【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

24.

　その有様を、すこし離れたところで見るのは龍目豪。
　北原みゆきと邪衣士がそれに続く。
　探検部チームも、出方を伺っていた。
　一同は探検服の上に、猫のぬいぐるみと熊のぬいぐるみを纏っていた。

【探検部／北邪龍猫】

　ゲリラ戦法が信条の探検部。
　だが、屋上からスタートし、すぐに仕掛けた簡素なトラップは、すぐに解除されていた。
　ジャッジに、トラップの専門家がいるらしい。
　罠そのものが駄目、というより、面白くないのだろう。
　それならそれで、こちらもトラップに工夫を凝らすのみ。
　状況に合って、単に陥れるだけではなく二次効果があって、それでいて笑いの取れそうなもの。

　より凝ったトラップを仕掛けるのに、激戦の続く校内は難しい。
　
　校庭外れの茂みは、何時しか熱帯林のジャングルと化していた。
　どろりとした熱気が、あたりに充満する。
　奇怪な鳥の鳴声が響き渡る。
　地の利を生かしたトラップが、絶大な効果をもたらすのはこういう状況だ。

（お金をかけて戦うなんて……。
　遺恨が残りそうな戦いをするなんて、おかしい……）

「心を一つにして、頑張ろうぜ！」いつも通り明るく、気配りを忘れない豪、冷静な士の姿を見ても、みゆきの心は晴れない。
　真面目で繊細な彼女、その分だけ、どうしても弱者の方に身を置いて考えてしまう。
　コメディエアーで、得意のゲリラ戦法が封じられた探検部。
　知恵を絞って、多彩な罠を用意したが、これも規制がきつい。

　猫のぬいぐるみ、クマのぬいぐるみを纏うことで、コメディエアーの支援効果を得られてはいるものの、苦戦を強いられる探検部。
　自分たちはまだいい。だが、ほかに苦戦を強いられる部活があると思うと・・・・・・。

（けど、先輩のためなら……）

　湧き上がる疑念を、じっと押さえつけるみゆき。

　いずれ、タイミングが来る。その時こそ、自分たちの出番。

　予め用意しておいた罠を、丹念に括りつけていく豪。
　屋上に用意しておいたいくつかの罠は、すでに外されてしまった。
（ならば、より探検部らしく……地の利を生かすまでだな！）
　ポジティブな彼、それならばと校庭で、さまざまな罠の作成にいそしむ。
　コメディエアーにより変容した雑木林、めったに作れないトラップのオンパレードだ。
　たまに踏み込む生徒が、悲鳴を残して消え去っていく。
　そうして、自分の範囲を拡大しつつ、探検部のフォーメーションを崩さない。
　迷子癖のある士を誘導しつつ、みゆきのフォローにいつでも入れるようにする。
　だが、あまり近づきすぎないようにもする。
　理由は一つ。みゆきのろっこん。

　彼らの切り札。
　きわめて強力……だが、強力すぎる。
　使用したら最後、みゆきの心に裂傷を残しかねない。

　それでは、意味がないのだ。
　安全な生還、それこそが探検部の目的。

「探検は安全第一、正確な情報が大事だ」

　士もトレードマークである、熊の着ぐるみの下からうなずく。
　今回探検部は何かを着込むという話なので、彼も熊のぬいぐるみを装着していた。
　豪曰く「探検の途中で出会った熊」という設定らしい。

　ロープ、スコップ、釣り竿、懐中電灯など、とりあえずアウトドア用品を取りそろえた。

（釣り竿は離れた風船を狙うのに使えそうだ。
　ロープはいろいろと役に立つ。
　スコップは割るのにも守るのにも、使えるな）　

　サポートに力を尽くすべく、周囲の状況に集中する。

　探検部３人、今は状況を見定める時期である。