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【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦 ｂｙコメディエアー
23．
ぱっとカメラが陽太を抜く。
（あ、春彦君が指さして吠えてるなぁ）
真面目なところはきちんと締める、快闊なお祭り男。
こういう場所でも、しっかり盛り上げてくれる。
面白楽しく盛り上げたい、と考えていた陽太、差し出されたマイクをつかんでメッセージ。
「おー、春彦君、ふぁいとふぁいとー☆」
陽太の声に合わせ、クレイ人形のネコのニャッタ君、クマのカスミさん、兎のウー君が、
「ふぁいと、ふぁいとっ！」
と踊る。
コメディエアーの影響か、ろっこんによる人形の操作も、
「よくできた玩具だな」
くらいにしか、周りに思われていない。
動画で見ても、不審に感じるものはいないようだ。
裏手ではいろいろあるけれど、とにかく、部費争奪は盛り上がってほしい！
「うちの軽音部も、負けないぞーっ！」
陽太のマイクアピールに、陸上部観客席からもやんやの喝采。
実況席で、細かく解説していた彩葉の目が、すっと窄まる。
「おっ、いたいたー」
「そして――１年の統率力！ まさに縁の下の力持ち！
ノンストップジャンパー、志波 拓郎」
陸上部男子は、高い攻撃性を生かした、待ちの戦法。
敵を引き付け、寄ってきたところを一網打尽にする。
機を見る力、度胸、胆力すべてが要求される。
コメディエアーの酔いのままに殺到する相手に、拓郎は無防備に立つ。
突撃してくる生徒の群れに、彼は少しも臆することはない。
自分の間合いを測り、タイミングを逃さず、さっと拳銃をクイックドロウ。
一瞬怯む相手。
彼はそれを高く天に向けた。
パァンッ！
乾いた音が、湖面を打ったように響き渡り、戦意を奪い取る。
そこをのがさず、拓郎は跳躍。
リレーバトンを振るい、相手を吹っ飛ばす。そのまま疾走。
多彩な武器を誇る陸上部。だが彼の持ち味は、やはり脚だった。
逃げつつ攻撃。飛び道具としても、近距離武器としてもバトンは可能。
あえて自ら敵の目に晒し、おとりとなる。
絵的にもものすごく派手だ。
単調になりがち、コメディエアー的に苦しくなって来たら……。
「……楢木さん！ 宇佐見先輩！」
携帯に呼びかけると、快闊な声が返ってくる。
と思ったとき、春彦のリレーバトンが一個連隊をなぎ倒し、望月のラインが敵を轢きつつ地平の彼方まで続いている。
連絡の前から、すでに動き始めている。
完全に戦場を掌握している陸上部。
「ヲヲッ！ 腐女子の熱い視線を独り占めなのだ！」
校舎の中から、後木 真央がカメラを構える。
「スクープです！ スクープなのですっ」
窓から身を乗り出した椿 美咲紀が、シャッターを切りまくる。
男子がお互いを助け合い、かばい合う姿は、二人の腐女子の心を直撃するものだった。
無心で『特ダネフォルダ』に画像を送り込む二人を、月は黙って、護衛している。
爆発的な歓声が、観客席から巻き起こった。
先陣切って、拍子をとるのは冴木 竜司。
グラウンド上に負けぬ熱気で、コメディエアーの風を巻き起こす！
「フレー！ フレー！ 陸上部！」
「フレー！ フレー！ 陸上部！」
熱いエールが木霊する。
いつかその声援を背負い、グラウンドに立つのを夢みる者たちが、今は仲間にその思いを託す。
彩葉も、思わず実況を止めて、拓郎の活躍に見とれる。
（これが……コメディエアーというモノなのかっ……！）
鴻上 彰尋は、そんな様子を見て、胸の震えが止まらない。
中立を旨とする放送部。
だが、スポーツの実況などでは、その高揚をみなに届かせるのも大事な役目。
やがては舞台俳優を目指す彰尋は、そのことを大事にしていた。
（なぜだろう。今日はノリノリな気分での争奪戦への実況が止まらない……）
「鴻上さん、もっと、もっと現場の状況を伝えてください！」
「はい……おおっとー！ さらに陸上部女子が攻勢の構え！ それに対し、かまくら研究会、ジャングルクルーズ同好会がどのように反応するか……これは、応戦の構えか？」
熱くなりすぎてもいけない。いったん、本部に返す。
そこから、校庭の別再度の武道に回線がつながり、さらにデータが積みあがっていく。
実況を続けながらも、志波 武道は校庭から目を離さない。
その様子をちらりと見遣る陽太。やはり自分の身内は気になるところだろう。
先ほどの、春彦の熱い呼びかけもあった。
参加者の熱気がびりびり伝わってくる。
だからこそ、運営が失敗するわけにはいかない。
そして、武道の目線は、陸上部から少し離れる。
彼の所属するクラブのひとつ、水泳部がそこで戦っている。
だが――武道の目に、疑念が揺らぐ。
普段の彼らに似ず、あまり目立った動きはない。今のところは。
ジャッジにとられことしないが、コメディエアーの加護も十分ではなく、地味にプールを守るのみ。
――何が、ある？
ぱっとカメラが陽太を抜く。
（あ、春彦君が指さして吠えてるなぁ）
