this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【寝子祭】歌って踊って楽しんで
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
…
22
つぎへ >>
・
服屋
:看板のない服屋、応接室(北校舎3階)
太陽が刺々しい光を大地に浴びせる。開いた傘が遮断して
桜 月
に間に合わせの夜を与えた。
月は急ぎ足で北校舎の中へと入っていく。傘を閉じると白くて長い髪が現れた。赤い瞳はアルビノを思わせる。
解放された表情でひっそりと階段を上がった。三階の廊下を静々と歩いて応接室に着いた。中には誰もいなかった。
月はソファーやテーブルの位置を見て顎先に手を添える。
「配置が少し悪いか」
月は廊下側の壁に背を預けた。赤い瞳に強い意志が宿った瞬間、足元の影が急速に伸びてもう一人の自分を生み出した。強く念じることで発動する、ろっこんの『月影の死神』であった。
月が見守る中、分身はソファーとテーブルを窓際に押しやる。残されたソファーは壁際に運んだ。細々とした物を移動させて一通りの清掃を終えた。
分身は役目を果たし、元の影に収まった。
「広くなった」
月は背負っていた鞄を下ろして窓際のソファーに座った。窓から下を眺める。疎らに人が歩いていて様々な服が見て取れた。眩しいものを見るような目になる。
旅鴉 月詠
がスケッチブックを小脇に抱えて現れた。
「月、早いね」
「寝子祭の雰囲気のせいかな。この配置でどう?」
「広くていいね」
月詠はスケッチブックを開いた。描いた絵の輪郭の一部を指で消す。ろっこんの『絵空事』で封じ込められていた物が一気に吐き出された。出し物に関係する物から手を付けていく。
月詠は胴体だけのマネキンにゴシック調の服を次々と着せていった。扉の近くに色合いを考えて整列させた。別の空いたところには猫脚の机を置いた。手作りと思われるアクセサリーを机上に並べると殺風景な応接室が華やいで見える。
「こんな感じのディスプレイでどうかな」
「本当の服屋みたいだ」
「看板のない服屋だね」
月詠は残りの雑務を経て月の横に腰を下ろした。長くて白い髪を手で後ろに押しやり、赤い瞳を月に向ける。
「それと客用の焼き菓子を用意した」
「私はチョコレート類を持ってきたよ」
月は傍らに置いた鞄を開いて中を見せる。スケッチブックを隅に押しやるようにして黒い重厚なケースが犇めいていた。
「見た目で味が期待できるね」
月詠はスケッチブックを開いた状態で手前のテーブルに向けた。指で絵の一部を消すと電気ポットが出てきた。続いて籐で編まれた大きなバスケットが出現した。蓋を開けると中には茶器のセット、クッキーやマドレーヌ、小ぶりなケーキが収められていた。
覗き見た月は微かに笑う。
「豪勢だね」
「優秀なメイドのおかげだよ」
月詠は笑って返した。
二人は仲よく並んでソファーに座っていた。月が窓の方に目をやる。先程よりは人の数が増えていた。三階まで喧騒は届かず、色の付いた無声映画を観ているような感じであった。
ふと気になったのか。月は横目で月詠の方を見た。表情は物静かで感情を読み取ることは出来なかった。
「旅鴉さん、君の服をこの場でデザインしても良いかな?」
「私は構わないよ。モデルも芸術の一つだからね」
二人は向き合った。長くて白い髪に赤い双眸。鏡の中の自分を見ているような不思議な感覚を共有した。
月は僅かに遅れて声を出す。
「旅鴉さんは何でも着こなしそうだよね」
「言われればそうだね。場にもよるが、大抵は男装だね。着ぐるみも経験したことがあるよ」
「そうなると普通の服では物足りないか」
口にしながら鞄からスケッチブックを引き抜いた。すぐさま開いて無垢な画用紙と月詠を交互に見た。
「少し変わった服にしてみようか。例えばフード付きのローブのような、そう、イメージは魔法使いとか」
