆく二人の背中を見ながらポケットティッシュの行き場に困っていたので、親友の変化に気がつかなかった。
「……八神君」
「ん? どうした恵御納」
「いつもお世話になってます。本当にありがとう!」
「え、なんだ。いきなり」
いつも無口無表情なはずの恵御納は頬を微かに染め、温かな笑顔を浮かべていた。
溢れんばかりの親愛の情が目に見えるような。
心の底からの信頼がうかがえるような、そんな笑顔。
どうしたんだろう、と恵御納はぼんやりと考えた。
ミストと一緒にイソギクを見ていたら、なんだか心の底から温かな感情がわき上がってきたから。
それは誰かに対する綺麗な想い。
いつも助けてくれたり、優しくしてくれる人達への綺麗な綺麗な感謝の気持ち。
……本当だ。今日の僕は綺麗ばっかり。
そんなことを思ったら自然に笑顔と声が滑り出た。
隣にいる八神への感謝。
自分の手に頭をこすりつけているミストへの感謝。
「ミストちゃんも、可愛くて癒される……ありがとう!」
ミストを優しく抱き上げて、その場でくるくる回る恵御納。
はち切れんばかりのその笑顔。
気まぐれなはずのミストも、まるでお礼を返しているかのように可愛い鳴き声を上げている。
八神は友人のいつもと違うはしゃぎぶりに驚きながら、どこか自然な姿にも思える振る舞いに目を奪われていた。
同時に、自分の中の変化に気がつく。
なにが原因なのか、と分析する。
恵御納の言動。先ほどの赤羽と鍋島の突飛な行動。自分の中で膨れ上がる気持ち。
共通点。イソギク。この気持ち。花言葉は確か……。
ああ、と結論が出る。おそらくはまた神魂がらみ。
出たところで、なにも変わらない。否、変えるようなことでもない。
この友人に対する気持ちはいつも抱いていたものだ。告げることにためらいも感じないほど。
八神は密かに思う。イソギクの気持ちは嬉しいけど手助けはいらないよ、と。
「恵御納こそいつもありがとう。俺を頼ってくれているのにも感謝している。励みにもなってるんだよ」
「え。今なんて、って、わぁっ!」
恵御納は聞き返そうとして回転を止めた矢先、足を滑らせた。ミストが慌てて飛び降りる。
目が回っていたようで受け身も取れず、後頭部から砂浜に倒れてしまった。
八神は駆け寄り、なるべく頭を動かさないように気をつけながらゆっくり抱き上げる。
「大丈夫か、恵御納」
「……ああ、大丈夫。夏朝は気を失ったみたいだけど」
「……夏夜、か」
「うん、そう。久しぶりだね、って言うべきかな」
先ほどまでが嘘のように無表情に拍車がかかり、冷たささえ感じさせる視線で八神を見る恵御納は明らかに別の人格だった。
静かに辺りを見渡し、イソギクに目を止めると不思議そうに呟く。
「『僕』に優しさなんてない。……けど、感謝したいのはなんでだろうね」
夏夜はそのまま八神に対して囁くように語りかけた。
「『僕』からも礼を言わせてもらうよ。……いつも夏朝の助けになってくれてありがとう。そして夏朝にも伝えておいてくれるかな。『ありがとう』と」
夏朝は『僕』が出ている間のことを覚えていないからね……。
言外の夏夜の声を八神は正確に理解していた。真摯に見つめ頷いて答える。
「夏夜がいるから夏朝は守られている。夏夜にとっても夏朝が支えなら嬉しいよ」
「……ふふ、君からそんな言葉をもらうなんて、ね。でもありがとう、かな、これは」
ひどく儚げな笑みを浮かべ、夏夜は目を閉じた。
もう夏朝が意識を取り戻す。『僕』はまた『あそこ』に戻る。
それが辛いわけじゃない。『僕』は出てこないほうがいい。
でも、せめて……。
「それじゃ……また、ね」
「ああ。必ず伝えるから。ありがとう、夏夜」
八神の言葉を胸に抱いて、夏夜は暗闇へ戻っていった。
「……う、うーん……」
「気がついたか、恵御納」
「あ、八神君。……僕、どうしたのかな」
「足を滑らして頭打ったんだ。どうだ。どこか辛かったり気持ち悪いとか、あるか?」
「うん、大丈夫」
ゆっくり身体を起こす。盛大に気を失ったわりに特に異常は感じなかった。
イソギクが風にゆられている。
恵御納は何かを忘れているような気がして、黄色い花を見つめた。
そんな友人に八神は語りかける。大切な約束を守るために。
「恵御納に伝言があるんだ」
「伝言? ……誰から?」
「夏夜から」
「え! 夏夜ちゃんから?! ……八神君、夏夜ちゃんのこと、知っているの?」
「ああ。ある事件で知り合ったんだ。その件はまた話すけど、伝言を預かってる」
「……なんて?」
「ありがとう、って」
「……ありが、とう」
恵御納は反芻するように呟いた。
……夏夜ちゃん。なにを言っているの。
それは僕の台詞なのに。
僕こそ夏夜ちゃんにありがとうって伝えたいのに!
ありがとう。
恵御納にとって、この言葉がこれほど染み入ったことはなかった。
胸に手をあてて、もう一度呟く。
届いて欲しい、と願いを込めて。
「……ありがとう。夏夜ちゃん」
八神が差し出したハンカチを受け取って初めて、恵御納は自分が涙を浮かべていることに気がついた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月07日
参加申し込みの期限
2015年10月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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