知っていますか?
『寝子高七不思議の謎』を。
1つ、目玉が動く音楽室のバッハの肖像画。
2つ、体育倉庫の地下に広がるダンジョン。
3つ、生物室の動く骨格標本。
4つ、存在しないはずの教室。
5つ、キサラギ君。
知っていますか?
6つ目の『寝子高七不思議の謎』を。
その名も……。
「ふむ。この鏡ですか」
寝子島高校北校舎の東側の階段、2階と3階の間の踊り場に立ち、
五十嵐 尚輝は大きなウォールミラーをまじまじと見つめます。
時刻は深夜二時を回ったところ。実験に夢中になるあまり、気づけばこんな時間です。
「また御巫さんに、不摂生だと怒られてしまいますね」
いつも世話を焼いてくれるありがたい生徒の顔を思い浮かべながら、尚輝は鏡に映るぼさぼさ頭を眺めて首を傾けました。
職員室にて、同僚の教師たちの談話。生徒たちが噂してるらしいですよ。ほら、北校舎の大鏡のこと。
理科実験室に届いた、通りすがりの生徒たちの噂話。知ってる? 北校舎の踊り場にある鏡の怪談。
いわく。4時44分に鏡の前に立つと、鏡の中に引き込まれてしまう。
いわく。大鏡を手鏡に映して合わせ鏡にすると、自分の死に顔が映りこむ。
「子どもはいつの時代も、その手の話が好きなんですね」
自分も高校生の頃にはそんな話を友人とした、ような……してないような。
「……化学の実験してた記憶しかない」
それはさておき、深夜の学校で見る鏡というのはなかなかに不気味であったりします。
踊り場に掲げられた鏡はいかにも古めかしく、時代がかってちょっぴりくすんだ鏡で、生徒たちが怪談話に結び付けるのも無理はないというものです。
ふと。
鏡の中で、何かが動いたような。
「警備員さんでしょうか……」
ぴし。ぴしぴし。
ぴしり。
「!? 鏡にヒビが?」
ぴしぴし、ぱきん。
ガシャアアアアン!!
御巫 時子は、ゆめうつつ。
(……ここは?)
寝子島高校の校舎、廊下の一角であることは分かります。
けれど付きまとう、この違和感。
(上手く……動けません……)
身体が思うように動かない、奇妙な感覚に支配されながらも、時子は周囲を確かめます。
部屋の入り口に掲げられた、教室名を示す板。廊下に張り出された学生新聞のコピー。
その全てが、
(……鏡文字……?)
鏡に映したように、左右反転しているのです。
「?んさ子時。やお」
聞いたことのある声、親しみ深く愛おしい声。
けれど不可思議な、耳慣れないこの響き。
「?!生先輝尚……」
「に界世の鏡のこ。ねすでんたっまして来もんさ子時」
あまり物事に動じないタチの時子ですけれど。
振り返ったその瞬間、衝撃に思わずよろけてしまいました。
「なんそ……そ」
「ははは。すまし礼失で姿なんこ」
ころころ、ころり。
そこにあったのは、尚輝先生の、
生首ひとつ。
さあ、語るといたしましょう。
これぞ隠された寝子島高校七不思議シリーズの六番目。
その名も、
『 北 校 舎 の 魔 鏡 』
墨谷幽です。
御巫 時子さん、桜とピンクのキャンペーンのご当選、おめでとうございます!
ご希望マックスなシナリオガイドをお届けにまいりました~。ご指名いただきまして光栄です!
ご参加の際は、ガイドのイメージに関わらず、自由にアクションをお書きくださいませ~。
このシナリオの概要
今回は『寝子高七不思議』シリーズの第六弾、不思議な鏡のお話です。
寝子島高校の北校舎、その2階と3階の間にある踊り場に掲げられた、古い大鏡。
鏡にまつわる怪談は定番ですが、この鏡にも例にもれずあまたの怪奇話が噂されてきました。
事件の発端は、深夜に五十嵐 尚輝先生がこの鏡を覗き込んだこと。
どんな条件が重なってか、鏡はひび割れ砕け散り……。
その衝撃で、映りこんだ尚輝先生の身体は、なんと5つに分離してしまいました!
それだけではありません。
大鏡の中に広がっていたのは、左右が反転した鏡の世界。
そしてこの世界は、寝子島中の鏡と繋がっていたのです。
皆さんは自宅の鏡や、道端のカーブミラー、鏡のように反射する水たまりなどを通じて、
鏡の世界へ入り込んでしまいました。
脱出する方法は、2つ。
1つ目は、別の鏡を通じて現実世界へと飛び出すこと。
2つ目は、分離してしまった尚輝先生のパーツを探し出し、
鏡の世界の北校舎にある大鏡へ映すこと。
ただし、そう簡単にはいきません。
鏡の世界では、物事の左右が反転しています。
さらに、あなたの動作や思考さえも、反転してしまうことがあるのです。
あなたは無事、鏡の中から脱出することができるでしょうか?
アクションでできること
鏡の世界で右往左往したり、迷ったりして混乱する様子を描きます。
描写できる舞台は、鏡の中の寝子高敷地内か、あるいは寝子島のどこかです。
時刻は深夜二時頃で、鏡の世界も真夜中。人の往来はまばらですが、出会う人々もまた全てが左右反転しています。
鏡の世界では、あなたが右手を上げようと思えば左手を上げてしまうし、
左に行こうと進めば、右へ進んでしまいます。
自由に動くには、慣れが必要になりそうです。
なお鏡の中には、性格や気性までも反転してしまった人もいるようです。
そんな人があなたを見つけると、襲いかかってくるかもしれません。
お気をつけて。
・物体の左右、動作などは全て反転しています。
・思考や性格は、反転していることもあれば、そのままのこともあります。
・鏡の世界に戸惑いながらも、なんとか脱出を目指す
・性格が反転し凶暴化した人に追いかけられる恐怖体験
・鏡の世界で性格が反転してしまった、いつもと違う自分を描く
・五十嵐 尚輝先生のパーツを探し出し、北校舎の大鏡を目指す
など、鏡の世界で自由に行動してみてください。
NPCについて
NPCは、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。
また、特定のマスターさんが管理されているキャラクターは、描写が安定しない可能性がありますので、
あらかじめご了承くださいませ。
Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
◆五十嵐 尚輝
北校舎の大鏡が割れた際に映り込んでいたことで、身体が分割されてしまいました。
今は鏡の世界の寝子高校舎内のどこかを、
頭、胴体、右腕、左腕、下半身の5つのパーツに別れてさまよっています。
パーツ同士は、遠く離れていても、なんとなく引き合う性質があるようです。
以上になります。
それでは、皆さまのご参加をお待ちしております~!