読書会　～語ろう、あなたの一冊を～｜リアクション

読書会　～語ろう、あなたの一冊を～

【１１番手　八神修　賽の目も見られてる？】

「八神だ。一寸変わった書物を紹介するよ」
　そういって、修がテーブルの方へ移動し、なにやらサイコロやチェスのポーンのようなものを置いていく。
「クトニャフの呼び声ＲＰＧというものがある。TRPGというゲームを知っているだろうか？　例えば、君達は映画が好きか？　冒険、恋愛、ＳＦ、そしてホラー、架空の体験が出来る、それが小説や映画の醍醐味だ。だがそれはあくまで第三者、読み手としてだ。その仮想世界の登場人物になれるとしたら……？　そして、それを意のままに動かし、皆でストーリーを作り上げていくとすれば？　それがＴＲＰＧだ」
　修の言葉に聞いたことがある、無いとさまざまな意見が出る。
　最近は、動画サイトで有名になったが、まだまだマイナーなゲームであろう。
「アプリみたいに決まった反応しかしない世界ではなく、自分が登場人物になる生きた世界を体験できるというのも醍醐味だ。このゲームの元はアメリカのカリスマホラー作家の怪奇小説が元になって、それがシェアされてさまざまな人工の神が作られた」
　修の口からその作家の名を告げられれば、怪奇小説が好きな人は心当たりがあるであろう作家の名前だった。
「あと、日本で遊ぶユーザー向けのサプリメント……いわゆるルールの拡張ブックがたくさんあって、面白いぞ。日本を曲解したものもあり、外国から見た日本はエキサイティングだと思うこともある」
　そういって、サプリメントを取り出し、置いていく。
　中には英語のものもある。
「『シークレットジャパン』という英語サプリがある。読むと外国から日本がどう見られているかも分かるし英語力も付くぞ。好きなゲームの為なら辞書を引く手も捗るだろう」
　そうやって説明する修を見て巴は思った。
（辞書を引いて分かるなら、もうちょっとそういう行動が増えても良いものだが）
　そもそも、どこかしら他言語に対してアレルギーがあるのに加え、経験値的な前例踏襲の翻訳に近いものがたまにあったりする。
　修の説明は続く。
「こういうのはアナログだろ？　だが、だからこそアプリゲームみたいに決まった反応しかしない世界ではなく、自分が登場人物になる生きた世界を体験できる『読む小説から体験する物語へ』その入口だ。よければ、見て欲しい」
　そう言って、ルールブックを回す。書かれているさまざまなことに、こういう事も書かれているのかと思う者もいる。
　こうして、修の持ってきた本の紹介は終わった。