「芸術家は得てして変わり者が多い。魔女は幾つもの顔を持つ。私には合っているかもね」
月詠は薄っすらと笑みを浮かべる。見た目の通りの感情に思えないところが魔女らしい。月の創作意欲を刺激してアイデアが滔々と湧き出し、画用紙が余さずに吸い上げる。それはデザイン画となって瞠目する早さで表現された。
「完成していないけど感じはわかると思う。どうかな?」
画用紙に描かれた人物の顔は簡単な線で描かれていた。被っているフードは円錐形で半ばが折れて胸の辺りにある。袖は朝顔の花のように開いて一部に星形の物体が付いていた。
「フードで魔女のとんがり帽子を表現しているのだね。全体はサイズの大きなダッフルコートみたいだ。この袖の星は模様なのかな」
「この部分を引っ張ると袖が窄まる仕掛けなんだ。星は指輪にもなっていて中指に嵌めたら似合うと思う」
月は楽しそうに語った。月詠は自身のスケッチブックにティアラを描いた。対のようなデザインの腕輪も描き込む。
「この装飾と合わせてもいいかもね」
「そうだね。こんな感じで客にも対応しよう」
二人は笑みを交わし、それとなく窓に目を向けた。
横嶋 下心
は適当に歩いて応接室に辿り着いた。受付で手に入れたチラシには『看板のない服屋』と明記されていた。
「どんな出し物なんだろう?」
よくわからないところに魅力を感じたのか。下心は扉を開けて軽快な足取りで入っていった。服屋らしく、ゴシック調の服を着たマネキンが出迎えた。
目にした下心が声を上げる。
「コスプレ部だね!」
「違うよ」
耳にした
旅鴉 月詠
が即座に否定した。声の方に向いた下心の興奮が忽ち頂点に達した。セクシーペインター、と叫んでソファーに駆け寄る。
「揉ませてください!」
「君は何を揉むつもりなのかな」
「太腿でもいいです。お尻でもいいです。取り敢えず、胸からお願いします!」
「恋人は高い望みなのでまずはお友達からお願いします、という定番を横嶋の頭でエロス加工したような言い方だね」
微塵も動じることなく、月詠は淡々と返した。
「お願いします!」
「対価を払って貰おうか」
承諾と受け取った下心に笑顔が満ち溢れた。全てのポケットに手を突っ込んで掻き集める。
「にゃっぽでいいよね、はい!」
差し出された金券の束を月詠は一瞥した。
「君が情熱を傾ける胸は、その程度の価値なのかい?」
「え、これで全部なんだけど」
「なるほど、エロスの探究者の君が、この程度の価値の胸で満足するのか。エロスの名に恥じない胸を追い求めている孤高の人物と思っていたのだが、私の勘違いだったらしいね」
静かな口調が無数の棘となって相手を突き刺す。滅多刺しになった下心は首が折れたかのように頭を下げて、ごめんなさい、と口にした。テーブルの向こうのソファーにすごすごと歩いてちょこんと座る。
月詠は涼しい顔で言った。
「悪意のある冗談はこれくらいにして服屋の本領を発揮しようか。あとは月に任せるよ」
話を振られた月が我に返る。客用の朗らかな表情を下心に向けた。
「ようこそ『看板のない服屋』へ」
「その出し物の名前、気になるんだけど」
下心は顔を上げた。爽やかな笑みが復活を雄弁に語る。
「MMORPGみたいなゲームがあったんだ。私はそこにお店を作って服や小物を売っていた。その名前を使ったんだよ」
「だから看板がないんだね。そうなると服屋になるのかな」
「そうだよ。私が貴方の望む服のデザインを考えて、旅鴉さんがデザインを活かした絵を完成させる。出来上がった絵はプレゼントするよ」
うーん、と唸るような声で下心は腕を組んだ。頭を何回か左右に傾ける。
「じゃあ、女の子に声を掛けても逃げられないようなビシーッと決まった服をお願いします!」
「その方向で考えるとして、待っている間は退屈だと思うから、お茶とお菓子をどうぞ」
月は黒檀のような色のケースをテーブルに並べた。端から順に蓋を開けると中には細工を施されたチョコレートが個々に収まっていた。一つとして同じ形の物がない。
