【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

54.

　演劇部、時代劇。
　修は内心、臍を噛む。
　近接戦闘に優れた彼女たち。
　同じく近距離の射撃を得意とする自分たちとは、よく戦法が似ている。
　同系統の軍隊がぶつかれば、消耗戦。
　いずれにせよ、無傷では済まないだろう……。

「って、やばっ！」
　ねむるが両手の拳銃を構え、ガン・カタのポーズを取った。
　凜乃がにやりと笑い、銃を空に向け、空砲をならした。

　是非はなし。修は頷く。事ここに至って、臆することはない。
　仲間を信じ、戦いぬくまで！　

　電光石火切り込むのは、天之川麗仁。
「そのような行い、天は許しても、この私が許さぬぞ！」
　電撃の斬撃が、ねむるに繰り出される。
　躱しつつ、ねむるは二刀拳銃を乱射。
　日本刀対銃。ともに芸術レベルにまで高められた、極限の対決。
　コメディエアーのせいで、蚊ほども攻撃力がないのが、とても残念。

　夕莉は、一種のトランス状態に陥っていた。
　此処は舞台であり、そして幕末の京の街であった。
　夕莉の哭泣は、名も知らぬ新撰組隊士の哭泣であった。
　夕莉ではない。
　彼女の体を依代とした、虚構の人格が、彼女に口走らせた。

「なぜ、我らが賊軍とならねばならぬのですかッ！」
「えーと」咄嗟に問われ、凜乃は口ごもる。「そ、それは当時の政治状況とか、そういうものが……」
「誠の旗の元に集った、あの日々は偽りだったのですか！」
　修がたまらず声を掛ける。「明治維新の歴史学的評価は、現在も調査中だ！」

　なんだかんだ言って真面目に答えてしまう。みんないい人なのだ。
「我らの信じた正義は、どこにあるのだ……」夕莉がつぶやく。

　どこかで「しゅわーっち！」という声が聞こえた。
　

　中央情報局では、五郎八がホワイトボードを記入。
　状況は少しも収束の気配を見せない。
「もう、残り時間僅かですが……」
「そういえば今回軽音楽部は、９０年代打ち込みサウンド系バンドとしてエントリーすると聞いたが」

　カッ！
　またもスポットライトに照らし出されるのは、何に使うのか大量のキーボードを従えた、未来っぽい恰好をした三人。

「私たち、軽音楽部！」

　何の意味があるのか、レーザー光線の中で激しくキーボードを叩く凛。

「『サンプンカン』　ダンスリミックス！　カモンレッツダーンス！」

　虚ろな都会で　煌めきのパッション
　俯く人ごみ　孤独なロンリネス
　誘惑のマーメイド　秘密のパッション
　刺激のドリーミング　朝までダンシング

　街はサバイバル　サンプンカン
　朝まで刹那の　サンプンカン　
　夢だけ抱きしめて　ときめきのロンリネス
　二度と離せやしない　君に幸せ

　神出鬼没の軽音楽部。だが今回登場したのは、戦場の只中。

「おのれ、毛唐の音楽を！」夕莉が剣を向ける。「開国派どもめ！」
「成敗！」もろ肌脱いで鯉口を切り、麗仁が視線を向ける。ロック侍とは悪くない。
「うりゅー！　忍者きたないのです！」空中で早変わり、雛が忍者装束を纏う。

　射撃部も予定変更。
　本当は、戦いに入りたくないのだが、ジャッジにとられるのは苦しい。