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さまよいアルク 第二章~太陽と月を孕む鏡面湖へ至る荒野
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【ごちそう】
「屍人ですか。やあ、なかなかにホラーでしたねぇ」
薄野 五月
の冗談めかした言葉も、仲間たちへと連鎖するように広がった、安堵のため息を受けてのものではあったのでしょう。いくつかの岩が層のように積み重なった、丘ほどの高さがある平らな高所で、彼らは荒い息をつきました。
屍人たちは小さな身なりに違わず身軽なものの、ろっこんを用いて登ったこの岩ほどの高さにまでは、さすがに手が届かないようです。
「みなさん、ケガ無いですか? ケガあったら、僕、任せてください!」
「……傷の治療なら、私もできる。診せてくれ」
まるで子犬のように純粋な笑み、優しげな
フィリップ・ヨソナラ
に、しかめ面の
毒島 林檎
の冷淡な口ぶりは不思議な対比ではありましたけれど、どちらも仲間たちへの気遣いに変わりはありません。林檎のいささか見えづらい心中は、
『みんな、すぐに言ってね! バッチリ治しちゃうからっ』
こんな調子で、小声が口から漏れていたもので。
幾つか小さな傷を負った仲間を治療し始めたふたりをよそに、
「どうにか、難局は脱したな……ニヴィエ、大事は無いか」
「ええ、みんなのおかげでね。ピンピンしてるわよ、この子もね」
夫のさりげない言葉に、妻はにっこりと朗らかな笑みを浮かべ、ぽんっと軽くお腹を叩いて見せました。険しい荒野の移動、護衛にも手が行き届いていたためか、彼女への負担はごく小さなもので済んだようです。
ファシナラは岩の縁から眼下を注意深く覗き、黒い影がひとまずどこかへと移動していくのを見ると、剣を鞘へと収め、少しばかり風の弱まってきた空を見上げて、
「じき、太陽はふたつとも隠れる。夜は奴らを祝福する……月たちまでもが、そうではないと思いたいが。ともかく今日は、ここで野営だ。火を起こしたい、手伝ってくれ」
「それじゃ、私も手伝いましょうかー」
「僕も、手伝うます!」
五月やフィリップの手を借りて、ファシナラがたき火の準備を始めた横で。林檎がするりと、どこからか取り出したのは、保温機能付きの水筒とカップ。ニヴィエには見慣れない器具であるらしく、
「なァにそれ?」
「……これでも飲むといい『あったかい、コンソメスープだよ!』」
密かに持参していたというそれをカップへ注ぎ、首を傾げた彼女へ手渡すと、林檎は続けて、妊婦である彼女を気遣うように、歩き疲れた足をマッサージし始めました。
「あら、待遇の良いこと! へえ、随分手慣れてるのね。いつも、誰かにしてあげてるの?」
まだ湯気の立つコンソメスープをひと口、心地良さに身を任せたニヴィエに問われて、林檎は手を止めないまま、
「ああ……俺のお袋も、妊娠中だからな(『私、お姉ちゃんになるんだー! だから、ニヴィエさんにもこうしてあげたいの!』)」
そんな彼女の、仏頂面とは反する天真爛漫な内面が、きっと伝わったのでしょう。ニヴィエは慈しむような、けれど持ち前の朗らかさを損なわない笑顔で、
「なるほど、お姉ちゃんらしく振舞わなきゃー、ってわけね。ありがと、すンごく気持ち良いわよ♪」
林檎は照れたように、ぷいと顔を背けながらも。その手つきには、母へとそうするような、慈愛がこもって見えました。
鍋の中に煮干しを投入して出汁を取りつつ、
綾辻 綾花
はひとつ、ふるると肩を震わせます。
「さ、寒くなってきましたね……」
双子の太陽が揃って暮れてくると、あれほど苛まれていた熱気が嘘のように引いて、代わりに襲い掛かってくるのは、この骨の芯まで凍えそうな寒さ。ファシナラらが起こした火は暖かくも、冷たい空気はまるで肌を凍り付かせてしまいそうなほどで、仲間たちはそれぞれに引っ張り出した上着などを羽織り出しています。
食事の支度を買って出た綾花は、夫妻の携行していた保存食……主に干からびた草のような野菜や固い干し肉などを、手早く切ったり、じゅうと炒めたり。いつも自炊をしている彼女には、扱う食材こそ違えど、手慣れた作業ではありました。