真面目なところはきちんと締める、快闊なお祭り男。
こういう場所でも、しっかり盛り上げてくれる。
面白楽しく盛り上げたい、と考えていた陽太、差し出されたマイクをつかんでメッセージ。
「おー、春彦君、ふぁいとふぁいとー☆」
陽太の声に合わせ、クレイ人形のネコのニャッタ君、クマのカスミさん、兎のウー君が、
「ふぁいと、ふぁいとっ！」
と踊る。
コメディエアーの影響か、ろっこんによる人形の操作も、
「よくできた玩具だな」
くらいにしか、周りに思われていない。
動画で見ても、不審に感じるものはいないようだ。
裏手ではいろいろあるけれど、とにかく、部費争奪は盛り上がってほしい！
「うちの軽音部も、負けないぞーっ！」
陽太のマイクアピールに、陸上部観客席からもやんやの喝采。
実況席で、細かく解説していた彩葉の目が、すっと窄まる。
「おっ、いたいたー」
「そして――１年の統率力！ まさに縁の下の力持ち！
ノンストップジャンパー、志波 拓郎」
陸上部男子は、高い攻撃性を生かした、待ちの戦法。
敵を引き付け、寄ってきたところを一網打尽にする。
機を見る力、度胸、胆力すべてが要求される。
コメディエアーの酔いのままに殺到する相手に、拓郎は無防備に立つ。
突撃してくる生徒の群れに、彼は少しも臆することはない。
自分の間合いを測り、タイミングを逃さず、さっと拳銃をクイックドロウ。
一瞬怯む相手。
彼はそれを高く天に向けた。
パァンッ！
乾いた音が、湖面を打ったように響き渡り、戦意を奪い取る。
そこをのがさず、拓郎は跳躍。
リレーバトンを振るい、相手を吹っ飛ばす。そのまま疾走。
多彩な武器を誇る陸上部。だが彼の持ち味は、やはり脚だった。
逃げつつ攻撃。飛び道具としても、近距離武器としてもバトンは可能。
あえて自ら敵の目に晒し、おとりとなる。
絵的にもものすごく派手だ。
単調になりがち、コメディエアー的に苦しくなって来たら……。
「……楢木さん！ 宇佐見先輩！」
携帯に呼びかけると、快闊な声が返ってくる。
と思ったとき、春彦のリレーバトンが一個連隊をなぎ倒し、望月のラインが敵を轢きつつ地平の彼方まで続いている。
連絡の前から、すでに動き始めている。
完全に戦場を掌握している陸上部。
「ヲヲッ！ 腐女子の熱い視線を独り占めなのだ！」
校舎の中から、後木 真央がカメラを構える。
「スクープです！ スクープなのですっ」
窓から身を乗り出した椿 美咲紀が、シャッターを切りまくる。
男子がお互いを助け合い、かばい合う姿は、二人の腐女子の心を直撃するものだった。
無心で『特ダネフォルダ』に画像を送り込む二人を、月は黙って、護衛している。
爆発的な歓声が、観客席から巻き起こった。
先陣切って、拍子をとるのは冴木 竜司。
グラウンド上に負けぬ熱気で、コメディエアーの風を巻き起こす！
「フレー！ フレー！ 陸上部！」
「フレー！ フレー！ 陸上部！」
熱いエールが木霊する。
いつかその声援を背負い、グラウンドに立つのを夢みる者たちが、今は仲間にその思いを託す。
彩葉も、思わず実況を止めて、拓郎の活躍に見とれる。
（これが……コメディエアーというモノなのかっ……！）
鴻上 彰尋は、そんな様子を見て、胸の震えが止まらない。
中立を旨とする放送部。
だが、スポーツの実況などでは、その高揚をみなに届かせるのも大事な役目。
やがては舞台俳優を目指す彰尋は、そのことを大事にしていた。
（なぜだろう。今日はノリノリな気分での争奪戦への実況が止まらない……）
「鴻上さん、もっと、もっと現場の状況を伝えてください！」
「はい……おおっとー！ さらに陸上部女子が攻勢の構え！ それに対し、かまくら研究会、ジャングルクルーズ同好会がどのように反応するか……これは、応戦の構えか？」
熱くなりすぎてもいけない。いったん、本部に返す。
そこから、校庭の別再度の武道に回線がつながり、さらにデータが積みあがっていく。
実況を続けながらも、志波 武道は校庭から目を離さない。
その様子をちらりと見遣る陽太。やはり自分の身内は気になるところだろう。
先ほどの、春彦の熱い呼びかけもあった。
参加者の熱気がびりびり伝わってくる。
だからこそ、運営が失敗するわけにはいかない。
そして、武道の目線は、陸上部から少し離れる。
彼の所属するクラブのひとつ、水泳部がそこで戦っている。
だが――武道の目に、疑念が揺らぐ。
普段の彼らに似ず、あまり目立った動きはない。今のところは。
ジャッジにとられことしないが、コメディエアーの加護も十分ではなく、地味にプールを守るのみ。
――何が、ある？
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年10月09日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年10月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年10月16日 11時00分
