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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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季節はずれのきもだめし！ 『日本ぞくぞくツアー』
【小さい子も見ています（二回目）】
天川 春太郎は、傍らのユキを撫でながら、本部のモニターを見ていた。
「伊賀さん、大丈夫かな……」
映像は山道を歩く八神 修と伊賀 解理が持っているカメラのものだ。
出発前に解理の顔色が悪かったので「きもだめしをやめますか？」と申し出たら、「行きます」と言われた
ので送り出したところである。
「伊賀、良かったらこれ、使ってくれないか？ あと、おまじないもあるぞ」
「これは……いわゆるヘッドライトというやつか？」
ゴソゴソと音がして、ぱっとモニターの中が明るくなる。
「手のひらに六芒星を書くと、物の怪がその目を数えて止まるっていうおまじないなんだけどな」
「その、すまないな……八神氏。何から何まで」
大したことじゃないよ、と言う修の声を聞いて、春太郎はむむむ、と唸った。
「八神さんって気遣いの人なんだなぁ……ユキ、出発前に遊んでもらって楽しかったか？」
わん！ と吠えるユキをよしよしとなでて、モニターに視線を戻す。
恐怖を紛らわせるためなのか、彼らは鳴く虫クイズなどをやりつつ山道を進み、チェックポイントが見えて
きた。
「おぉ、見ろ八神氏！ 三つ目のチェックポイントだぞ」
「これまでの二つはユキの顔だったけど、これは後ろ姿なんだな」
「見返りおユキというところか」
「伊賀、うまいこと言うな」
解理の声と共に画面がぐるりと変わり、ユキが振り向いているところを後ろから描いたバッジを映す。
最後のチェックポイントをクリアして一息ついたのか、解理と修の会話は弾み、映像からは軽快に歩を進めていることが窺える。
「そもそもだな、幽霊の正体見たり枯れ尾花というやつで、怖がるから疑心暗鬼になってしまうものだよ」
「じゃあ、八神氏は怖くないのか？」
「怖いというか……原因を解明したい、という気持ちはあるな」
修の返事を示すように、懐中電灯の光がひょこっと揺れる。
「心霊現象なんてものは、『地磁気の異常』とか『地下水の汲み上げすぎで地盤沈下』なんかで説明できる
ケースがよくあるんだ。意識的には分からなくても、床の傾きで三半規管が影響を受けたりすると、心身に変調をきたしたりすることもあるし」
修は懐中電灯の光を向けて、写真を一枚撮った。
「人間の脳には、見えないものを『こうなっているだろう』と勝手に想像していまう仕組みだってあるしな。
だまし絵とか、錯視、錯覚って伊賀は聞いたことないか？」
「確か……同じバームクーヘンが並んでるのに、片方が大きく見えたり、黒白の格子模様の交点に黒い丸が見えたりするやつかな？」
そうそう、と懐中電灯がひょこひょこ揺れる。
「科学で全てが説明できるとは言わないが、『正しく怖がる』という姿勢が大切なんじゃないか、と俺は思って
いるよ」
「おぉ、八神氏がドヤ顔をしているぞ」
「なんだよ、人がせっかく……」
「いやその、茶化してすまん」
春太郎には、モニターに映っていない修のむすっとした顔が見えた気がして、思わず笑ってしまった。自分にもこんな時期があったなぁ、と。
しかし、事態は春太郎の甘い回想を許したりはしなかったのである。
「まぁ、分かってくれればいいんだ」
二人がほっと息をついたらしい、そんなひと時。
突然。
ガサガサ、と大きな物音。
「ひゃっ！」
そして解理の声を最後に、映像がガクガク揺れて、真っ暗になった。
「えっ？ あれ？」
突然のことに、春太郎はモニターに見入った。二つも明かりがあるはずなのだが、カメラと共にどこかに
すっ飛んだらしい。完全な暗闇ではないが、衣擦れの音と激しく動く草むらが映るだけ。
「ちょ、い、伊賀？ ど、どこを触ってるんだ！？ やめろ、そこはぁ！」
「え？ あ、いや、どこだか分からないがすまない！ メガネ、メガネはどこだ？」
そんな音声が聞こえ、春太郎は本部の空気が冷たくなるのを感じた。
（何かこれは……いけない事態になっている気がする……）
懐中電灯を掴もうとした時、うぉん！ と一声、ユキが矢のような速さで飛び出していった。
「ユキ？ ちょっと待てって！」
愛犬の鳴き声と、首輪に貼った蓄光塗料のシールを頼りに走って現場に向かうと、解理がユキのくわえた
メガネを受け取ってかけるところに到着。
「八神氏……その、色々済まなかった」
「い、いや……大したことじゃないさ」
修と解理の二人は互いにペコペコしていたが、春太郎には何があったのかさっぱり分からない。
ユキだけが「助けに来てくれてありがとう」と二人に褒められて、嬉しそうに尻尾をふっていた。