「これが私の持ってきたものだよ」
月詠はバスケットの蓋を開けて傾けた。
「あの、懐具合が……」
「対価は要らないよ」
下心は安堵の息を吐いた。バスケットから気楽にクッキーを摘まむと口の中に放り込んだ。自然に目元が優しくなる。
「美味しいです」
親指を立てて見せる。月は下心の行動をつぶさに観察していた。先程の内容を含めてスケッチブックに反映させていく。
「横嶋は好きにしていいよ」
その言葉のあと、月詠もスケッチブックに向かう。白い画用紙に下心の全体の容姿を大まかに描いていった。
二人の真剣な表情を前にして下心は対応に困るような表情を浮かべた。何かを語り掛けようとしても口がすぐに閉じてしまう。自ずと関心は菓子類に傾き、一人のティータイムを楽しんだ。
絵を描く二人はスケッチブックを適宜、見せ合うようにして一枚の絵を作り上げた。月詠が仕上げに淡い水彩で着色を施す。
下心が小ぶりなケーキを口に押し込んだところで月詠が言った。
「絵が完成したよ」
スケッチブックから切り離した画用紙を下心に渡す。二人の人物が寄り添うようにして描かれていた。
下心の耳の縁には赤と青の金具のような物が嵌っていた。ネイビーブルーの背広を着て中には丸首の白いシャツ。コバルトブルーのズボンは七分丈でネイビーの靴下には赤い花が散らしてあった。最後のベージュの紐靴が洗練した印象を与えた。
隣を歩く人物は下心よりもやや背が低く、赤いリボンのセーラー服を着ている。描かれた眼付きは鋭いがどこか優しさも感じられた。
「うん、これは凄い。具体的には言えないけれど、ありがとう! いい物を貰っちゃったよ」
下心は絵を掲げて立ち上がった。月が声を掛ける前に陽気に廊下へと飛び出していった。
「あのデザインを元に服も作れるんだけど、どうしようか」
「本人が喜んでいたのだから、これで良しとしよう」
二人は思い思いに伸びをして次の客に備えた。
舞台の途中で抜け出してきたような格好が人目を引く。
篠宮 六花
の髪は銀色で目は赤い。その赤が自身の象徴であるかのように後ろに結んだ髪の紐まで赤い。黒の着物には赤の羽織を合わせ、一歩ごとに右側の髪留めの鈴が涼しげな音を立てる。反対側には鬼灯の簪を挿していた。
ゆっくりとした足取りに優雅な雰囲気を纏わせている。緩やかに足を止めて廊下の前後を確かめるような動きを見せた。
「……どこだ、ここは?」
受付で貰ったチラシと周囲を見比べる。応接室に目が留まり、北校舎かー、と呑気な声を出した。
「折角だし、行ってみるか」
扉に手を掛けて開いた。
「邪魔するぞー」
中に一声掛けて軽やかに鈴を鳴らして入っていく。急に立ち止まったせいで音色が乱れた。ソファーに座っていた
桜 月
と
旅鴉 月詠
に目が離せなくなった。
月は六花に向かって微笑んだ。
「いらっしゃい、どうぞこちらへ」
月は手前のソファーにたおやかに手を向けた。
「不躾な態度を取ってすまない」
少し硬い口調で六花はソファーに座った。二人との距離が縮まって、またしても目が留まる。
月詠は表情で軽く笑った。
「白い髪と赤い目が、そんなに珍しいのかな」
「あ、なんというか。俺と似たような人物に会うのは初めてなんだ。それに姉妹なんだろ?」
「そんなことを言われたのは初めてだよ。私は旅鴉月詠だ」
「私は桜月だ。少し口調も似ているかもしれないな」
月は隣にいる月詠に目を向けて言った。
「桜と、旅鴉か。俺は篠宮六花、よろしくな」
温かみのある表情で軽く会釈を交わした。心に余裕が生まれたのか。興味が周囲に拡散して目に落ち着きがなくなる。
「ここでは何をしてるんだ?」
「コスプレ部ではないよ」
月詠の反応に月は少し笑って出し物の説明に入った。
「洋服のデザインか。面白そうだな、頼んでもいいか?」
「もちろんだよ。客の要望を聞いてデザインを決めていくのだが、やはり和服が好みなのかな」
