【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

52.

　彼女も彼女で、バトルしていたのだ。

　幻惑の猫少女である彼女。
　見事に猫に魅了されていた。
　
　夏朝の紛れ込んだのは、校長室。
　校長の三匹の猫が、彼女を仲間と思ったのか、立ち上がり、すり寄ってきた。

（――！）
　チェシャ猫の笑みをひそめ、夏朝は怯む。
　思わぬ伏兵だった。
　時計を見る。
　３分以上同じところにいれば「しゅわーっち」と叫び飛び出さなければならない。
　それがコメディエアーの掟。

　あまり、猫にかまける時間はない。
　
　だが、猫たちはチェシャ猫の自分の扮装を気に入っているようす。
　人と猫ではかなわぬ、濃密な交流が持てそうだった。

　残り２分！
　夏朝の衣装に、猫が鼻を摺り寄せてくる！
　その感触が気に入ったのか、ごろごろと喉をならす！
　夏朝、動けない！

（子猫さんたちを驚かせないためにも、ここで風船を割らせない！）
　うまい大義名分ができた。
　
　あと１分。
　夏朝は絶望的な気分になる。
　新入りの噂を聞いたのか、猫の一団がどやどやと入ってきたのだ。
　もはや猫だらけ。猫にまみれて、夏朝、座して死を待つのみか。

　あと１０秒！
　甘えた声で猫が鳴く！

　あと５秒！
　肩の上に、猫が這い上ってくる！

　あと３秒！
「争奪戦でなければ……」夏朝は、この場を去る決意をする。「争奪戦でなければもっと……」
　だが、遅かった。

「しゅわーっち！」