天川 春太郎は、傍らのユキを撫でながら、本部のモニターを見ていた。
「伊賀さん、大丈夫かな……」
映像は山道を歩く八神 修と伊賀 解理が持っているカメラのものだ。
出発前に解理の顔色が悪かったので「きもだめしをやめますか？」と申し出たら、「行きます」と言われた
ので送り出したところである。
「伊賀、良かったらこれ、使ってくれないか？ あと、おまじないもあるぞ」
「これは……いわゆるヘッドライトというやつか？」
ゴソゴソと音がして、ぱっとモニターの中が明るくなる。
「手のひらに六芒星を書くと、物の怪がその目を数えて止まるっていうおまじないなんだけどな」
「その、すまないな……八神氏。何から何まで」
大したことじゃないよ、と言う修の声を聞いて、春太郎はむむむ、と唸った。
「八神さんって気遣いの人なんだなぁ……ユキ、出発前に遊んでもらって楽しかったか？」
わん！ と吠えるユキをよしよしとなでて、モニターに視線を戻す。
恐怖を紛らわせるためなのか、彼らは鳴く虫クイズなどをやりつつ山道を進み、チェックポイントが見えて
きた。
「おぉ、見ろ八神氏！ 三つ目のチェックポイントだぞ」
「これまでの二つはユキの顔だったけど、これは後ろ姿なんだな」
「見返りおユキというところか」
「伊賀、うまいこと言うな」
解理の声と共に画面がぐるりと変わり、ユキが振り向いているところを後ろから描いたバッジを映す。
最後のチェックポイントをクリアして一息ついたのか、解理と修の会話は弾み、映像からは軽快に歩を進めていることが窺える。
「そもそもだな、幽霊の正体見たり枯れ尾花というやつで、怖がるから疑心暗鬼になってしまうものだよ」
「じゃあ、八神氏は怖くないのか？」
「怖いというか……原因を解明したい、という気持ちはあるな」
修の返事を示すように、懐中電灯の光がひょこっと揺れる。
「心霊現象なんてものは、『地磁気の異常』とか『地下水の汲み上げすぎで地盤沈下』なんかで説明できる
ケースがよくあるんだ。意識的には分からなくても、床の傾きで三半規管が影響を受けたりすると、心身に変調をきたしたりすることもあるし」
修は懐中電灯の光を向けて、写真を一枚撮った。
「人間の脳には、見えないものを『こうなっているだろう』と勝手に想像していまう仕組みだってあるしな。
だまし絵とか、錯視、錯覚って伊賀は聞いたことないか？」
「確か……同じバームクーヘンが並んでるのに、片方が大きく見えたり、黒白の格子模様の交点に黒い丸が見えたりするやつかな？」
そうそう、と懐中電灯がひょこひょこ揺れる。
「科学で全てが説明できるとは言わないが、『正しく怖がる』という姿勢が大切なんじゃないか、と俺は思って
いるよ」
「おぉ、八神氏がドヤ顔をしているぞ」
「なんだよ、人がせっかく……」
「いやその、茶化してすまん」
春太郎には、モニターに映っていない修のむすっとした顔が見えた気がして、思わず笑ってしまった。自分にもこんな時期があったなぁ、と。
しかし、事態は春太郎の甘い回想を許したりはしなかったのである。
「まぁ、分かってくれればいいんだ」
二人がほっと息をついたらしい、そんなひと時。
突然。
ガサガサ、と大きな物音。
「ひゃっ！」
そして解理の声を最後に、映像がガクガク揺れて、真っ暗になった。
「えっ？ あれ？」
突然のことに、春太郎はモニターに見入った。二つも明かりがあるはずなのだが、カメラと共にどこかに
すっ飛んだらしい。完全な暗闇ではないが、衣擦れの音と激しく動く草むらが映るだけ。
「ちょ、い、伊賀？ ど、どこを触ってるんだ！？ やめろ、そこはぁ！」
「え？ あ、いや、どこだか分からないがすまない！ メガネ、メガネはどこだ？」
そんな音声が聞こえ、春太郎は本部の空気が冷たくなるのを感じた。
（何かこれは……いけない事態になっている気がする……）
懐中電灯を掴もうとした時、うぉん！ と一声、ユキが矢のような速さで飛び出していった。
「ユキ？ ちょっと待てって！」
愛犬の鳴き声と、首輪に貼った蓄光塗料のシールを頼りに走って現場に向かうと、解理がユキのくわえた
メガネを受け取ってかけるところに到着。
「八神氏……その、色々済まなかった」
「い、いや……大したことじゃないさ」
修と解理の二人は互いにペコペコしていたが、春太郎には何があったのかさっぱり分からない。
ユキだけが「助けに来てくれてありがとう」と二人に褒められて、嬉しそうに尻尾をふっていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年08月04日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年08月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年08月11日 11時00分
