寝子祭前日談　～準備はどうだい？～｜リアクション

寝子祭前日談　～準備はどうだい？～

【寝子祭】実行委員の会議風景

序：楽しむための準備をしよう（委員会＋α編）
　寝子祭まであと少し。それ故に、寝子祭実行委員会のメンバーは特に忙しそうだった。彼らはまずアジトで各自の行動を確認する。
「さて、みんなで当日のタイムスケジュールと各々の役割分担をおさらいしよっか？」
　委員長である壬生由貴奈の言葉に一同肯き、早速資料を確認する。委員会でしなくてはならない仕事は山とあるのだ。抜かりなどないようにしたいものである。
　当日は、彼女の他多くの委員が委員会だけではなく模擬店など別の団体での活動も行う。故にそれを考慮し穴の無いようにしなくてはならない。由貴奈は１人１人からスケジュールを聞き、話し合いつつ役割を当てはめていく。
　其々の仕事の他不足している物の把握や進行状況などを確認したところでよい時間となる。ちらり、と時計を見た由貴奈は１度ぱん、と手を叩き、しっかりとした口調で言った。
「それじゃ、持ち場について。時間はあるようでないんだからね？」
　その一言に、集まった委員たちは真面目な顔で頷いた。

　ステージ。ここでは安本マコトが設営など最終調整に携わっていた。普段は軽い印象を持つマコトだが、ここではテキパキと仕事をこなしていた。
（大体終わった感じかな？　次は照明のチェックとマイクテストだねー）
　マコトは照明のボタンなどを確認し、他の委員と共にきちんと作動するかチェックする。ちらり、と辺りを見渡せば大道具搬入を手伝っている夏神零の姿が見える。彼は、額に汗を浮かべながら道具を入れ、書類と照らし合わせて確認も行っていた。
「はーい、ライトOKっす。次、マイクテストいくっすよー」
　マイクを手に機械を操作するマコト。「あーあー」と適当に声を入れて、調子がいいな、と思いつつ
「あーあー、マイクテストちょりーっす」
　空間に響くマコトの声。特に音響のほうに不備はないようだ。マコトはそれを報告しつつ次の作業へと取り掛かる。ステージの袖や裏に搬入された道具のチェックで、零がやっていない分をおこなう。数が多いので１人ではやりこなせないのだ。
「どれもこれも、面白いな。完成度高いし」
「そうでござるな。今からステージが楽しみになってきておるよ」
　２人はそう言いながらもチェックをこなしていく。その近くでは、前夜祭でのコンテストで使用する衣装などを綾辻綾花がチェックしていた。因みに彼女が行っているのは先生がたの分である。
「先生がたのパフォーマンスも、なかなか楽しみです」
「確かに！」
　綾花の言葉にマコトが相槌を打つ。綾花は彼らと話しながらも衣装を出番の順に揃え、その中に想いを寄せる相手である早川珪の衣装を見つけ、自然と顔が綻ぶ。身にまとってステージに立つ姿が脳裏に浮かんだのだろう。
（きっと似合いますっ！）
　少し頬を赤く染め、ふふっ、と笑う。零が「どうしたのか」と問えば、綾花は「なんでもありません」と苦笑してごまかす。そうしつつも僅かに高鳴る鼓動は収まらず、恥ずかしそうに俯く。それでも衣装を出番の順に並べ、メイクなどの用具も揃え終える。最後に着替えの順番のメモを置き、僅かに笑った。
「準備、完了です」

「そろそろ模擬店の確認に行って来る」
　しばらくして、そう言ったのは先ほどまで資材運搬やチェックに携わっていた篠崎響也である。彼は作業の進行を確認すると、零に仕事を手伝って欲しいと頼む。
「それじゃあ、行って来る。また後で来るでござるよ」
「みんなも、怪我に気をつけて作業を進めて欲しい」
「んじゃ、模擬店のチェックよろ～」
　零と響也がそう行ってその場を後にし、マコトが手を振って見送る。それに僅かに微笑んで響也も手を振り返すのであった。

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