季節はずれのきもだめし！　『日本ぞくぞくツアー』｜リアクション

季節はずれのきもだめし！　『日本ぞくぞくツアー』

【いい映像が撮れました】
　
　
　水樹＆ジェレミア＆刀組が帰ったあとは、春太郎とユキの組が出発する番だ。刀の耳に聞こえた『このぐらいにしといてやる』という言葉通り、彼らは何事もなくきもだめしを終え「星空がきれいでした！」と春太郎などは感動しきりであった。
「はぁ、結局ボクの前で心霊現象は起こりませんでしたかぁ。ちょっと見たかったですねぇ」
「まかせるのだ、幽ちゃん！　ジャーナリスト根性で一枚だけ、ゾンビの写真があるのだ」
「えっ、本当！」
　という幽と真央の会話に、刀がビクビク挙動不審になったり。
「やぁユキちゃん、俺と遊んでくれるかな？」
　おもちゃを持ってユキを誘うジェレミアは、やたらと匂いを嗅がれて首をかしげた。
「もしかして、獣医さんでいらっしゃいますか？　ユキは以前予防注射をされてから、どうも獣医さんだけは
苦手みたいで」
　ガーン！　と衝撃を受けるジェレミアに、春太郎が慌てて「この人は注射しないよ」とユキを諭して、やっと遊ぶようになったりとか。
　その他もろもろのエピソードをはらみつつ、『日本ぞくぞくツアー』きもだめしの終了時間がやってきた。
「参加してくださった皆さま、本日は本当にどうもありがとうございました。皆さまのおかげでいい映像が撮れました。『日本ぞくぞくツアー』きもだめしｉｎ寝子島、お開きとさせて頂きます！」
　春太郎の終了の挨拶とともに、参加者の面々からはパチパチと拍手の音。春太郎はもう一度頭を下げて、
「放映は１０日後を予定しております。夜も更けてきましたので、番組スタッフが皆さまのご自宅までお送りさせて頂きます。あちらの車にどうぞ！」
　車に乗り込む前、水樹は夜空にこうこうと輝く月を見上げ、うーん、と伸びをした。
「たまには、きもだめしもいいものね」

　その後。
　放映を確認した刀は「これ、俺がビビリだって思われるんじゃなかろうか？」と一抹の不安を覚え。
　『ぞくぞくツアー』の壁新聞を貼りだした新聞部には、生徒たちが詰めかけて、修と真央、幽の部員
三人は対応に追われた。
　さゆるは特に変わりなく日常に戻り、春華は春太郎にもらったサインを額に入れて大切に飾ったのだとか。
　水樹は大学の友人にぞくぞくツアーのことを聞かれて、「あの笑い声、なんだったのかしら？」と回想し。
　朱蘭は、放映を見た翌日、竜也に懇切ていねいにお説教を食らった。
　オレンジ動物病院には「ジェレミア先生ってステキ！」とペットを連れた女性が押し寄せ。
　そして、解理はちょっと高いところに仁王立ちして、「ははは、僕は幽霊を克服したぞー！」と雄叫びをあげたそうな。

【おしまい】

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、陣　杏里です。

某ＴＶ番組の犬連れ旅コーナーから思いついた、季節はずれの肝試しシナリオ、いかがでしたでしょうか。
ふわっとしたなんちゃってホラーを念頭に置いて書き進めましたが、ホラー映画（の予告編）は幾つか
見ました。
ゾンビ映画……こわい！　スプラッター映画……や、やめてー！　ガタガタブルブル。
NPCとの絡み指定もたくさん頂き、ありがたい限りです。
春太郎は爽やか青年に、ユキは人懐っこく愛らしい犬に描けていたでしょうか。

皆さまに喜んで頂ければ幸いです。
陣　杏里でした。

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