月は足を組んだ。その上にスケッチブックを開いて乗せる。
六花は頭を傾けて笑う。髪留めの鈴がちりんと涼やかな音を立てた。
「いつも和服だからなぁ。こんな機会はそうないと思うから洋服でお願いしようか」
「服の色は何がいいかな」
月の問い掛けに、そうだな、と六花は首の辺りを触る。
「希望の色は黒。差し色は赤かな」
「服の大まかなデザインとかは?」
「デザインに関しては全くわからん」
「少しいいかな」
月詠が軽く手を挙げて六花は視線を隣に移した。
「ここには私が持ってきた物が色々と置いてある。それを見てデザインの参考にしてもいいと思うね」
「それは妙案だ。少し見させて貰おうか」
六花は緩やかに立ち上がる。アクセサリーの置いてある猫脚の机で指輪を手に取った。照明の光に当てるようにして摘まみ、綺麗だな、と口にした。肝心の服の前では腕を組んで考え込む姿勢となった。
月詠はさり気なく助け舟を出した。
「その手の服はゴシック系というんだ。展示は女性物だけど、男性用もあるよ」
「ゴシック系か。悪くないな」
月は六花の全身に目をやり、画用紙に描き始めた。
「その方向でデザインするよ。時間が掛かると思うからお菓子でもどうぞ」
ソファーに戻ってきた六花に月詠が、これだよ、と菓子類を見せた。
「洋菓子は苦手なんだ。ここに来る前にかなり歩いたんで、アイスティーみたいな冷たい飲み物を貰えるか」
「それなら用意できるよ。シロップは少しでいいかい?」
「ああ、助かる」
月詠が用意している間に月のスケッチブックにはコートのような物が描かれていた。
「ストローを付けたよ」
月詠は水滴の浮いたグラスをテーブルに置いた。琥珀色の液体が満たされたそれを手に取り、六花はストローを吸った。半分近くを一気に飲んで静かに息を吐いた。もう一度、軽く吸ってグラスを置いた。
背中をソファーに完全に委ねる。深々と座った姿勢で瞼を閉じた。
「……なん、か、頭が、涼しい、な……」
頭が不規則に上下に揺れていた。
んあ、と六花は声を漏らして瞼を開けた。視界がぼんやりするのか。目を擦って瞬きを繰り返す。
正面の二人は含み笑いに似た表情で六花を見詰めていた。
「すまない、俺は寝てたのか?」
「そのおかげで絵は完成したよ。ボタンと和傘、それと胸の鬼灯は旅鴉さんのアイデアだね」
月の目配せで月詠が画用紙を差し出した。受け取った六花は、お、と声を出して絵に目を近付けた。
赤い和傘は開いた状態で肩に乗せる。黒いコートの上部の合わせ目は極端に左に寄っていて、金色の鈴に模したボタンが肩に沿って嵌っていた。半ばで斜め下に向かって腰の辺りで終わり、裾の長さは膝上くらいであった。
月は六花の表情を窺いながら言った。
「どうかな。寒さに備えてハイネックのアシンメトリーコートにしてみたんだが」
「実物よりも男前だな。二人共、ありがとう。しかし、こんな凝った作りのコートを本当に作れるのか」
「それは任せて貰おう。少し日数は掛かるかもしれないが」
「餅は餅屋に限るね」
月の手腕を月詠が仄めかす。
「洋服が届くのを楽しみに待つとしよう」
六花は和洋が融合した自身の姿に熱い視線を送った。
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
…
22
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【寝子祭】歌って踊って楽しんで
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
145人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月22日
参加申し込みの期限
2015年08月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!