「あら……アルクも、寒い?」
ふと足元に感じた、ぬくぬく、ふわふわとした感触。見れば火のそばで丸くなっていたはずのアルクが、膝をついた綾花の腿へとすりすり。何かをねだるように、にゃあ、とひと鳴き……綾花はくすりと微笑んで、煮干しをいくつか口の中へ入れてあげました。こんな時のために、煮干しはいつも多めに持ち歩いているのです。
「はぁ……全部買い直しか」
ため息は、
鴻上 彰尋
のものです。彼はこの旅に同行する直前には買い物帰りで、夕飯の食材など買い込んでいたものの、そのほとんどは既に傷み始めていて、家計をやりくりする身としては少々、頭が痛いものがありました。
「使えそうな食材は、ありませんか?」
「いや……」
綾花が尋ねると、彰尋は買い物袋の中をごそごそと探った後、
「パンと……それに、にんじんは大丈夫そうだ」
「あ、ちゃんとしたお野菜があるのは助かります。スープに入れましょう」
「分かった。今切るよ」
とんとん、ぐつぐつと調理の音が響けば、過酷な道行きの反動か、ぐうう……というお腹の音が、誰のものやら、はっきりと聞こえました。出来上がるのは簡素なにんじんスープとパンではありましたけれど、こんな場所、こんな環境で口にするものなら、きっと何だって豪華なディナーのように思えたでしょう。
「とはいえ、魚でもあれば良かったんだけどねぇ」
傍らでもうひとりの調理担当、
壬生 由貴奈
が残念そうにつぶやきました。
「
空魚
の身でも買っておけば、ファシーとニヴィに食べさせてあげられたのにねぇ。でもまぁ、この環境じゃ、すぐダメになっちゃってただろうけど」
「いえ、十分ですよ。こんな荒野の真ん中で、甘いお菓子が食べられるなんて」
綾花が彼女の手元を覗き込むと、由貴奈は食後のコーヒーのお供にと、得意のクッキー作り……あの空と海の世界で、いつの間にやら材料を入手していたのだとか。後ほどみんなに振舞ってくれるとあって、食事にもひとつ彩りが加わってくれそうです。
たたたん、と軽快にナイフを……これは、
サキリ・デイジーカッター
に借りたものですけれど。にんじんを切り分けていた彰尋は、スティック状にしたにんじんを、
「よし、入れるぞ」
鍋へと投入。彼の、妊娠中の母との思い出や知識が役立ちました……味付けは、妻ニヴィエを慮って塩味控えめ、薄味に。
煮干し出汁の干し肉とにんじんのスープがあたたかく湯気を上げ、すっかり周囲を満たした冷気へと染み入るように香りが広がれば、自然とみんなが火を囲んで集まり、彰尋は彼ら全員へと、切り分けたパンを順に手渡していきます。
綾花が木鉢によそったスープを夫妻へ手渡すと、ニヴィエは重そうに身体を起こしながらもすんすんと鼻を鳴らして、
「んー……良い香り! 旅の途中で味わうには、贅沢すぎるくらいよね」
「ああ。みなに感謝を……いただこう」
「いただきまァす!」
ぱくり、とひと口。途端に、
「……っん~~~! ンまいっ!」
ニヴィエはにんまりと頬を緩ませ、常にどこかむっつりと張り詰めているファシナラの顔にすらも、優しい笑みが浮かびます。
にゃあ、ふにゃん。てしてし、と訴えるように膝へ乗せられた前足に、綾花は小さな鉢へよそったあつあつのスープを、ふう、ふうと息で冷ましてやった後に、
「はい、アルクにも」
ことりと置いてやれば、アルクは待ってましたとばかり、ぺろぺろとそれを味わい始めました。
やがて……たき火の明かりも、立ち昇る煙も届かない夜空へ、月たちがその姿を表します。
冷気が凛と磨いて澄ませた空気を、三つ子の月から降り注ぐ青い光が、ヴェールのように覆っていきました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
前回シナリオ
さまよいアルク 第一章~蒼空へ漕ぎ出す漁夫たちの豊漁祭
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月25日
参加申し込みの期限
2015年09月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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