【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

22．

　ワアアアアーッ！！
　大歓声が、校庭を震わせていた。
　どこから湧いて出たのかという大軍勢が、宇佐見望月目指して特攻する。
　少しも引くことなく、彼は不敵な笑みを浮かべる。
　ハンズフリーのマイクに、仲間たちの伝言を伝える。

「敵部隊、四方から！　拓郎ちゃん、春彦ちゃん、思いっきりイっちゃうぜ！」

　実況席から、飛び出す陸上部の姿を目にした正也、ぐっとマイクをつかみ、身を乗り出して実況する。

「まずは登場！筋肉もりもりできれば身長も！　今宵ハンマーが炸裂か、宇佐見望月！」

　アドリブながら、的確な二つ名。
　普段からの観察が光る。
　声援を背に受け、無数の敵に対して、望月は不敵な笑みを浮かべた！

【陸上部／チームmen's】

　望月に体当たりし、飛びついて組みあがる人の山。
　それが閃光を放ち、一瞬で吹き飛ぶ！
　中央で大回転する望月が持つのは、投擲用ハンマーをブン回しての『ハンマーディフェンス』。
　人間の大噴火が巻き起こり、グラウンド中心でエネルギーの塊が弾ける。
　怯む敵に、どこから取り出したのか白線引きを地上にセット、望月は爆走を開始する。
「まずはグラウンドの奴からねー、りょーかい」
　仲間の指示を確認し、ぐっと白線引きを構える。
　次の瞬間、猛烈な石灰の煙が巻き起こり、望月が爆走を開始！
　足元を取られた相手が倒れこみ、白線を背中に残して動かなくなる。
　各個撃破。

「一人ひいては部費のためぇ～♪｝

　陽気な鼻歌に、恐怖の叫び声がまじりあう。

「二人ひいては部費のためぇ～♪」

　望月の進んだ後には、流麗な曲線のうねりと、動かぬ人の山が生まれていた。
　その山を乗り越え、とびかかろうとする連中に、望月は振り向きざまハンマーアタックを仕掛ける。

「部費のためなら、エンヤコ～ラドッコイ～♪」

　どこからハンマーを取り出したのか。そして白線引きはどこへ。
「それは聞いてはいけないお約束」
　ちろりと舌を見せる望月。

「続きまして～！　オフロードで鍛えられた、未知数な新人！　楢木春彦！」

　望月の有様を見ながら、春彦は校庭を所せましと走り回る。
　秋の陽射しが、彼の整った顔立ちを照らし出す。
　陸上部ユニフォームに、１０分丈スパッツがよく映える。

　望月から入電。　
　彼を容易ならぬ相手とみた連中が、春彦に向かっているらしい。
　――りょーかいっ、と答え、ヒップバックからバトンを取り出す。

　襲い掛かる敵に、春彦はバトンを向ける。
　走りざま、回転をくわえ投擲。
　風船を狙ったバトンを躱そうとした連中は、足元を取られる。
　大量に転がされたバトンが、転倒を狙ってくるのだ。

　ヒップバックからバトンを抜いては投げ、抜いては投げ……。
　いつ果てるともない攻撃に、春彦はいっこうに飽きた様子はない。
　恐るべきスタミナだ。
　ほうほうの体でかわした敵も、背後からのものにはかなわない。
　ブーメランの回転をかけられたバトンに、あえなく風船を割られる。

「バトンは投げてよし、転がしてよし！」春彦は笑う。「凄ぇ、万能じゃん！」
　そのように、自在に使いこなす春彦の器用さが尋常ではないのだが、ともかく彼の手によって、バトンは凶悪な変幻自在の武器となる。
　防御用の三角コーンを台にして高く跳躍、同時に無数のバトンで一気に制圧。
　爆発的な歓声が上がった。
　春彦は右手を上げて、アピール。
　その目は、審判席の呉井陽太に。

「部費は俺たちが、ガッツリ貰うからなーっ！」

　指さして、大声で吼える。