ふわりふる真珠、月の都の異邦人｜リアクション

ふわりふる真珠、月の都の異邦人

　――？　？　？

　骨削瓢はその頃、なぜか牢屋に入れられていた。真珠をたくさん拾った後、兵士をつれた透に捕まり、ここまで連れてこられたのである。
「あっしが何かしたのですかね？　証拠はあるんですかねぇ、しょ・う・こ！」
　瓢がけらけら笑いながらそういうと、白鋼は無言である物を見せた。それは地球の言葉で書かれた、証言の数々だった。
「小柄な少年が、マタタビを撒いた。それを多くの者が見ていたぞ。マタタビは白虎族にとって酒と同様。故に、祭の翌日に王家からの振る舞いの１つとしてやることになっていたのだ」
「それなら１日早い施しになったではありませんのかね」
　瓢が相変わらずけらけら言っていると、白鋼はふぅ、とため息を吐いて……マタタビの粉を手にした。
「そ、それは？」
「縁日で騒ぎを起こした者にはそれ相応の罰が下される。　さて、瓢殿。これをそなたにかけた状態で白虎族たちに与えるとどうなると思う？」
　実にいい笑顔をした白鋼に、瓢は背筋に冷たいものを覚える。
「瓢殿に選択させよう。今、ここでたくさんの白虎たちにもみくちゃにされるか、縁日の後片付けをして屋台の人々に謝罪するか。さぁ、どうする？　ちなみに、１０秒以内に答えなければ両方してもらうぞ」
　白鋼の目は笑っていない。本気でやる気だと悟った瓢だったが、頭の中ではどう白鋼を出し抜こうか考える。けれども思いつかず、結局屋台の後片付けと屋台の人々への謝罪を行うことを選んだ。
　だが、ここで事故が起こる。近くにいた女官が足を滑らせマタタビ粉が舞い散る。そして頭から被った瓢目掛け、何処からとも無く白虎たちがやってきてもみくちゃにされてしまった。
「うわっぷ！？　白鋼はん、助けておくれよぉ！」
「……許せ、瓢殿。この者たちは皆、祭のマタタビを楽しみにしておってな……。大人しくもみくちゃにされてくれたまえ」
　笑いを押し殺しながら言う白鋼。瓢は白虎たちにぺろぺろ舐められ笑いながら悶絶し、その様子がとてもおかしかったらしい。瓢は内心で悔しげに手を握り締めた。
（銀穣はんに仕返しをする筈が、当の本人はひかからず、結局ばれておしおきだよぃ！　次こそは……！）
　そこへ銀穣がやってくる。どうやら寝子島の住人を送ってきたらしい。だが、次の瞬間にはマタタビの匂いに釣られて大きな白虎へと変化する。
『白鋼様、あの、自分のマタタビ禁止令は……』
「今、このときをもって解除する。だが、マタタビもほどほどにな？」
　銀穣は白鋼の言葉に歓喜の声を上げ、マタタビまみれの瓢へと突貫する。流石に今回は爪を立てられなかったが、やはり大きなネコのようになった虎たちに舐められるのは非常にくすぐったかった。
（わっぷ、そんなに舐められてたまるかいっ！　しかもマタタビが服の中にまだ残ってるてどうなのよこれ？！）
　その後、瓢はしばらくの間白虎にもみくちゃにされ、湯浴みをした後屋台の後片付けを手伝い、屋台の主たちに頭を下げに行くのであった。

　因みに、瓢が転売目的で拾った沢山の真珠は、罰として数を減らされてしまった事も付け加えておく。
　これには頭を抱えて悔しがる瓢であった。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

菊華です。
この度は参加ありがとうございます。
遅くなってしまいましたが、十朱此方さん、ガイドへの出演ありがとうございました。

ほんわかのんびり、お詫びとしてのお祭りシナではありましたが、アクションによって菊華が手がけようと考えている『異世界の月』シリーズの世界観の一部がここで公開となりました。その上、フラグ成立しまして、シナリオも出す所存です。

異世界の月に暮らす人々
白虎族（虎に変化できる）／朱雀族（赤い翼を持つ）／玄武族（結界を操る）／青龍族（角を持つ）／麒麟族（治癒能力を持つ）
※種族特製などに関してはリアクションにあるとおりです。
　まだ隠された情報もあり、今後のシナリオで明らかになる可能性はあります。

それでは、また縁がありましたらよろしくお願いします。
菊華　伴

おまけ
縁日などで入手した物は、リアクションのとおりですが個別にも記載しておきます。

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