読書会　～語ろう、あなたの一冊を～｜リアクション

読書会　～語ろう、あなたの一冊を～

【１０番手　嬉野咲耶　オススメはコアラ？】

「ん……ママのオススメなんだけど、このしょうせつをもってきたの……世田荒康の『こあ　コア　核　コアラ』なの」
　嬉野咲耶がちょこんと立ち上がる。
　唯一の小学生であり、好きな作品を紹介できるというので、楽しそうにしゃべり始める。
「お話の書き方が、主人公目線で、主人公の砕けた話し方、ふざけたような物言いが面白いの。そしてその主人公のネトゲ廃ゲーマーの高校生のお兄ちゃんが、毎日にうんざりしてたら、いきなり神様に、異世界に飛ばされ、ネトゲで使っていたコアラ型巨大ロボットで無双していくお話なの」
「コアラ型巨大ロボット……」
　いまいち想像が付いてないアリシア。
「可愛かったら、いいなぁ」
　丸美はきっと、動物園のコアラがそのまま大きくなった感じをイメージしているのだろう。
「そのコアラロボットがとっても強いの。エネルギーは、エウカリの木の葉の燃料電池なの。そして、ママが言っていたけど『この小説は読んじゃダメ、感じるんだ！』なの」
　どうやら、フィーリングで読む小説らしい。
「なんというか、寝そべって読むタイプの本なのかしら？」
　美野梨が首をかしげつつ、携帯端末で調べると、ネットの小説投稿サイトが表示された。
（最近、こういう小説が増えてきたわね……）
　だが、小学生にも見れるというのは、どうなのか？
　そんな疑問をよそに、咲耶の説明は続いている。
「インターネット投稿サイトで人気の作品なの。テレビのアニメでやっていたの。一緒に見ていたママが、『ママの好きな小説なのよー』って持ってきてくれたの。漢字が難しいの。けど頑張って読んでるの」
　そういって、頑張っている自分をアピールする咲耶。
「あれ、ということは……それはママさんの作品です？」
　玄の質問に、咲耶は答える。
「ママの本だけどね。おもしろいからみんなに教えたくて、借りてきちゃった」
　こうして、咲耶の本の紹介は終わるのであった。