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Kiss or Treat ~お菓子くれるかキスしてくれる?
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●過去に囚われた吸血鬼と氷の瞳のメイド長の恋
パーティの間中、
氷華・クルバトフ
はたった一人を目で追っていた。
檜山 立樹
。彼は漆黒の吸血鬼だった。まるで永遠の喪に服しているような黒の上着に、先の尖った黒のブーツ。漆黒の髪を飾るのは戒めの如きいばらの冠。
彼の心になにか枷があるのだろうことは、氷華でなくとも気づくだろう。
それでいて彼は、誰にだってやわらかく笑いかける。
氷華だけじゃない。他の乙女たちにも平等にやさしい。
あの娘にも、あちらの娘にも。だから、それがときどき辛い。
(自分だけが特別なわけじゃない)
――そう言い聞かせた途端、視線が合う。
「やあ、珈琲のカクテルもあるんだね。ひとついただけるかな?」
彼が微笑む。こうなると氷のメイド長も形無しだ。
柄にもなく心がふわふわ舞い上がって、彼の金の刺繍も優雅な袖を掴んでしまう。
「あの、もう少し傍にいてもよろしいでしょうか……?」
こんな風に甘えたことを言わせてしまうのが彼の罪作りなところだと思う。
すると立樹は珍しく、その笑みに寂しさのカケラを交えて氷華を見た。
「……君は……」
「何でしょう?」
「……いや、似てるな、と思って」
視線を伏せた立樹に、氷華は戸惑う。似ている? 誰にだろうか。
とても気になって堪らないのに、問いかけてはいけない気がして黙り込む。
そのことに立樹も気づいたのか、ふふ、と甘く微笑むとそっと氷華の手を取った。
「すこし付き合って貰ってもいいかな……聞いて欲しい話があるんだ」
◇
夜の庭園には涼やかな風が吹いていた。
広間から洩れるさざめくような笑い声は徐々に遠のき、かわりに虫の音が二人を包み込む。
手を繋いだままふたりは無言で歩いた。
……彼が何か言う前に、問いかけてしまったら崩れてしまう、そんな気がした。
辿り着いたのは、庭園の隅にひっそりと佇むハーブ園。立樹が時折この場所に来て、ハーブの手入れをしているのを氷華は知っていた。彼がブレンドしたというハーブティをご馳走になったこともある。すこしすっぱくてせつない味のハーブティは、真面目ゆえに頑張り過ぎていた氷華をどんなに救ってくれたことだろう。
「ハーブのブレンドの仕方を教えてくれたのは僕の恋人だったんだ」
恋人。夜露の如く、ぽつり、零れた言の葉に、氷華の胸は打ち抜かれたように跳ねる。
「人間、だったんですか?」
尋ねると立樹は頷いた。
「そのころ吸血鬼と人間は激しい争いを繰り広げていてね……彼女はその争いに巻き込まれて命を落とした。あの時に彼女を同族にしていれば助かったのか、それとも……」
ああ。
氷華にはわかった。彼はその迷いのせいで彼女は亡くなったとずっと後悔しているのだ。
それが、いつも漆黒の衣装に身を包んでいる訳なのだろうか。
彼のいばらの冠はずっとそのことを責め続けているのだろうか。
無意識に彼に手を伸ばす。
母親のように抱きしめてしまう。
彼を全部受け止めるつもりだった。辛いことも切ないことも全部。
彼がこんなことを言わなければ。
「……君はまるで彼女みたいだ」
その途端、すうっと熱が引いていくような気がした。彼はまだそれに気づいていない。
「……きみは、彼女にどこか似ている」
昔の恋人に似ている……そんな言葉が嬉しい女がどこにいるだろう。
氷華は思わず立樹を突き飛ばした。
立樹はハーブの茂みの中に尻餅をつき、その拍子に独特の甘い香りがふわりとあたりに立ちこめる。
「私は……っ」
言葉を紡ごうとして氷華の目から涙が零れる。それを拭うことも忘れ、氷華は立樹に覆いかぶさる。
「っ……あなたはばかです! 笑顔ばっかりやさしくてほんとは何にもわかってない! 恋人のこと、辛かっただろうと思います。忘れられないのも仕方がないでしょう。それでも、亡くした恋人と似ている人ではなく、一人の女性として私を見てください……!」
「氷華さん……」
「私はあなたを支えたい。そうしたいのは、『私』なんです……
Kiss or Treat
?」
これが恋だなんて。
ずっと気づかなかった、気づかないふりをしていた想い。
それが一気にあふれ出て、自分でもどうしようもないくらい彼を傷つける。
そうしてしまうのが自分でも辛い。だから涙が次から次からあふれ出て、彼の頬をぽたぽたと濡らす。
その途端、彼に抱きしめられた。
「君を君として見ないですまなかった……そしてありがとう」
「どうして、ありがとうなんて……」
「ばかだった。ほんとうにそうだ。君にそう言って貰えたお蔭で、俺はやっと前を向ける気がする。だからこそ、俺は繰り返してはいけないんだ」
彼の指先が、氷華の瞳から零れる涙を拭う。
「あの時の俺には勇気が足りなかったんだ。拒絶されたらどうしようと、それが怖くて言えなかった。
でも今なら、……君になら、言える」
その氷色した瞳をまっすぐに見つめて。
「俺と一緒に生きてほしい……貴女が好きで好きでたまらない。愛している」
この人の笑顔を、心からの笑顔を、もっとはっきり見つめたいのに。
涙で霞んでよく見えない。
温かい、夜の涙が、あふれ出て止まらない。
だから氷華は瞳を閉じる。
彼に抱かれてハーブの中に身を埋める。
彼の指がゆっくりと氷華の頬を撫でる。耳元にかかる吐息を感じて、体温が一気に上がってゆく。
「もう俺は迷わない、それでまた大事な人を失いたくない」
触れるか触れないかのやさしいキス。
「あなたはひどい人です……誰にでもやさしいくせに……私にこんなキスをする……」
「君は俺を誤解してるよ。誰にでも優しいわけじゃない。ハーブティをご馳走したのも、恋人の話をしたのも、本当の自分をこんなに見せたのも、君だけだ。……君だからだよ」
氷華を溶かす甘いキス。
もう、人間に戻れなくても構わない。
<HAPPY END>
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
コメディ
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年09月16日
参加申し込みの期限
2015年09月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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