【お三夜】お猫様の大掃除にゃん！｜リアクション

【お三夜】お猫様の大掃除にゃん！

　猫屋敷の住人として猫の為ならば奉仕する事もやぶさかではないと、俄然やる気になっていたのは、猫屋敷姫だった。
　頭に猫耳を付け、猫Ｔシャツを纏った姫は、まずは情報収集と旧市街の老人たちの元を訪れて、隠れお猫様の場所を聞いて回り、地図を作製した。
　老人たちの記憶には曖昧な点もあったが、貴重な情報を得た姫は早速寝子島神社へと向かった。

「えー、ではー早速この地図によるとー、
　本殿の軒下から入って少し奥にポツンと狛猫が置かれているそうな……」

　なんでそんな所にというのは諸説あるので割愛される。というか情報源の老人はなんでそんなとこ知っていたのか不思議である。

「早速、行ってくるです」
　
　周囲に誰もいないのを確認してから姫はろっこん『スクナヒコナ』を発動させた。

『お猫さん、お入んなさい。ありがとう、さぁどうぞ』

　自分で自分をどこからともなく取り出したピコハンで叩いて、床下を歩ける身長にまで小さくなる。
　もちろん、手には同サイズの掃除道具も忘れない。

「いざ探検！」

　薄暗い床下を進む姫。途中、ネズミ捕りの罠に引っ掛かりそうになったり、床下に住む猫に追いかけられたりしつつ、目的の場所へと向かう。

「神社泥棒ではないです。ただの掃除人です……」

　予想外にドタバタして、姫の顔にも疲労の色が見えかけた頃、やっとその隠れお猫様のある場所に辿り着いた。

「おお、確かにあったです」

　それは狛猫、というか猫の家族の像だった。他の場所で見たお猫様とは少し雰囲気が異なる気がした。
　何か特別なものかもしれない――そう、姫は感じた。

「もしかして、隠れ御神体です？　それはないですか……
　ともあれ、しっかり磨いていくです」

　と、その時、小さな姫を狙って血気盛んな子猫がぎらりと目を光らせて飛び込んで来た。

「ふにゃー、わたしはネズミじゃにゃーです」

　突如始まった床下でのバトルは、子猫の首に取り付いた姫の猫屋敷秘技・極楽行指圧術（シャングリラフィンガー）で、子猫を気持ち良くさせてフィニッシュとなった。
　すっかり極楽状態になった子猫をパタパタし、像の掃除もしっかり終えると姫は床下を後にして外に出ると、元の大きさに戻った。
　そして顔を合わせた他の掃除人たちと、隠れお猫様の情報を交換し、新たに地図を更新した。