鳥さんとのひととき｜リアクション

鳥さんとのひととき

　エピローグ

「お疲れさまでした～」
　１日の営業が終わって、風羽と檎郎は帰宅前の挨拶をしていた。風羽はこの店に住んでいるので、帰るのは檎郎だけなのだが。
「お疲れさまです！　あのー、店長」
「なんですか～？」
「この店のマスコットを描いてみたんです！　良かったら採用してもらえませんか！？」
「マスコット……ですか～？」
　そういえば、休憩時間に彼は何か絵を描いていた。趣味だと思っていたのだが。
「これです！」

　檎郎は、自信満々に大学ノートをばーんと開いた。
「……………………これは～～～～～～～～」
　マスコットの絵を見て、風羽は困った。少しばかり、感想に困った。オカメインコをモデルした絵はかわいい、と言えなくもない。言えなくもないけれど。なんか、不思議だ。いや不思議と形容するのが正しいのだろうか。これは……
「かわいいですよね！　ちゃんと、着ぐるみにした時のことを考えて体まで作りました！　足は太めです！」
「か……そ、そうですねかわいいですね～」
　確かに、かわいいと言えなくもない。よく見たらかわいいかもしれない。風羽はなんだか分からなくなってきた。
「どうですか！　これをマスコットに！」
「…………わ、分かりました～～～」
　押され気味に、少し弱りつつも、風羽は首肯してしまった。首肯してしまった。
「やった！！」
　檎郎はわかりやすくガッツポーズする。そして、働き始めてからずっと気になっていたことを彼女に訊いた。
「それにしても、ここのインコ達は、皆、ずいぶん素直にお客様の所へ行きますね。お客様が帰るまで、逃げないし……。普通、そんなことできないと思うんですけど」
「あ～、そうですね～」
　風羽はいつも通りの調子に戻って、檎郎に微笑む。
「実は……私、もれいびなんです～。ろっこんで鳥さん達とテレパシーで話せるんですよ～。なので、お客様を決して怖がらないように、お客様と楽しく過ごすようにって、言ってあるんです～。伝えているのはそれだけですけど、逃げるようなことはなくなっているみたいですね～」
「テレパシー……」
「皆には秘密ですよ～？」
　口元に人差し指を当てて、風羽はウインクをする。
「秘密……」
　どこか、檎郎は呆然としていた。だが、すぐに普段の調子を取り戻す。
「じゃあ、秘密にする代わりに、俺、もっとこの店のデザインしていいですか？」
「え？」
「ほら、看板とか！　リニューアルしましょうよ！」
「え？」
　風羽の目は点になる。だが、檎郎の熱いプレゼンテーションは、しばらく終わることはなかった。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：沢樹一海
ファンレターはマスターページから！

お待たせいたしました。沢樹一海です。

とりさんとのひととき、楽しんでいただけたでしょうか。
私は、とっても楽しかったです。

リアクションは基本的にアクション準拠で書いておりますが、
私の２０年の鳥暮らしの知識の中で「？」と思った部分は一部マスタリングしております。
そちら１点だけ、ご了承ください。

また、今回も個別はほとんど返せていません。すみません。

それでは、また機会があればよろしくお願いいたします。

↑ページトップに戻る