【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

51.

　騒ぎを聞きつけてか、コメディエアーの影響か、校舎の中では大量の猫が走り回っていた。

　気が付けばここは校長室。
　三匹の猫に会いに来た猫もいるのだろう。

　攻撃を警戒しつつ、美野梨は猫と目を合わせ、ろっこんを発動。

『にゃあ』

　神野美野梨のろっこん「猫との語らい」。
　精神を集中し、猫の鳴声を発することで、対象との念話が可能になる。

「私たち以外に、風船を付けた人を見た？」
　ポケットからお礼のカリカリを取り出す。
　その口元には、希望を掴んだものの、笑み。

　唇を噛む梢。さすが演劇部、一筋縄ではいかない……。
　冷静なすばるも、青ざめた顔を向ける。
「大丈夫。もう少しで、来る」呟く美野梨。

　ゆらり立ち上がる演劇部の三人……。
　不意に殺気を感じ、由貴奈が前脚を薙ぐ。
　肉球に突き刺さったのは、イルカさんビート板。

「おのれ、水泳部！」

　メールシュトロームを放った水泳部、そこで潰えたわけではなかった。
　
月の手引きにより、からくも逃れる新聞部。
「取材協力ありがとうございます！　これで良い記事が書けますとも！」
　美咲紀の礼儀正しいお礼の言葉が残った。
　真面目な少女なのだ。

　だが、生物部はタイミングを逸する。
　このチャンスに、真向から立ち向かうのみ。

　即座にちくわをくわえるすばる。伝家の宝刀、ちくわ吹き矢。
（何か、何か矢になるものは……）

　その瞬間、台本を持った由貴奈が、美野梨に跳躍。
　防御専門の彼女、まさかの攻勢。
　変幻自在、まさに攻防一体！
　そっと「ごめんねぇ」とつぶやいたのは、気のせいだったか。
　右手の台本を振りかぶり、美野梨の風船めがけて……。

　慌てるすばるの右手が、何かを掴む。
（猫の餌……カリカリ！）
　迷う暇なし。
　ちくわの穴にカリカリを詰め、渾身の力で噴き出す！

　パァン！
　由貴奈の後頭部の風船が炸裂した。
　尻尾の風船は、パーフェクトの反応をする。だが、後頭部のものは無防備。
　ゆっくり頽れるライオン。
　倒れる必要はないのだが、ノリノリだった。　

（まだ……）荒太郎はつぶやく。（まだ、終わっていない）
　窮鼠猫を噛む、反撃のチャンス。
　その設計図はあった。
　あとは、時を待つのみ。
　だが、状況はそれを許してはくれない……。
　
　ここ、この場をしのげれば……。

　状況が、煮詰まってきた。
　こういうのを、見過ごす手はない。
　壬生由貴奈、桃川圭花、さらに見物するべく、混乱の中枢へと去る。

　さて、演劇部の残った一人はなにをしていたのか。