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猫鳴館、自治会長選任戦
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●土曜日の逆巻さん
神野 美野梨
は天野に投票しようと、彼の姿を探して寮内を歩き回っていた。
あんまり歩き回ったのでだいぶ草臥れて、でも、だからこそ裏庭菜園に集まる数人の人影の中に天野の姿を見つけたときは嬉しくて、思わず駆け寄ってしまった。
「あぶない!」
そう叫んだのは、天野だったろうか。それともその場にいた全員だったろうか。
「えっ?」
次の瞬間、美野梨は自分の足元に襲いくる恐ろしいものを目にする。
「きゃあっ!
触手
!?」
「足、足! キャベツ踏みそう!」
そう教えてくれたのは
桜井 ラッセル
だ。
美野梨は慌てて足を退ける。そのまま10メートルほど後退。そこでぺたんと尻餅。
氷雨 潤一
がおだやかに美野梨に声を掛ける。
「そのキャベツはもれいびなんです。命の危険を感じると、本能で触手を伸ばして、襲ってきます」
こくこく、と美野梨は頷く。うっかり驚いてしまったが、このキャベツのことは美野梨も知っていた。充分離れた隣には美野梨が植えた蔓ありのいんげんの苗がすくすくと育っている。
ラッセルが美野梨に手を差し伸べている隙に、天野がキャベツを宥める。
「大丈夫……怖くない。誰も君たちを傷つけないよ」
美野梨は、いったい選任戦の最中に何をしているんだろうと、その場にいる全員を見回した。
◇
「そうか。僕に投票を……。ありがとう。でもごめんね。明日の12時までは内密にしておいて欲しいんだけれど、僕は辞退するつもりなんだ。だから、受け取れない」
「え? 辞退……?」
美野梨は耳を疑った。
「立候補したのも、立候補者権限でキャベツを保護したかったからなんだ。会長になりたいわけじゃない。勝手でごめん」
「そうなの。……ところでみんなで何をしているの?」
「私たち、キャベツの引越しを手伝いに来た仲間ですの」
ふわり花の香りを漂わせ、おっとりと小首を傾げたのは、
アネモネ・アドニス
。
「――♪」
神出鬼 没
が飛び跳ねる。
「もともと、このキャベツを今日、皆で引っ越しさせる予定だったんだよー」
真辺 伸幸
が没の言葉を代弁する。
ラッセル、潤一、アネモネ、没、伸幸。ここに天野を含めた6人が触手キャベツ引っ越し班の面々だった。
「それにしても、立候補は辞退する予定だったのですね」
投票しましたのに……と残念そうにするアネモネに、潤一もまた、
「自分も逆巻さんに投票したかったですよ」と胸の内を明かす。
美野梨も同じ思いだったが、本人が辞退するというなら仕方ない。
「少し残念だけど、そのほうがいいのかも……」
会長の仕事は大変だと思うし、引き受けてくれる人なら誰でも問題ないと思う。逆巻くんは誤解されやすそうに見えたから、応援したいと思っていたけれど……。
美野梨は差し出しかけた寮費をそっとしまう。
彼女が猫鳴館にやってきたのは父の会社が倒産したからだった。当然、日々のお金に余裕はない。手にしている6ヶ月分の自治会費は、部費を待ってもらったり食費を削る計算をしたりしてなんとか工面した貴重なお金だ。彼の辞退で、お財布的には安寧を得たと言ってもいい。
ただ、天野を応援したい気持ちはまだ変わらないから、美野梨はこう申し出てみる。
「キャベツのお引越し、手伝いがいるなら言ってね」
「――逆巻、いるか?」
裏庭菜園に新たに現れた人物、それは、
御剣 刀
だった。学生支援部がパーティの準備をするというのでやってきたが、集合時間までまだ間があるので顔を出したのだ。
「あの触手キャベツの移動を行うらしいと聞いた……逆巻が迷惑じゃなければ手伝おう」
天野は有難くふたりの申し出を受けることにした。
◇
こうして、触手キャベツ引っ越し班+αは、作業に取り掛かった。
このところ、猫鳴館の裏庭菜園の片隅に生息し、
『危険!』の看板に守られていた触手キャベツ
――そもそもは、九夜山のふもとの農家さんのキャベツ畑に生え、どういうわけかもれいび化したものだった。天野はその一部を頂いて来たのである。その後今日まで、あふれるキャベツ愛で可愛がって来たのだが――これまで、野生動物・寮生問わず、少なからず被害があったといっておこう。
「すっげーびっくりしたんだけど。あの触手キャベツを飼ってたなんてさ」
作戦対象の触手キャベツを見ながら、ラッセルが改めて驚きを口にした。
いま、引っ越し班の面々はキャベツを刺激しないよう遠巻きに見守っている。
潤一がひとり、触手キャベツの前にしゃがみこんで意識を集中している。
彼らの取った作戦の第一段階は、潤一のろっこん<シンパシー>で、キャベツの心を聴くことだった。
にょろにょろ、とキャベツの触手が不安げに動く。
「大丈夫。落ち着いてください」
潤一のおだやかな声が届いたのだろうか。触手がやさしいカーブを描いた。
「――誰にも脅かされずに暮らしたい……そんな気配を感じます。何処へ行きたいか聞いてみますね」
その問いへの答えはこうだった。――農家の畑にいたころはもっとタチの悪い感じだった気もするが、裏庭菜園で天野に愛されているうちに、若干おだやかな気質に変化したのかもしれない。
「自由に生きてゆくことの出来る場所……そんなイメージでしょうか」
潤一が皆にそう伝える。天野が甘い声でいう。
「行こう。君たちが自由に暮らせる場所へ」
「
【灯導】の隠れ家
――あそこならどうでしょう」
【灯導】の隠れ家とは、最近九夜山山中に確保した、潤一が管理するもれいびのための隠れ家だという。
「いい考えだ。そうしよう」
「次はこのおキャベツ様に、どうやって移動の間、触手を出さずにいてもらうか、だな」
ラッセルがアネモネを見る。
「アネモネ先輩は、なにかわかんねーかな?」
そのときアネモネは、菜園を楽しげに見回していた。裏庭の菜園は、桜花寮にはないので新鮮だったのだ。
「せんぱーい?」
「あら、すみません。私の出番ですのね。お花でも野菜でも、植物には詳しいのでお任せくださいませ」
そういうとアネモネはそっと触手キャベツに近づく。キャベツの触手がまたすこし首をもたげる。
「触手ってとても不思議ですね……私、ろっこんやもれいびの類はまだ詳しくないのです」
恐る恐る触ろうと手を伸ばしたそのとき。
「あら? 触手が……」
しなっと力を失った。
「不思議……どうしたのかしら」
「あっ、見て。触っても大丈夫みたい」
美野梨がそっとキャベツに触れる。触手は動かなかった。
伸幸も美野梨に倣ってキャベツに触れ、それから根を傷つけぬよう畑から掘り起こした。
「ぬん、すごいねえ。キャベツの根っこってこんなに太くて絡み合うものだっけー?」
「ほんとうに……不思議ですわね」
アネモネが首を傾げるたび、花の香りがふわりと漂う。――本人も気づいていなかったが、彼女のろっこん<沈黙の香水>が発動していたのだ。
彼女のろっこんは己の香水を、神魂を悪用した対象に触れ移すことで発動する。この場合、キャベツに神魂悪用の意志はなかっただろうが、結果から見ると暴れてしまうので悪用に近いといえよう。そして、その香りが残る間、お互いの神魂に関する能力を封印する――つまり触手が無力化したというわけだった。キャベツに神魂悪用の意志があったら触手が消滅していたのかもしれないが……それは天野の望むところではなかったであろうから、これでよしというところだろう。
アネモネが手を伸ばしたキャベツから伝播するように、キャベツの触手がぺたんと力を失ってゆく。
触手キャベツの根は、神魂の影響か、はたまた天野の愛情ゆえか、尋常ではなく育っていた。
アネモネのろっこんの力がその根を伝って他のキャベツたちにも伝わったのかもしれないし、ひとつめのキャベツが感じた安心感のようなものが他のキャベツに伝染したのかもしれない。とにかく、キャベツ引っ越し班の面々の作業に差し支えない程度に触手の勢いが弱まったことは僥倖であった。
◇
ある晴れた昼下がり。
去りゆくキャベツを想って。
静かに。もの哀しげに。
ラッセルが、伸幸が、美野梨が、刀が、おとなしくなった触手キャベツを箱に詰めながら歌っている。
そう。作業には昔から歌がつきものだ。
箱詰めを手伝う天野の目には、もしかしたら涙。
ラッセルが、そっと天野の肩に手を置いて慰める。
「そーっと、そーっとねぇ。怖がらせないように移動させるよ!」
伸幸は淑女に触れるようにやさしくキャベツを移動させる。
最後は没の役目だった。
「キャベツの転送はオイラに任せるの!」
天野に呼ばれて、ここに先輩達を運んだのもオイラだもん。キャベツなんてへっちゃらなのさ。
没は胸を張る。
過去に訪れた場所をイメージして、対象に触れることで、自分と対象を転送出来る――それが没のろっこん<神出鬼没>の能力なのだ。
「オイラ達と同じもれいびだもん。助けたいのさ」
天野が、キャベツたちに別れを告げる。
「ちょっと寂しいけれど……君もみんなも傷つきあわなくなれますように……」
いずれ、もれいび同士が闘わずに済むように……と祈る。
哀愁漂うメロディーが響く。
いまや、没を除く全員が、イディッシュ語が原曲の、小学校でも習うあの民謡を歌っていた。
没がキャベツを詰めた箱に触れる。
「じゃあ、行くのさ! 【灯導】の隠れ家へ!」
――没と、キャベツたちの姿が、消えた。
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担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月17日
参加申し込みの期限
2013年05月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月24日 11時00分
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